コロナ、コロナ!今年はこいつのせいで、何もかもお流れだ。地区総会もなし、地区民運動会も中止、隣組廻り番の公民館掃除も中断したまま。だったら7月第1週の町民総出の河川清掃もなしか?ちょっと期待も込めてそんな噂も広がっていたが、やるんだってよぉ、やっぱり。
折も折、熊本の大雨災害のニュース。そうさなぁ、川はできるだけきれいにしとかんとな。去年のこともあるし。
秋の大雨にゃ驚かされた。まさか、ここでも出水被害が出るなんて、考えてもいなかったぜ。下流の方は、川も大きくなってるし、あっちこっちから水も集まって来るから、溢れる危険もあるかもな、って激しい雨音を聞きながら心配はしてたんだ。でも、ま、悪いけど、他人事だ。
それが、なんと、この里山近い地区でも起こったんだから、油断しちゃおれんぞ。幸い、河川からの溢水とか堤防の決壊なんかじゃなく、用水路が詰まって溢れただけだった。それでも、近くの田んぼには濁水が流れ込み、上流の田から流れ出した稲刈り残渣が大量に堆積しちまった。ちょうど収穫直前だったこともあり、被害農家はずいぶんひどい目に遭ったさ。川の方もかなりの流量で、川床の様子はすっかり変わってしまった。
日本一?自然災害に縁のない所と安心していたのに、あの被害。やっぱり普段から備えは大切だってみな思い知らされた。だからさ、やっぱり年に一度の河川清掃はさんなねさ。
かと言って、たった10軒の隣組だぜ。ようやく若い衆も2人出てくるようになったって言ったって、女性が2人、残りは70過ぎのジジイばかり、このメンバーで出来ることなんて高が知れてる。なのに、割り当ては笹やら灌木生い茂る土手両側400メートル!まっ、最初から勝負は見えてるぜ。
朝6時集合、無理せず怪我せず短時間ってことで、両岸を川上から下へ草刈り開始。エンジン草刈り機回しながら、大勢が集中するのは危険と判断して、右岸を川下から刈って行くことにした。去年イノシシに散々の目にあったHさんの田の周辺は、きれいに刈られていて、けもの除けの電柵も張られていた。みんながこうしてくれると、草刈りもはか行くんだがなぁ、なんて勝手に思うだけ。その身になれば、田んぼの畔だって刈れないのに、さらにその上の土手草なんて手をつけるわけないよなぁ。Hさんは徳農家だから、ありゃ別だ。
彼の丁寧な仕事の続きって、ことで、せめて決められた時間頑張ろう。背丈を超す笹を刈り倒し、茨の類の灌木をぶった切りして進む。できるだけ根元から刈り払うように心がけていた作業だが、いや、もう疲れてきてさ、刈った笹が簡単に倒れる地面から20センチ当たりを狙うようになっちまった。実効性ある仕事をするなら、土手上だけじゃなくのり面も刈らないと意味ないのだが、とてもとても。とうとう最後まで上流からの連中と遭遇することなかった。そんだけ範囲が広いってことさ。無理なんだって。
それでも、今まで30年以上この草刈りしてきて初めて、ポンプ小屋の廃屋にまで到達した。なんか、探検隊みたいだな。そう、そうなんだ。そこには思いもかけず、用水路からの放水路が口を開けていたんだぜ。
多分、昨秋、詰まって溢れたやつだ。なんと、こんなところにあったのか!昨夜の豪雨で、激しく音を立てて川に流れ落ちている。長年の草木に厚く覆われてまったく気が付かなかった。いや、危ない、危ない。うっかり足を滑らせれば、数メートル下の河床に叩きつけられたことだろう。
なんか、奥地に秘密の流路を発見した満足感で、本日作業はここが終点!と勝手に決めたら、若い衆一人、もうとっくに終わってるよ、って呼びに来てくれた。
そうか、そうか。今回も俺が最後か。一番元気だったってことだな。よしよし、って別に耐久レースじゃないから。