いよいよ、明日だ。体育館で劇場用作品を演じるとどうなるか?うーん、冒険だなぁぁ。緞帳なし、暗転なし、照明は付けっぱなしのパー明かり。どうやって場転やんの?どうやって終演にするの?観客に丸見えのところで。ぼやいたって仕方ない!引き受けちまったんだから、やるしかない。
シーンの終わりをどうするか?これは音楽で対応することにした。場転直前から流している音楽を役者が動きを止めると同時にぐいっと大きくする。役者はそれまでの演技を脱ぎ捨てて無表情で直立し姿勢正しく歩み去る。これでどうだろうか?ものの出はけは、すべて黒衣装のスタッフが行う。これもまた、全員歩みをそろえて登場し、一人の合図で膝をつきものを置く、あるいは持ち上げる。そろって袖にはける。こんな稽古を昨日、今日と入念に行った。
出はけの方向も、今回限りの変更を施した。なんせ、舞台裏が通れないから、一端はけたら、次はそちらから出るしかない。最初の約束事と異なるところは出てきたが、まあ、こういう緊急事態だから許してもらえるだろう。目に見えて矛盾が感じられない限り、細かいこだわりは捨てた。
舞台監督もインカムなんてないから、Qの出しようがない。なので、きっかけは、上下の全員に行き渡る音響だ。だから、舞台監督は音響の隣で、音響さんにQを出す。突如大きくなれば、場転の開始、シーンの始まりは音量を下げて知らせる。
終幕も同様、波の音がフェードアウトしたところで、役者が動きを止め立ち上がる。正面を向いて頭を下げる。それを合図に袖にいた役者も舞台に出て整列、挨拶する。
まっ、こんなことでやってみようと思っている。相手は大多数が演劇未経験の中学生、場転の意味を感じ取ってもらえるだろうか?舞台上に川面が見えるだろうか?ボートは頭に描かれるだろうか?すべては明日決まる。決め手は役者の一所懸命、それだけ!!