映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ブルーローズは眠らない」市川憂人

2021年03月13日 | 本(ミステリ)

薔薇密室殺人事件

 

 

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ジェリーフィッシュ事件後、閑職に回されたフラッグスタッフ署の刑事・マリアと漣。
ふたりは不可能と言われた青いバラを同時期に作出したという、
テニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査することに。
ところが両者と面談したのち、施錠されバラの蔓が壁と窓を覆った密室状態の温室の中で、
切断された首が見つかり…。
『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第二弾!

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『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くマリアと漣のコンビシリーズ第二弾!

本作は1980年代を舞台としていまして、
前作においてはコンピューターがようやく導入され始めた頃、
というところに意義がありましたが、
本作においては遺伝子組み換え技術。
青いバラです。
長く実現不可能と言われていた「青いバラ」を作出したという人物が、
ほとんど同時に2人名乗りを上げる。
ところがその二人がまもなく殺人事件に遭遇。
此度の近辺の人物たちと深く関係があると思われる「日記」も発見されるが・・・。

 

前作同様、青いバラを作り上げるための遺伝子組み換えの科学的記述が
なかなか詳しく語られています。
これは私にはすんなり納得できるような物ではなかったのですが、
基本的にはここは読み飛ばしても、ミステリとしての骨格に影響はないので、大丈夫。

 

実際には、青いバラは遺伝子組み換えにより2004年に
「アプローズ」という品種名で、発表されています。
でもこれ、青というよりは薄い紫、という感じ。
店頭で売られていたりする青いバラは、染料で染め上げたものだそうです・・・。

ともあれ、それに先駆けて各所で青いバラを造ることに
血眼になっていた人々がいたのは確かですね。
作中にも遺伝子的要素からなる「アルビノ」や病のこと、
そしてまた一歩進んで遺伝子組み換えで動物は創造できるのか・・・?
という話題にも広がっていて、興味深い一作でした。

 

薔薇密室やアリバイの謎は、いかにも本格ミステリふう、謎のための謎。
込み入りすぎると、どうでもよくなって思考停止してしまうという私にとっては、
ギリギリくらいのラインでしたが、登場人物の魅力が救いです。

 

<図書館蔵書にて>(単行本)

「ブルーローズは眠らない」市川憂人 東京創元社

満足度★★★.5

 

 


弥生、三月 君を愛した30年

2021年03月11日 | 映画(や行)

時は巡り巡って・・・

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1986年を起点として、3人の高校生の30年を、3月限定で描いていく物語です。

弥生(波瑠)と、サンタ(成田凌)、そしてサクラ(杉咲花)は、親友同士。
弥生とサンタは互いに惹かれながらも、
サクラがサンタを思っていることを知っているので、そのことは言い出せません。
そのサクラは病に犯されていて、高校3年の時に亡くなってしまいます。



ますます、思いを伝えられなくなってしまった二人は、その後別々の道を歩み始めます。
二人はそれぞれに結婚。
でも、離婚や、災害、配偶者の死・・・、いろいろな出来事があって、
二人とも、子どもの頃からの夢も絶たれてしまう・・・。

そんな時、30年の時を経て、今は亡きサクラからのメッセージが届きます。

 

30年を通して、自分の思いを打ち明けられず、
打ち明けたときにまた最大の悲劇が起こり・・・、なんとも切ない人生。
思い通りには行かないものですね。

作中、バスを追いかけるシーンが何度も出てきます。
始めは、高校生の弥生が乗り遅れたバスを必死で追いかけるシーン。
大声で「待ってー」と叫びながら走る、走る。
バスの後ろの窓から、サンタが驚いて見つめています。
いかにも、若さあふれる高校生。
実に印象的です。

