映画と本の『たんぽぽ館』

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零落

2023年11月01日 | 映画(ら行)

落ちぶれて、誰からも顧みられなくなったとき・・・

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浅野いにおさんの同名コミックの実写映画化

8年間連載してきた漫画が完結し、現在、仕事がなくなってしまった
「元」売れっ子漫画家深澤(斎藤工)。
次回作のアイデアも全く浮かびません。
すれ違っていた妻・のぞみ(MEGUMI)との関係も冷え切り、
自堕落で鬱屈した日々。
そんなある日、風俗店を訪れた深澤は、
ネコのような眼をしたミステリアスな女性・ちふゆ(趣里)に出会います。
自分のことを詮索しないちふゆにひかれた深澤は、
ちふゆと共に彼女の故郷へ行きますが・・・。

深澤は、一時人気が出たけれど次第に人気も薄れ、
最終巻が出る頃には忘れかけられているというような漫画家。
しかし深澤は、自分の高尚な内容の漫画に世間がついてこられないのだと思っています。
いや、思おうとしているというべきか。

いつも声が小さく、自信なさげ。
けれど実はプライドが高い。
編集者としてイキイキと忙しそうに働き、深澤のことをなおざりにする妻に対しては
不満ばかりで、ついには離婚届の用紙を突きつけます。
でも妻は元々深澤の漫画を認め尊重もしていたので、離婚に応じようとはしない。

なんだかんだと言ってこの夫婦、夫が本心を妻に言葉で伝えようとしないのがよくないと思うし、
そして妻も、じっくり夫と向き合おうともしなかったようで、
こうなってしまうのも当然なのかな、と。
とは言え、多くの夫婦ってこんな風なのでは、とも思います。
自分だってとても人のことは言えないし・・・。

一時は成功者としてもてはやされた身が、やがて落ちぶれ、顧みる人もいなくなる・・・。
むしろ、蔑まれるほどに・・・。
そんな時にどうやって自分は立ち直っていけばいいのか。
いや、立ち直るって言うのも変だ。
自分はずっと同じく立っていたはずなのに。

そんな時に、過去の成功者である自分を知らない人と話をする方が楽なのでしょうね。
特に体のつながりは、一時でも安らぎを得られるのかも知れない・・・。

斎藤工さんは、こんな風に落ちぶれ、たそがれた人物が似合います。
(なんて言うのは、褒め言葉ではないか)
趣里さんも、昨今毎朝見るお姿とは別人。

一定期間全く違った人格の持ち主になれる俳優という職業に、ちょっと憧れます。

 

<WOWOW視聴にて>

「零落」

2022年/日本/128分

監督:竹中直人

原作:浅野いにお

脚本:倉持裕

出演:斎藤工、趣里、MEGUMI、山下リオ、吉沢悠

零落度★★★★☆

ダメ男度★★★★☆

満足度★★★.5



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