ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

『夏の夜の夢』見えた?

2007-10-07 22:42:22 | 演劇

 えー、公演直前に食べた濃厚豚骨ラーメンが、未だに、腹と言わず胸と言わず、頭と言わずそこら中に、ぐわーっと居座ってる。そう!つまり未消化、消化不良!

 文翔館創作劇場・シェークスピア作『夏の夜の夢』。演劇集団舞台工房の公演だ。うーん、困った。残念だけど、正直言って、ながーいつらーい1時間半だった。

 期待してたんだよ。野外劇だしね、文翔館の中庭だしね、シェークスピアだしね、夏の夜の夢だしね。

 あっ、やるじゃん!とか、へぇー!ってとこもたしかにあった。例えば、パックがハーミァに恋してしまうなんて挿入部分とか、オーペロンがドラキュラ?だったりとか、妖精のダンスとかね。それと、随所に今風のセリフ回しやギャグを入れて少しでも時代のギャップを越えようとしたところなんか、シェークスピアを今の時代にどう見せるか、随分工夫していたと思う。

 でも、僕としちゃぁ、納得いかいないところが多かったな。今風に作り替えるってことに関しては、そこそこ笑いがあって成功したようにもみえたけど、若者の恋のひたむきさっていう肝心の部分が薄まってしまった気がするんだ。ヘレナが時折挟む蓮っ葉なセリフ聞くと、じゃあ、さっさとディミトーリアスなんか捨てて、別の男捜しに行けば、って言いたくなっちゃうし。ともかく、恋する男に翻弄される乙女心の切なさみたいなものが伝わってこなかった。それと、シェークスピアのあの美しいセリフ!!生きてなかったよなー!あんなに気持ちいい美文セリフどうして、ああも散文的にやってしまうんだろう。

 それと、パック。あんたはどうしてパックなの?ってのが、僕の感想だ。パックって道化でしょ。この世を虚仮にすることに無情の喜びを感じてる妖精だよね。なのに、なんか、すごい斜に構えてしまって、マジに恋までしちゃうとなると、いったいあんた誰?って言いたくなってしまった。一昨年、僕も高校生と作った芝居なんで、なおのこと、不満感じちまうのかもしれないけど、古典を今に生かすってなかなか一筋縄じゃあいかないよね。

 装置や舞台設定でも、もやもやがいっぱいだ。まず素朴な疑問。あの空間がこの夏の夜の夢にふさわしい?疑問その2、せっかくの野外空間を、あの煉瓦壁の素材感や閉鎖空間も含めて、生かし切っていた?疑問その3、何故、2階の窓を使わないの?僕ならあの窓どんどん使うね。できれば、あそこらからぶら下がったり、ロープで下りてきたりしたいところだ。疑問その4、どうしてメイクあんまりしないの?オーベロンの作り込みで徹底すれはよかったのに。少なくとも主役の三人の美女はきっちりメイクしてほしかった!だって、あんなに客席と近いんだもの、もっと非日常的な美しさを装って欲しかった。衣装も同様。老け役のライサンダーに関しては、意見が分かれるところだろうな。上手な味のある役者さんだったけど、あの劇の構造は、若者の恋の初々しさが基本だから、僕としは、好きになれなかった。

 と、まあ、勝手なことばかり書いちまったけど、こういう異空間を利用して、何かをやってやろうという意気込みは、これはぜったい凄いと思う。野外なんて、雨降ったらどうすんの?って、菜の花座の場合、最初から引いてしまうものね。やっぱり若さなんだよな。うん、そうか!かえって雨が降ったほうが良かったかも知れない。そん時はお客さん建物の窓から覗いてさあ、土砂降りの中で、森の放浪のシーンなんてやったら最高だろうね。勝手なこと言うな!

 それと、観客がいい。年齢層が幅が広いし、なんかとっても好意的だ。ほのぼのおおおらかに見守ってくれてるって感じだ。この創作劇場が着実に根付いてる証拠だね。このお客さん達の前で、来年は菜の花座の番だから。うーん!いいもの作るゾ!!ゾってなんだ、ゾって!あれは笑った。わかるよね、見てた人は。

 

コメント
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