映画と本の『たんぽぽ館』

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マイナス21℃

2019年05月29日 | 映画(ま行)

酷寒のサバイバル

* * * * * * * * * *


5月というのに猛暑に見舞われた北海道。
そんなときに見るべきなのはまさにこれ。
酷寒の雪山で壮絶なサバイバルをした、
元アイスホッケー選手でありスノーボーダーでもあるエリック・ルマルクの実話を映画化したものです。

米カリフォルニア州、シエラネバダ山脈のスキー場で
スノーボードを楽しんでいたエリック(ジョシュ・ハートネット)は、
つい立入禁止区域に入り、吹雪が襲ったこともあり道に迷い遭難してしまいます。
水も食糧もなく、山岳装備もない。
低体温症、空腹、オオカミ、凍傷、脱水症状・・・
あらゆる困難が彼を襲う中、8日間が過ぎて・・・。

身も心も凍りつきます・・・。
気温がマイナス21℃・・・? 
少し雪を掘ったところに身を横たえるだけで夜明かしをします。
人はそんなところでも生きながらえることができるのか・・・? 
テントや寝袋もなし。
普通の人なら一晩だけで凍死してしまうのかも知れません。
エリックは若く人並み外れた強靭な体を持ち合わせていたのでしょう・・・。
だからこそ、足に重度の凍傷を負いながらも生きながらえた。
でも私なら、そんな孤独と苦しみを味わうくらいなら、さっさと凍死してしまいたいかも。



エリックは山に行く前に、たまたまある人から
「雪を食べてはいけない」という話を聞くのです。
雪山で遭難しても、とりあえず雪があるから水分補給だけはできるはず、と思いますよね。
けれど雪を食べると低体温症を引き起こすので、非情に危険なのだそうです。
暑い日にアイスクリームを食べるのとは全然状況が違うわけだなあ・・・。
そのことを覚えていたエリックは、たまたま持っていたビニール袋に雪を詰め、
体温で溶かしてから飲むのです。
しかしそのビニール袋には実は麻薬が入っていたのです。
生きるために、彼は麻薬を捨てて、雪を詰める。
こうなると彼が麻薬に浸っていたことも逆に幸いなことに思えてくる。
人生はミラクルですねえ・・・。



彼は雪山をさまよいながら過去の様々な自分の挫折のシーンを思い出します。
父親に否応なく仕込まれたアイスホッケー。
しかしそのアイスホッケーも、ある程度実力が認められるようになたものの、
些細なことがきっかけでやめてしまった・・・。
思い出すのは自分にとっていやなシーンばかり。
そういうことから逃れたくて、麻薬を使うようになっていたわけですが・・・。
逆にこの時彼は、自分を芯から見つめ直すことができたのかも知れません。
現状には何も希望的なものはないにしても、
それでも生きてきっと未来を開く!というふうに思えるのがすごいと思うのです。
散々な人生だった、もうどうでもいいや・・・とならないのが、すごい。
心身ともに、強い人なんだなあ・・・。
そういう人もいるのですね。
感嘆。

マイナス21℃ [DVD]
ジョシュ・ハートネット,ミラ・ソルヴィノ
松竹



<WOWOW視聴にて>
「マイナス21℃」
2017年/アメリカ/98分
監督:スコット・ウォー
出演:ジョシュ・ハートネット、ミラ・ソルビノ、セーラ・デュモント、ジェイソン・コットル

酷寒度★★★★★
サバイバル度★★★★★
満足度★★★.5



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