平田オリザさんの講演聞いた。
兵庫県北の豊岡に劇団(青年団)ごと移住し、その地で演劇祭を継続するとともに、大学、芸術文化観光専門職大学、まで新設、しかもどれもが着実に成果上げてる、って、いやぁ、改めてその多彩さと見識の確かさに圧倒されたな。
敢えてケチ?つけるとしたら、
彼の幼少時、遊びに行っていた渋谷の町は穏やかでゆとりがあったって体験談くらいかな。だってなぁ、俺もその頃渋谷で暮らしてたんだが、とてもとてもおっとり優雅なんてもんじゃなかったぜ。新興ヤクザの安藤組はのさばってるし、進駐軍相手のキャバレーなんかも多くて、いやいや危険で薄汚い、しかし、その猥雑さが魅力の街だった。
おっと、それともう一つ違和感、田舎から人が出て行くのは、仕事がないからじゃなくて、楽しみつまり魅力的な文化がないからだって、発言も、うっ、待てよ?じゃあったな。
ある意味納得、されど違和感。
そりゃたしかに、住居費とか安いし働く気になりゃ仕事はないわけじゃない。でも、製造中心だろ、夜勤当たり前だろ、給料安いだろ、いつ首切りされるか不安だし。持ち家あったり、二世代、三世代同居だから、なんとかなってるって面は大きいよ。
都会から人を引き寄せるにゃ、やっぱ、もっと多様で安定的な仕事がないとダメだよなぁ。
と、反論しつつも、確かに、若いやつらを惹きつけられないのは、地域やそこでの暮らしぶりに魅力がないからだって議論も、うんその通り、首を縦にふるのさ。
おこがましくも言わせてもらえば、俺が菜の花座の活動やらシニア演劇学校やらを続けてきたのも、文化の自賄い、って意識が動機の一つなんだ。楽しい文化が無けりゃ自分たちで作ればいいじゃん!ってことだ。
高校教師稼業の傍ら、手間暇かかる有機農業を続けて来たことだって、魅力的な農村ライフを見せてやる!って意気込みがあってのことでもある。そうさ、農業こそ文化だからな。おっと、宮沢賢治の受け売りか?
ただ、如何せん、俺の実践も力不足、地域活性化の成果などほとんど生み出せず、ただ自分が満足するだけのことに終わりそうだけど。
そうなんだ、仕事も必要、文化も大切、あまりにありきたりの結論だけど、そういうことさ。
平田オリザさんは、人々の集まる場の必要性ってことも言ってて、これはもう、諸手を上げて賛成、共感だな。
ただ通過する道だけ、立ち止まり、座り込み、話をかわす広場がない。広場があればなぁ、これは、井上ひさしさんの『イーハトーブの劇列車』のセリフずばり。
車社会になって、ますますその傾向加速している。家⇒会社⇒スーパー(コンビニ)⇒帰宅の繰り返しだもの。
まったく、街宣はおろか、ビラ配りだってできないこの貧しさ、これはなんとかしなくっちゃならんって思うぜ。