その彼女が、後年、人生に疲れ果て、
行ってしまったバスを淋しく見送るシーン。
年月を感じます。

他に、サンタが弥生の乗ったバスを追いかけるシーンもちゃんとあります。

それから、電車のドアが閉まる寸前に行動を起こすというシーンの繰り返しもありました。
サクラの墓前で繰り広げられるかくれんぼシーンも、立場を変えての繰り返し。

巡る年月を3月だけ取り上げるという舞台立ての中で、
こうした繰り返しがとても効果的です。

東日本大震災から10年。
本作もそのことが弥生の人生に大きな影を投げかけることになります。
ラブストーリーとしても良し。
人生の悲哀を描くにしても良し。
今見るのに最適です。

高校生姿の波瑠さんと成田凌さんは、まだまだ結構行けるじゃないの!と驚かされました。

 

<WOWOW視聴にて>

「弥生、三月 君を愛した30年」

2020年/日本/110分

監督・脚本:湯川和彦

出演:波瑠、成田凌、杉咲花、岡田健史、小澤征悦

 

切なさ★★★★★

満足度★★★★★


異端の鳥

2021年03月10日 | 映画(あ行)

少年の名前

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本作は「映画.com特別オンライン上映会vol.6」で視聴しました。
以前地元のミニシアターでやっていたのを知っていたのですが、
とても長くて残酷シーンがある・・・ということで怖じ気づいて、
見ないで過ごしてしまいました。

せっかくのこの機会に、見てみましょうかと・・・。

 

全編モノクロ映像です。
東欧のどこか、一人の少年が人里離れた田舎家に預けられているのですが、
ある日突然そこの叔母さんが病死してしまいます。
行き場をなくした少年は、何故か人々に冷たい仕打ちを受けながら放浪の旅を始める・・・。

私、ほとんど予習なしで本作を見ました。

はじめ、この作品はかなり古い時代のストーリーかと思いながら見ていたのです。
家にはまだ電気も通っていないようだし、
最初に少年が拾われたのは、村の呪い師のような老婆のところ。
まともな医療もなさそう・・・。
というふうに見ていって、ほとんど半分近くまでいったところでしょうか、
少年はど田舎から町の方へ向かっていくのですが、
いきなりドイツ軍登場! 
それでようやく、少年はユダヤ人だったことに気がつきます。
つまり少年はホロコーストの難を逃れるために
両親から叔母のところに預けられていたのでしょう。
そして、多くの人はキリスト教徒ではないユダヤ人を忌み嫌うが故に、
少年につらく当たっていたのです。
こんな時代でも辺境の地では電気もまともな医療もなく、
人々は中世さながらの生活をしていたというのも納得できるのです。

転々と様々な人に助けられたりひどい目に遭ったりしながら
少年はさすらっていくのですが、
概ね彼を救おうとしてくれたのは、
自身も周囲の人々になじまず変人扱いされていたであろう人々だったような気がします。

でも、少年を救おうとした人々はもちろん純粋な好意からの人もいますが、
自分のために利用しようという人も・・・。

彼を虐待するのは何もドイツ軍ばかりではありません。
むしろ彼を助けてくれたドイツ兵もいました。
ごく善人の顔をしたひどい人物も・・・。
善も悪も、世の中は混沌として計り知れません。
そんな中で少年は繰り返し悲惨な体験を積んでいきます。

そして無垢だった少年が、生き抜くためには
罪さえをも犯すようになっていく。

この悲惨な旅は一体いつになったら終わるのかと思い始めた頃、
ようやく変化の時が来ます・・・。

 

作品中、少年の名前が明かされません。
少年と関わる人々が彼を名前で呼ぶシーンもなければ、
人から名前を問われても少年は口を閉ざして答えません。

それが最後の最後、密かに明かされるのです。
私はこのことで、少年が自らのアイデンティティ、
それは善も悪も取り混ぜたものではありますが、
たとえ身体はどんなに蹂躙されようとも
自分自身の核となるものを最後まで守り抜いたように思えるのです。

