『追いかけぇて!追いかけぇて!』新聞取材、記者から、「喜劇ですか?」って聞かれて、あっ、そ、そう、多分、喜劇、何故かしどろもどろしてしまった。台本書いてる時も、演出してる時も、喜劇だって意識はほとんどなかった。不思議だ、せっせと笑いを追求してるのに。
狙ってたのは、ナンセンス!ともかく、突拍子もないエピソードが次から次としゃしゃり出て来て、なんだぁぁぁ?これは??って観客を煙にまき、散々ぱら引きずり回して、最後は種明かしでストンと腑に落とす。そんな作品を作りたいと思っていただけだ。
早口言葉がまったく言えない女子アナ志願者とか、バアサンのアイドル、あっ、これはあるか、とか、過去の遺物の流しのギター弾きとか、メジャーデビューを夢見る歌手とか、4文字熟語でしゃべる料理研究家とか、やたら変なキャラクター、設定を考えた。それをつなぐのは、夢と妄想。そんな妄想人間をつなぐのが売れない熟女女優。
こう書き出してみて、男二人のシーンがも一つ受けが悪かった理由に思い当たった。流しのギター弾きと夢見る歌手って、設定としちゃ、外し方が不十分だったんだ。けっこうありそう設定だったもの、今思えば。もっともっと、とんでもないキャラに作らなけりゃダメだったんだ。それなりに、ギャグは仕込んでおいたんだが、それだけじゃインパクト不足だったってことかな。役者の持ち味の問題もあったしね。
実は妄想失調症のシェルターだったってオチは、かなり綱渡りかな?って心配したけど、意外とすんなり受け入れてもらえたようだ。妄想を自在に生きる人々から、夢を追い求めよう、幻想をどこまでも追いかけ続けよう、ってラストのメッセージにはちょっと飛躍がある気がしたけど、役者たちの熱演とお客さんの暖かな心で無理なく融け込ますことができた。
出演者の持ち芸を存分に発揮させつつ、ナンセンスで笑いを連打し、最後はストッパーがきっちり押さえる。これが今回の芝居の作り方だった。これ、喜劇作法の1典型だったなぁ、考えれば。
もっと自覚的に書けないとだめだってことかな。ギャグの不発だって同じことだ。狙ったコースにしっかり投げて、しっかり笑いのストライクを取れるようじゃないとね。その点、やりすぎ女優
と、屋台流しは、狙いたがわず!だったなぁ。