やった!て気持ちはたしかにある。
国の重要文化財の中だぜ。そこにセンター舞台作ってだぜ。明治の少女たちしっかり生きたし、一人一人登場するなんてカーテンコールもお客さんたち、飽きずに拍手してくれた。山形芸術文化会議の皆さん方からもお褒めの言葉いただいた。
疲れているからかなあ、どうも、気分は沈んだまま。公演の時の興奮のリバウンドなのか?いいや、そうじゃない。やっぱり、満足していないってことなんだ。
まずは、脚本。自分でも悪くないと思う。特にウェルメイドな台本としては、よく書けている。ストーリーも真新しいし、展開もスムーズだし、テーマも今日的だ。感動のちりばめ形もはまっている。それは、狙い通りなんだから、成功したってもっと胸張ってもいいはずなんだ。でも、どうも、いけない。気が滅入る。ウェルメイドってこと自体が、不満なんだな。底が浅いって感じるんだ。まあ、それは僕自身が底が浅いんだから仕方ないことなんだけど。
次に観客の少なさ、反応の乏しさかな。あれほど力入れて頑張って仕上げた作品なのに、見てくれた人はたかだか200人弱。いやいや200人だって凄いことじゃないかって思いもある。でもね、やっぱり、でもね。もっともっとたくさんの人に見てほしかった。
それから、僕の気合いの入れ方と団員のそれとが一つになれなかったってことも、後味の悪さの原因の一つだ。なんたって、僕は2年かけて、仕上げてきたからね、この冬は生活のほとんどすべてをこの芝居に捧げ尽くしたんだ。お陰で白内障にまでなっちまったくらいだから。暗い所で本を読みすぎたのと、パソコンに四六時中面と向かい合っていたのが原因なんだ。でも、そりゃ当然の事なんだ、人それぞれに生活があり、演劇への向かい方があるわけだから。わかってはいる。わかってはいるのだけれど、・・・・・
役者に関して言えば、みなそれなりに上手になった。自分の個性を上手く役にのせていた。でも、それは自分の得意な引き出しってことなんだ。もっと数ある引き出しを開けて、新しい演技をあふれ出させて欲しかった。
と、まあ、気鬱ぎのままに、だらだらと書いてきたけど、もしかすると、上に書いたことが落ち込みの原因ではないのかも知れない。終わった!って事自体が、憂鬱なのかな。ここまでが楽しかったってことではないよ。何なんだろう?目標が失われた時の空虚さってことなのかな。一種放心状態なだけなんだ、きっと。とて、まあ、寂しい終演のご挨拶になってしまった。
本公演を支えてくださった方々に、心より感謝いたします。