この後一体彼がどのような人生を歩むことになるのか、
それも気になるところではありますが、物語はそこまでは語りません。

165分の長さを感じさせない、目の離せない物語でした。

※ポスターに使われている少年が首だけ出して埋められているシーンは、
 少なくとも悪意をもって少年を懲らしめるという意味のシーンではないことを申し添えます。

 

「映画.com特別オンライン上映会vol.6」にて

「異端の鳥」

2019年/チェコスロバキア、ウクライナ/165分

監督・脚本:バーツラフ・マルホウル

原作:イェジー・コシンスキ

出演:ペトル・コラール、ウド・キア、レフ・ディブリク、
   ステラン・スカルスガルド、ハーベイ・カイテル

 

残酷度★★★★☆

満足度★★★★★

 

 


ビューティフル・マインド

2021年03月09日 | 映画(は行)

数奇な数学者の人生

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ゲーム理論の基礎を築いたノーベル賞数学者、ジョン・ナッシュの半生を描きます。

天才数学者、ナッシュ(ラッセル・クロウ)は
周囲から変人扱いされながらも大学院で研究に没頭しています。
人付き合いは苦手な彼ではありますが、時に、ルームメイトのチャールズに励まされたりもする。
やがて研究機関に職を得て、結婚もしたナッシュ。
しかし、ロシアの暗号を解くという機密任務に当たることになり・・・。

ジョン・ナッシュは実は統合失調症なのです。

本作はナッシュの視点で描かれており、
ある日突然、これまで自分がなんの疑いもなく受け入れていた現実が、
幻想だったという驚愕を、私たちも彼と同時に味わうことになります。

なんという脳の働きの不思議。
人並み外れた数学的ひらめきを持ちながら、あり得べきでない人物の存在をも作り出す・・・。
頭脳明晰な人物であればなおさら、自分の異常性を受け入れがたくもあったでしょう・・・。
下手をすれば一生精神病院で過ごすこともあり得たのかもしれない。
でも、彼を支えた妻(ジェニファー・コネリー)の存在がすばらしい・・・。
彼女は逃げ出してもおかしくないところだったのですが、
踏みとどまり、彼を支える決心をします。

生涯その病と向き合いながら、それでも数学とともにいて、
ついには周囲の人々の尊敬を集め、ノーベル賞受賞までする。

この人生に、熱い拍手を送りたくなります。

 

本作も、かなり以前に見てブログ記事になっていなかったものです。
何故か、そういう作品ほど心の中に残っている気がします。
詳しく文章に書くことはつまり忘れる為の作業である、と、
以前本で読んだことがあって、本当にその通りだなあ、と思う次第。

<Amazon prime videoにて>

「ビューティフル・マインド」

2001年/アメリカ/136分

監督:ロン・ハワード

出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、クリストファー・プラマー、ポール・ベタニー

 

数奇な人生度★★★★★

満足度★★★★★

 


ブレイクスルー 奇跡の生還

2021年03月08日 | 映画(は行)

神の意志?

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実話をもとにした物語です。

ミズーリ州14歳の少年ジャン。
友人と凍った池の上で遊んでいる最中、氷に穴が空き、落ちてしまいます。
15分経過の後、ようやく水中から引揚げられ、
病院に運ばれて蘇生措置を受けるも息を吹き返しません。
しかしその時、母親の神への祈りが届いたのか、
ジャンは微弱ながらも脈を打ち始めたのです。

しかしそこから先もまた大変。
体に酸素が行き渡らなかった時間が長かったので、
医師はジョンが健康な状態に回復する確率はかなり低いと告げます。
依然として昏睡状態のジョンを前に、祈るしかない母・・・。

 

この母親は、かなり熱心なキリスト教信者です。
ジャンは実は孤児院から引き取られた養子。
しかも反抗期ということで、母親には相当の反感を示していた昨今なのです。
そんな背景をしっかり描いた後の事故。
昼夜ジャンに付きそう母親は疲労で倒れてしまったりしますが、
共に支えてくれたのはいつも通っている教会の牧師。
(実は母は革新的な手法を使うこの牧師をちょっと嫌っていたのですが)
父親は、すっかり心が折れてしまい、怖くて息子に近寄れないのです・・・。
やはり、母は強し。

