どうも孫と自分との関係が整理できていないなぁ。ジジイであることは否定しないが、おじいちゃんと呼ばれると居心地が悪くてね。若さへのこだわりや自惚れか?まっ、それもないわけじゃないが。孫とおじいちゃん、世間一般自明とされている愛おしさの関係性がよくわからない。知り合いの中にゃ、ことあるごとに孫の写真・画像見せつけて、いやぁ、めんごくてなぁ、と相好を崩す奴もいる。この感覚がまったく信じられない。うん、そりゃ確かに可愛いよ、たしかに。元気に素直に育ってほしいと願っちゃいる。年に1度遊びにくれば、時間を割いてお相手もする。でもなぁ・・・
根っから家族とか血縁てもんに対する意識が希薄だからなんだろう。人それぞれ、差し替えのきかない生い立ちってもんがあるから、これは仕方のないことだ。
べたべたとまとわりつかれるのはお断りたが、彼女、女の子、現在三歳だと思う、の中にちょいといい思い出として残りたい、くらいの野心はある。ちょいと、本当にちょいと、それでいい。
じいじのイメージとしてそっと刻んでおきたいのは、パンやお菓子を焼いてくれるとっつき悪いおじいちゃん、ってところかな。
春先、久しぶりに来たときには、一緒にピザ作りをした。ずいぶん気に入ったようで、また、田舎に行ってピザ作りたいと言ってるそうなので、よしよし、上手くいった。こういう擦り込みが狙いだ。
米、味噌、醤油、それと季節ならば野菜、これは当然送っている。百姓をジイサンに持って幸せだ!って感じてもらうのも大切なことだからね。友達にも大いに自慢して、自分のアイデンティティの一部にできれば、これからの時代、少しユニークな個性を誇れることになるからさ。
農産物を送る時には、パンとかお菓子とかも入れてやる。パンが多いが、時には手作りお菓子もメニューに入る。今回同梱したのは、ラングドシャ。初めて焼いてみた。
へぇ、やさしいねぇ!なんて早とちりは禁物、卵の白身が余ってたからって話しさ。数日前、頼まれてパンを焼いた。食パンと菓子パン。クリームパンが人気なんだ、なんせ、卵の黄身たっぷりのカスタードクリームが入るからね。で、使わない白身が余る、それが大いに頭を悩ませているのさ。菓子パン作った時にゃ、夕食は必ず、黄身1、白身3の蟹なし芙蓉蟹かオムレツ、またはニラ玉炒め、他、他、他なんどと無理やり消化している。うーん、こんなやっつけ的な食い方以外になんかないのか?お菓子はどうだ?
白身で作るお菓子、以前、マシュマロを作ったことがあって、あれもなかなか美味しかったのだが、消費が追い付かず途中廃棄したなんて苦い思い出もある。保存性もあって、気軽に手が出るスイーツ、そうか、ラングドシャなんかいいかもしれない。白身とバターと砂糖と薄力粉だけだからね、原料。薄力粉(国内産)、在庫あるのにさらに注文して、有り余ってもいることだし。よしっ、ラングドシャで決まり!
夜8時を過ぎて、突如、その気になって作業開始。始めてしまえば、この程度、さささのさってもんよ。難しいのは、焼き加減かな。周囲に焦げ色がつくまで180度で軽く焼いて、あとは余熱で火を通す。
焦がしちゃならぬ、そればっかり頭にあって、仕上がりはやや生っぽい。うーん、いまイチだなぁ。小麦粉の力も出てしまってさっくり感も足りない。とは言え、美味しいのは美味しい。これなら孫に送ってもいいだろう。甘みがきついって母親渋い顔するかな?それならそれで、夫婦で内緒に食べればいいさ。
菓子作りのじいちゃん、これで記憶をつなぐことができたかな。