映画と本の『たんぽぽ館』

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はざまに生きる、春

2023年06月12日 | 映画(は行)

もっと、あなたのことが知りたい

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宮沢氷魚さんが、発達障害の青年役、ということで注目しました。

出版社に勤める雑誌編集社の小向春(小西桜子)は、
取材で、青い絵しか描かないことで有名な画家・屋内透(宮沢氷魚)と出会います。

透はアスペルガー症候群で、特定のことにこだわりが強く、人の感情をくみ取ることが苦手。
だからつい、思ったことをストレートに口に出してしまうし、
自分の感情も隠さない。
なんとも風変わりなのですが、人の顔色ばかりうかがってきた春には魅力的に思えるのです。

そんな2人は徐々に距離を詰めていくのですが、
そもそも透は人の感情を読み取ることができず、
春には彼が「恋」という感情を分かっているのかどうかも分からない。
ということで、透に振り回され、思い悩む春・・・。

宮沢氷魚さんが、実に見事に発達障害の青年を演じていました。
わたし達は表層的なその症状について知るばかりで、
実際に人との社会の中で、どんなことがうまくいってどんなことがうまくいかないのか、
そういうことを知る機会はそう多くはありません。

だから、本作において発達障害の方の実情を
多少なりとも知ることができたのはよかったと思います。

本作中では、春が、ほとんど偏見なしに透の近くにいたいと思うのが、
いさぎよくていい感じです。
けれど、こちらの恋愛感情は忖度してもらえない・・・
もうダメなのかなとしばらく離れていれば、
いきなり、一緒に桜を見るのが約束だから、と連絡をくれたりする。

互いのいいところ、ダメなところを認め合って付き合っていけるなら、
それはそれでいいですよね。

 

<サツゲキにて>

「はざまに生きる、春」

2022年/日本/103分

監督・脚本:葛里華

出演:宮沢氷魚、小西桜子、細田善彦、平井亜門

 

障害理解度★★★★☆

満足度★★★.5



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