美しいけれど・・・

* * * * * * * * * *
池辺葵さんの同名コミックの映画化。
神戸の街を見渡す坂の上に「南洋裁店」があります。
初代の祖母から店を受け継いだ2代目店主、市江(中谷美紀)。
彼女は祖母から受けついだ方針をひたすら守り、
常連客のために作った服の直しと、
祖母がデザインし作ったパターンをそのまま利用した服をいくつか作るだけ。
デパートのアパレル部門担当の藤井(三浦貴大)が何度もやってきては、
ブランド化を勧めるのですが、キッパリと断る市江。
でも藤井が何度も気安く訪ねてくるものだから、
市江はちょっぴり彼が気になってきます。
彼は、本当は市江自身が人に着てもらいたいデザインがあるのではないか?
というのですが。

「しあわせのパン」や「ぶどうの涙」。
決してきらびやかではない仕事を地道に自分の信じる通りに続けていく。
仕事=生活。
そういう三島有紀子監督の雰囲気がここにも色濃く現れています。
その雰囲気は良い。
う~ん、だけれども、
前2作にしても本作にしても、なんだかイマイチ主人公に感情移入できないんだなあ・・・。
あまりにも生き方が美しすぎて、
現代人の抱えている苦労や悩みを置き去りにしている気がする・・・。

この仕立て屋さんで服を作ったら一体いくらかかるのでしょう?
完全オーダーメイドだし、相当高そうな気がする。
しかも本当にその年に一度の「夜会」でしか着ることがなさそうな服で・・・。
作中でも言っていたけれど、
今は上等の服1着をいつまでも大事に着るという時代ではないですよね。
確かにそれは大事なことだけれど、
流行もあるし、少しくらいの直しでは済まないくらい体型も変わっていくことも多いし。
直しだけでも相当お金がかかりそうだし、
どう見ても庶民向けのお店ではない。
だから近所の人のたまり場になっている、というのがそもそも納得出来ない。
この店に入り浸りの藤井のことも、
こんなに暇でいいワケ???と心配になってしまうし。

雰囲気だけは確かに良いのだけれど、
身近に感じられず、どうにも納得行かない作品なのでした。
「繕い裁つ人」
2015年/日本/104分
監督:三島有紀子
原作:池辺葵
出演:中谷美紀、三浦貴大、片桐はいり、黒木華、杉咲花
クラシック度★★★☆☆
満足度★★.5

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池辺葵さんの同名コミックの映画化。
神戸の街を見渡す坂の上に「南洋裁店」があります。
初代の祖母から店を受け継いだ2代目店主、市江(中谷美紀)。
彼女は祖母から受けついだ方針をひたすら守り、
常連客のために作った服の直しと、
祖母がデザインし作ったパターンをそのまま利用した服をいくつか作るだけ。
デパートのアパレル部門担当の藤井(三浦貴大)が何度もやってきては、
ブランド化を勧めるのですが、キッパリと断る市江。
でも藤井が何度も気安く訪ねてくるものだから、
市江はちょっぴり彼が気になってきます。
彼は、本当は市江自身が人に着てもらいたいデザインがあるのではないか?
というのですが。

「しあわせのパン」や「ぶどうの涙」。
決してきらびやかではない仕事を地道に自分の信じる通りに続けていく。
仕事=生活。
そういう三島有紀子監督の雰囲気がここにも色濃く現れています。
その雰囲気は良い。
う~ん、だけれども、
前2作にしても本作にしても、なんだかイマイチ主人公に感情移入できないんだなあ・・・。
あまりにも生き方が美しすぎて、
現代人の抱えている苦労や悩みを置き去りにしている気がする・・・。

この仕立て屋さんで服を作ったら一体いくらかかるのでしょう?
完全オーダーメイドだし、相当高そうな気がする。
しかも本当にその年に一度の「夜会」でしか着ることがなさそうな服で・・・。
作中でも言っていたけれど、
今は上等の服1着をいつまでも大事に着るという時代ではないですよね。
確かにそれは大事なことだけれど、
流行もあるし、少しくらいの直しでは済まないくらい体型も変わっていくことも多いし。
直しだけでも相当お金がかかりそうだし、
どう見ても庶民向けのお店ではない。
だから近所の人のたまり場になっている、というのがそもそも納得出来ない。
この店に入り浸りの藤井のことも、
こんなに暇でいいワケ???と心配になってしまうし。

雰囲気だけは確かに良いのだけれど、
身近に感じられず、どうにも納得行かない作品なのでした。
「繕い裁つ人」
2015年/日本/104分
監督:三島有紀子
原作:池辺葵
出演:中谷美紀、三浦貴大、片桐はいり、黒木華、杉咲花
クラシック度★★★☆☆
満足度★★.5