なんちゃってぇのタイトルだぜ。
一人で走ると退屈だから、音楽のお供は欠かせない、ってくらいの話しだ。EDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)なんか聞きながら走ると、自然と足が出て辛さを忘れさせてくれる。いや、忘れるまでは行かんけど、まっ、2割引きくらいにはね。
聞くのはもっぱらアマゾン、設定で自動再生にチェック入れてるから、最初の1曲を指定すると、その後は似たような傾向の曲が勝手に流れてくる。こうしておくと、外れってのが少ないんだ。アルバムとかコンピレーションとか選ぶと、そんなの聞きたくないから!ってのも入っていたりして、途中、苛立って、こんな曲で走れっか!立ち止まって選曲しなおし、なんてことにもなる。調子よく走ってるのに、バラードとかね。おのれぇ、気を萎えさせるつもりか!ぴたりと足が止まり、気分も停止。
自動再生の良い所、も一つ。同じような歌だけど、新しい曲を時折流してくれることなんだ。いや、新譜ってことじゃない。俺にとっての新曲ね。5年前だったり、10年前だったりするけど、こういうポップス系はほとんど聞いてなかったから、どれも新鮮で心も足も弾むんだぜ。
体調不良明け、2週間ぶりの10キロラン。足、めちゃくちゃ重い。3キロ過ぎで早くも折り返し気分に揺れてたんだが、そん時、この曲!が流れて来たんだよ。
なんじゃぁぁぁぁ!この嗄れ声は。歪ませてんのか?いや、肉声だ。わざと絞ってるってわけでもないようだ。しゃがれちゃいるが、力強い。子どものような年寄りのような。不思議な歌声。特に語尾をちょっと捻り上げるような癖。軽いがしっかりと刻むベースのリズム。なんか、明るいような切ないような不思議なメロディ。うほっ!行けるぜ、これ。慌てて、臨時停止!スマホ取り出し、曲と歌手を確認した。『Dance Monkey』Tones & I。これは出会いだぜぇ。久しぶりに心打つ曲と巡り合ったぜぇぇぇぇ。一気に気持ち浮き立って、残りの7キロ、しっかり走りきった。辛かったけど。
早速、ネットでチェック。なんと、1年前にオーストラリアを中心に大ヒットした曲だった。歌手の名前はTones & I。19歳のシンガーソングライターだってよ。それもストリートからデビュー2曲目!どう、知ってた?こいう洋楽ポップスなんて聞く知り合いいるわけないものね、ってぇか、この歳でこんなの聞いてること自体おかしい。
この曲の歌詞、君のしぐさ気に入ったからも一度踊ってよ、おサルさんみたいにさ、って内容らしい。街角で歌っていて、気まぐれな見物客とのやり取りに傷ついた彼女のため息のような曲なんだそうだ。うん、そうなぁ、たしかに切ない。弾むリズムの陰に言い尽くせぬ悲しみが張り付いている。だから、一気にはまったんだ。
でも、俺には、もっと深い哀愁に感じられるんだ。すでにこの世を去った大切な人に歌いかけているように聞こえる。一緒に楽しく歌ったり踊ったりしたよね、も一度見せてくれよあのダンス。も一度一緒に踊ろうよおサルさんみたいに無邪気にさ。決して取り戻せぬ二人の貴重な時間を慈しみつつ歌ってる。あるいは、自分を捨てた人かもなぁ。いづれにしても、この哀切!
まっ、勝手な思入れだよな、と思って、ミュージックビデオを見てみたら、これがまた、なんと、なんと、なんとぉぉぉぉ!
驚愕の映像だったんだ。死も間近、酸素マスクを着けて椅子に力なく座り込むバアサン、この音楽を聴くやいなや、一気に元気を取り戻し、仲間のジイサンたちを引き連れて、勝手放題をしまわる、って、もう涙が出るほど笑い転げる必見のビデオクリップだった!
https://www.youtube.com/watch?v=Z4J5Rs30LTM
これは絶対見てくれ!19歳の娘、それも大切なデビュー2曲目にこんなミュージックビデオ、作るかぁぁぁ???月並みだが、凄い!の一言だぜ。『Dance Monkey』最高の曲に巡り合えた。Tones & I、素晴らしいミュージシャンに出会えた。さらに、この突き抜けたビデオ!!
彼女の3曲目?『『The Kids Are Coming』』は、こっちはグレタ・ツゥンベリさんだ。歌詞は、『The Kids Are Coming』の繰り返し。大人たち、もういい加減手を引けよ。俺たちガキに任せろよ、って腹の底から怒りをぶつけてくる。こっちもいい歌だ。衝撃的なビデオだ。
なっ、No Run No Music!、実は、No Life No Music!につながってたんだぜ。