やがてこの話はSNSで広まり、
多くの人がジャンのために祈りを捧げることになります。

本作、だからといってキリスト教の素晴らしさをいうわけではないですね。
例えば、ジャンの教師は後にいう。
「私の夫は病で逝ってしまったけれど、何故、あなたは助かったのかしら」。
そうです、神に祈りを捧げる人は多いけれど、
その祈りがかなえられることはほとんどない。
そんな中だからこそ、医師も諦めていた命が蘇ることを私たちは「奇跡」と呼ぶ。
そこに神の意志がありや、なしや、
それこそが個人個人の考え方ということになるのでしょう。
単なる偶然。
単に少年の生命力が人並み外れて強かっただけ。
そうとも言えるわけですから。

ではありながらも、人はどうしてもそこに何らかの意味を見出してしまうものなんでしょうね。
つい私も心打たれて泣けてしまったのですが、
では何に心打たれたのか、というと自分でもよくわかりません。
人知を越えた煌めく何かがそこにありそうな気がする。
そんな奇跡がごくごくたまに起こることもあると信じたい。

 

<WOWOW視聴にて>

「ブレイクスルー 奇跡の生還」

2019年/アメリカ/116分

監督:ロクサン・ドースン

出演:クリッシー・メッツ、ジョシュ・ルーカス、トファー・グレイス、マイク・コルター

 

奇跡度★★★★★

満足度★★★.5


「ジェリーフィッシュは凍らない」市川憂人

2021年03月07日 | 本(ミステリ)

飛行船の内部で・・・

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特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船“ジェリーフィッシュ”。
その発明者である、ファイファー教授たち技術開発メンバー6人は、
新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。
ところがその最中に、メンバーの1人が変死。
さらに、試験機が雪山に不時着してしまう。
脱出不可能という状況下、次々と犠牲者が…。
第26回鮎川哲也賞受賞作。

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第26回鮎川哲也賞受賞作(2016年)ということで、手に取りました。
「21世紀の『そして誰もいなくなった』登場!」という触れ込みの、本格ミステリ。

 

飛行船“ジェリーフィッシュ”の新型機航行試験中に起きた殺人事件。
誰も出入りできない閉鎖空間で乗員6人全員が死亡。
どの遺体を調べても自殺という状況は考えられない。
つまり他殺。
しかしそれならばこの6人を殺害した“7人目”は一体どこに?という謎を追います。

この謎を解こうとするのは、無駄に美人のマリア・ソールズベリー警部と、
沈着冷静な九条漣刑事コンビ。
マリアはあまり知的なタイプではないのですが、
ある種、野生の勘とでもいうかひらめきが鋭い。
そして彼女を頭脳明晰な漣が補助。
先頃流行った「お嬢様と執事」の関係に似ています。
だからこの二人の会話がすこぶる楽しい。

 

著者は東大卒。
だからというわけではないかもしれないけれど、本作には科学的描写がたっぷり。

例えばここに登場する飛行船、水素やヘリウムなどというガスを使っていない。
巨大な風船の中身は、真空なのです。
真空、すなわち重さがないわけだから、確かに空気中では浮きます。
ただし実際問題、真空状態のものは回りの大気圧に押されて大抵はペシャンコになってしまう。
その形態を保とうとすれば、金属など強固な素材でなければなりません。
でもそうすると、その重量で空中に浮くことはできない。
・・・なるほどー。
それで本作中では真空状態を保つ強度があって、しかも軽い強化物質が開発された、
ということが前提となっています。
その開発こそが、此度の殺人事件のもととなっているのでした。

理数系苦手の私でも、なんとかその辺はついて行けましたので、
同様の方でも大丈夫です。

実際の飛行船内と、山中で燃え尽きた飛行船内の殺人事件の捜査に当たるマリアと漣、
二つのシーンを交互に描きながらも、クライマックスへ上り詰めていく、
この筆力も申し分なし。

