ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

見出しに気を付けろ!

2021-10-25 12:23:38 | 世の中へ

 これ見てくれ。

 朝日新聞に載った老後の暮らしについての記事だ。働く世帯の平均貯蓄額1378万円、だって。嘘ッ、みんなそんなにため込んでんのかよ。持ってるもんだねぇ、そこそこ裕福じゃん、なんて早合点しちゃなんねえぜ。この数値、平均だからな。金持ちも貧乏人も一緒くたにして人数で割っただけなんだ。

 あっ、そんじゃ人口の真ん中の値?ってこれも勘違いだぜ。だって、富裕層ほど一人当たりの貯蓄額どんどん高くなってくんだから。例えば、5000万貯めてる人2人と100万しか蓄えない6人で平均取ると、1325万円だ。なっ、平均貯蓄額1378万円を中心にそれより高額、低額で左右に人数の分布すれば、高額側対低額派は1対3になるんだよ。つまり、中央より左側=低貯蓄の方が圧倒的に多いんだ。まして、貯蓄ゼロって層も10パーセント以上あるって書いてある。

 なっ、騙されちゃなんねえのさ。国民の多くは、こんなにため込んじゃいないってことさ。

 こういう数字のマジック、いい加減にしてくれ!って、満身の怒りを込めて、って大げさだけど、思うんだぜ。これ、はっきり言って誤魔化しだろ。実態を見誤らせる見出しってことだ。人々の生活実感に目を据えて表現するなら、こんな見出しは付けらるはずがない。実態から大きくかけ離れてるよな。

 確かに、本文中では、貯蓄ゼロの人たちが多いことにも触れている。でも、見出しのインパクトって大きいからね、記事内容をどう一言で表現するかは、もっともっと慎重でなくちゃならない。安直に見出し付けちゃならんぜ、ってことだ。

 政府の誤魔化しすり替え答弁を、「ごはん論法」と名付けて指弾した法政大学の上西充子先生、くどくしつこく指摘してるだろ、政府発表の文言をそのまま見出しに使うな、それは読者に誤ったイメージ押し付けることになる、って。どうもねぇ、マスメディアの鈍感さはかなりの線まで行きついちまってるってことなんだよ。今の社会や政治を広く深く見据え、鋭く問題を指摘する、そんなメディアとしての基本を見失っちまってるってことなんだ。

 この平均貯蓄額の記事も同じだ。1378万の蓄えじゃ、老後は厳しいですよ、って。おいおい、それ以下の多数の人たちは厳しいなんてもんじゃないだろ。野垂れ死にラインだぜ。そういう低所得階層への目配り、視点てものがほとんどないから、こんな読む者を見誤らせるお気楽な見出しや記事になるんだぜ。

 高度経済成長期なら、一億総中流なら、それだって実は幻影だが、十把一絡げに国民の暮らしぶりを扱ってもよかった。でも、今は違う、もう誰がどう見ても格差社会はありありだろ。これまでの惰性で、平均は、とか、老人は、とか、若者は、とか、まして、国民はなんて大きく括ってわかったような記事書いてちゃダメなんだ。現実を見ろよ!

 記者たちの甘い認識、ずれた感覚が、今の日本の本当の姿を覆い隠す役割を果たしてるってことだよ。

 報道の自由度ランキング67位!当然だよ。政府や権力からの横やりやちょっかいもあるだろうけど、それ以上にメディアの姿勢が傾いてるってことが原因なんだと思うぜ。

 つぶさに現実を見つめる、己の頭で考える、恐れることなく表現する、もう一度、報道の原点に立ち返ってくれよ、ここらが歴史の曲がり角かもしれないんだぜ。

 

コメント
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