映画と本の『たんぽぽ館』

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フォトグラフ あなたが私を見つけた日

2020年04月03日 | 映画(は行)

リアルな今のインド

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インドが舞台の物語ではありますが、歌も踊りもなし。
けれど、今のインド社会のリアルを見るような気がしました。


ラフィは、ムンバイの路上で観光客相手に記念写真を撮って稼いでいます。
故郷にいて彼の両親代わりに彼を育ててくれた祖母が、
ラフィに早く所帯を持てと責め立てます。
辟易したラフィは、客として出会った娘・ミローニに、
婚約者として祖母と会ってほしいと頼むのです。
すると早速祖母がやってきて・・・。

 

貧しい農村で育ったラフィ。
都会に出てきた今も、住まいは仲間と雑魚寝の部屋で暮らしています。
一方ミローニは都会で生まれ育ち、成績優秀。
今は会計士になるための勉強をしています。
住む世界の異なる二人ですが、次第に二人の絆は深まっていく・・・。

 

私が感じ入ったは、このミローニの心境。
彼女は進路を両親にほとんど決められて、言われるままに学んでいます。
本当は何をしたいのか、自分でもよくわかっていない。
家は特別裕福と言うほどでもなく、まあ、中流家庭というところでしょう。
それでもやはり都会育ちなので、
ラフィやおばあさんに付き合って屋台で売っているアイスを食べるとお腹を壊してしまう。
家では食事もフォークやスプーンを使います。
ラフィたちは家で手で食べているのですが。
おばあさんはいかにも田舎のおばあちゃんそのもので、
言うことはずけずけと厚かましく、価値観も古すぎ。
・・・けれどもミローネは思うのですね。
自分はインド人として生まれ育ったけれども、本当のインドを知らないのではないか・・・。
古来からのインドの文化を失った都会で、自分は一体何者なのか。
しかしまた、生活様式が欧米化はしても、やはり自分は古い価値観の中で、
親の言うことに従って就職し、結婚し子を産むのか・・・? 
自らの寄るべきところを考えてしまう・・・。
そんな風に揺れ動くインドの若い人々の気持ちを綴ったように思います。


インド作品の主人公は饒舌な人が多いけれど、
ここに登場するラフィもミローニも実に言葉少な。
日本人としては、こちらの方がなじみます。

まあ、そんなわけで本作の終わり方も明確なハッピーエンドとはなっていなくて、
これもインドが舞台の作品としては破格。
いずれにしてもこの先ミローニは、しっかりと自分の足で歩み始めるのではないかな?
と思います。

<Amazonプライムビデオにて>
「フォトグラフ あなたが私を見つけた日」
2019年/ドイツ・インド・アメリカ/108分
監督・脚本:リテーシュ・バトラ
出演:ナワーズッディーン・シッディーキー、サニヤー・マルホートラ、
           ファルーク・ジャファル、ギータンジャリ・クルカルニ

インドの“”度★★★★☆
満足度★★★.5

 



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