ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

こういう劇が見たかった!『月夜の告白』

2009-10-10 22:22:30 | 劇評

 文字通りウェルメイドな舞台だった。もちろん、褒め言葉としてね。笑えて、どきどきして、はらはらして、じわっと涙がこみ上げて、見終わった後はとっても暖かな気持ちに包まれる。

 設定は、アラフォー男女のぎごちない恋の駆け引き?いやいや、駆け引きなんて出来る二人ならとうの昔い恋や結婚の二つや三つ経験しているか。方やお見合いパーティ歴10数回の大阪オバン。対する男、趣味は映画のエキストラっていうちょっとオタク系。結婚したいけど、自分の暮らしは大切にしたい。たっぷりと贅肉のように身に付いてしまった自分らしさ。傷つきたくない二人。行き交い、すれ違い、惹かれつつ、罵りあい、感じ合い、ついには自尊という手強い衣装を脱ぎ捨てて語り合う。この設定自体は、今風で、まあよくある話し。

 でも、この二人の心の行ったり来たり、ぶつかったり寄り添ったりがもうこれでもか!ってくらいに繰り返される。でも、それが実に上手なんだなぁ!だから、はらはらどきどき!最後は結ばれるってわかっていても、あっ、ここで上手くいくか?ああ、だめだぁ!こんどこそ、ラーメン食いに行け!やっぱり喧嘩!そんな風に観客の気持ちをいいように手玉に取りつつ、最後はじんわりとアラフォー女、男の寂しさが伝わってきて、三日月の下で二人は素直な気持ちで相手を受け入れていく。上手い!素晴らしい!!

 しかも、全編貫く笑いでしょ。スタンガンが登場するシーンなどホール全体笑いであふれかえったもの。ストーリーの運びといい、巧みなエピソードの積み上げといい、これはもう喜劇のお手本だ。

 まずは台本だ、。もう、言うことなし。当然か、水谷龍二だものね。演出も同じ。そして、役者の二人、菅原大吉と竹内都子。達者だなぁ!ちょっとした仕草や表情の中にアラフォー男女の心の揺れ動きがしっかりと見て取れた。

 こういう舞台をたくさん掛けてくれれば、地方の演劇鑑賞人口も間違いなく増えていくんだよね。で、そういう目の肥えた人たちに鍛えられ支えられて、僕たち地方のアマチュア演劇人も力を蓄えて行けるんだと思う。

 そして、いつかは僕たちがこんな芝居を創れるようになる!っかな?

コメント (2)
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