ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

大衆演劇は心のふるさと!こまつ座『雪やこんこん』

2012-03-21 00:16:20 | 劇評
 いいなぁ!やっぱり井上さんの芝居はいい!!

 昨年の『キネマの天地』に続いてスタンディングだ。

 しらふで振り返れば、すいぶんご都合主義な台本だと思う。落ちぶれはてた女剣劇劇団がたどり着いた芝居小屋の亭主が元大衆演劇の舞台に立った女将だったり、その女将が、小屋のオーナーの旦那からストリップ剣劇の興業を無理強いされてたりと、まあ、まぁ、アイディアって言えばそうなんだけど、冷静に考えれば、無理!って展開だ。

 でも、そんなこたぁ、関係ないんだ。調子よく帳尻合わせたって、筋立てがわざとっぽくたって、どうでもいいんだ、そんなこたぁ。要は、泣ける!心が大きく揺らいだってことが大切なんだよ。嘘くさい親子の出会いが、いや、実際嘘だったんだけど、観客の心をがしっとわしづかみした力業。ぐぐっと引きつけられたその吸引力は、まさしく、大衆演劇の世界なんだよ。

 故有って離ればなれになった親子の出会いとか、無理難題を押しつける旦那への意地っ張りとか、大衆演劇の定番とも言える設定が見る人たちの心を良いように引きずり回していた。まさしく、大衆演劇の心だ。

 「お客さんの拍手が心の支え」とか舞台に生きる者の心意気を伝える言葉が目一杯あふれていた。女剣劇「中村梅子一座」を借りて、演劇に人生を賭けた井上さんの思いが最初から最後までずしずしと迫ってくる舞台だった。

 で、芝居を見ながら、思っていたのは、置農演歌ショー『夢芝居』のことだった。

 なんで、こんなレパートリーを作ったのか?この舞台がどうしてこうまで、人気なのか?

 その秘密はまさに、大衆演劇的心にあるんだよな。僕の心の奥底に脈々と息づく大衆演劇的心。

 じゃあ、大衆演劇的心ってなんだ?

 それは庶民の優しく愛おしい心根なんじゃないだろうか。

 愛する者へのひたむきな情愛。義理人情への止むに止まれぬのめり込み。信念を守り通す一徹。

 誰もが願い、誰もが心引かれるもの。そんな、あったり前の、誰でもが納得の心情。

 それが、観客を引きつけ、魅了するのだと思う。
 
 となると、『夢芝居』の後は、股旅物しかないよなぁ。どうする?_




コメント (2)
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