この物語の舞台は1983年、とされているのですが、
それはおそらくようやく世間で初期のコンピューターが導入され始めた頃
・・・という縛りを置きたかったのでしょう。

過去の物語だけれど、今も実現しない革新技術、
という空想性も面白いと思いました。

 

ちなみに、ジェリーフィッシュとはクラゲのことですね。
ゆったりと空をたゆたう飛行船をクラゲに例えているのです。
こんな船の旅を、私も憧れているのですが、本作のような技術はやはり夢物語か・・・。

 

<図書館蔵書にて>

「ジェリーフィッシュは凍らない」市川憂人 東京創元社

満足度★★★★☆

 


ステージ・マザー

2021年03月06日 | 映画(さ行)

女性の生きがい

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テキサスの田舎町に住む主婦メイベリン(ジャッキー・ウィーバー)。
長い間疎遠だった息子リッキーの訃報を受け、
リッキーの暮らしていたサンフランシスコへ向かいます。 
そしてリッキーのゲイのパートナーであるネイサン(エイドリアン・グレニアー)から、
息子とネイサンが共同経営でゲイバーを経営していたことを知らされます。
バーはリッキー名義となっていたため、経営権はメイベリンにあるというのです。
とはいえ、そのバーも経営難で破綻寸前。
メイベリンは、息子の意志を継いでゲイバー再建のために立ち上がりますが・・・。

本作は、LGBTの差別問題というよりも、女性の自立を描くものだと思います。

メイベリンは、これまでひたすら夫に従い、
ゲイについての偏見も、夫の考えに同調していただけだったのですね。
息子の葬儀へは、夫は参列を拒否。
メイベリンはいくら何でも息子の葬儀くらいには出たいと思い、
また、息子が生きていた街や人々を見たいと思ったのでしょう。
葬儀場の教会では、ドラァグクイーンのショーまがいになっていて、
あわてて逃げ出してしまうメイベリンでしたが。

ネイサンは、リッキーの母親がゲイバーを奪いにきたと思い、
彼女に冷たく接するのですが、
仲を取り持ったのが、リッキーの友人であるシエナ(ルーシー・リュー)。
彼女はシングルマザー。
だから息子を思う母親の気持ちもよくわかったのでしょう。
そうしていきなりゲイバーの経営に乗り出したメイベリン。
専業主婦のドシロウトです。
でも彼女は教会の聖歌隊の指揮を務めていただけあって、音楽には造詣が深いのです。
そこで、ここでのショーは口パクではなく、ナマの歌声でいこう。
そして、地元のゲイのためではなく、
サンフランシスコへくる観光客を対象としてはどうか、と思うのです。

また彼女は、店の経営のことだけではなく、息子と同じ年頃の従業員たち一人一人の相談に乗り、
実に母親的お節介をやいて、問題解決を図っていくのです。

テキサスに一人残された夫は、帰れ帰れと矢の催促・・・。
「愛しているから」などといって、
本当は自分で家事をするのが面倒くさいだけ、と私は思う。

いつしかメイベリンは仕事にやりがいを見出し、
また周囲からも頼りにされるようになっていく。
そしてちょっぴり恋の出会いも・・・?

いろいろなことにチャレンジして力を発揮できる可能性を持ちながら、
結婚でそれを埋もれさせてしまうことがどんなに多いか。
そのことを私は深く思うのです。

息子の死という残念なきっかけではありましたが、
人生、どこからでもやり直しはできるのですね!

 

<サツゲキにて>

2020年/カナダ/93分

監督:トム・フィッツジェラルド

出演:ジャッキー・ウィーバー、ルーシー・リュー、エイドリアン・グレニアー、
   マイア・テイラー、アリスター・マクドナルド

 

転身度★★★★☆

満足度★★★★☆