昨日アマゾンに注文したDVD『Winds of God』(今井雅之:作)が、早くも届いた。いやあ、アマゾン商売上手だね、抜かりないね。こうも手際よく届いたんじゃ見ないわけにいかないぜ、ってことで、今日の部活は、映画鑑賞だった。試験前だっちゅうのに、なにしてるの、遅くまで?って声が聞こえて来る。でも、知るもんか、そんなこと。部員は短い試験勉強期間でもしっかり集中してる、はず。
見ないわけにゃあいかないんだよ。地区大会の講評で、役をつかみ切れていない、ってきつーく指摘されたからね。終戦前後の若者の姿をぜひビジュアルで焼き付けておきたかったんだ。
このDVD、実は15年前の一般公開の時にも見ている。そのときはそんなにいい映画だとは思わなかったんだ、実のところ。ところが、ところがだよ、今回見てみたら、もう、これは素晴らしい映画だった。セットがちゃちとか、シーン作りが映画的でないところとか、つっつけばボロは出る。でも、骨組みが実にしっかりしている。何より、あの時代の若者が何故、特攻攻撃に駆り立てられたのか、ってことを実に丁寧に追っていたってことに感心した。無論、泣いた。ぼろぼろ泣いた。以前、見た時には見逃していたんだね、こんな大切な部分を。今回は、これが『Let's Dance 1946』のテーマの一つだったから、実に実に身につまされて見ることができた。
じゃあ、今井雅之は、特攻に散った若者たちは、何を信じて体当たり攻撃を敢行したって考えたのか?国家でもない。天皇でもない。家族や仲間、恋人、そんな身近な人たちへの愛や信頼、それが彼が提出した答えだった。それと、もう一つは時代!。ある者は自らの信仰を捨て、またある者は戦争目的への懐疑を振り捨てて、特攻を志願した。それは、身近な者たちへの愛と、どうしようもない時代の勢い故の止むに止まれぬ行為だったということだ。
なんと、一緒なんだよ、僕が『Let's Dance 1946』で書いたことと。もう、あまりにそっくりのせりふまで出てきて、びっくりしてしまった。本当に見せて良かった!
それと、この映画の構造って、置農演劇部の部員たちが置かれた状況とそっくりなんだ。主人公が、交通事故で突如、1945年8月にタイムスリップしてしまうという設定、これって、部員たちが顧問の気まぐれで、思いがけず1946年の若者を演じさせられることになったのとそっくりじゃないか。ね、だから、彼らは稽古を通して、必死に『Winds of God』の二人の若者と同じ経験をしているってことなんだ。
役柄を深めるためにも役だったし、現代の高校生が60数年前の若者の生き方を追体験できたことでも、試験期間中の強引な映画鑑賞会は実に有益だったと思う。部員たちと一緒に映画を見るって、なんか、とってもいいじゃないか?さあ、次は鈴木清順の『肉体の門』だよ。どんな反応帰って来るか、楽しみだね。