ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

感謝!プラザ演劇祭

2008-11-13 22:19:42 | 演劇

 プラザ演劇祭置農公演『Let's Dance 1946』無事終了だ。ともかく、つい4日前まで子どもミュージカル連続公演やってわけだからね、よくぞ切り替えてやり遂げたものだと思う。

 地区大会が終わってから、学園祭はある、ふるさとCM大賞はある、子どもミュージカル連続公演はあると、ほとんど『Let's Dance 1946』からは遠ざかっていたわけだから、よくぞまあ、って感想は偽らざるものだ。

 実際、1ヶ月のブランクってのはめちゃくちゃ大きくて、久しぶりに通してみたら、なんと、4分も時間オーバーしてしまった。もちろん同じ台本、同じ演出でだ。役者たち、完全にテンポを忘れてしまってたんだ。これには正直焦った。だって、県大会まで1週間だものね。

 そんな状態でプラザに乗り込んで、さあどうする?

 幸せだったのは、プラザ演劇祭ということで、2日間ホールを使わせてもらえたってことだった。これは贅沢ですよ!前日じっくりと仕込みをして、一回通し。翌日は午前すべて使って部分稽古をとことん。そして、午後からは2回のゲネプロ!そして、しっかり夕食休憩を取って、本番。いやあ、あり得ないゆとりだったね。最近は特に、ゲネもまともにできず、本番突入というとんでもない有様が常態化していたから、このゆったり感は幸せの極地だった。菜の花座文翔館公演なんて、ついに通しが一度もできずぶっつけ本番だったものね。

 なので、照明、音響などスタッフワークはばっちりだった。新庄での県大会を想定して、スタッフさんにはいろいろ無理を聞いてもらえたしね。じゃあ、役者の方はどうか?

 そう、まずはこの時点では及第点かな。確実に一つの世界を創れていた。それぞれ、地区大会より確実にレベルアップした演技を披露してくれた。お客様にも、ほぼ好評だった。

 でも、細かく見れば、まだまだ不十分だ。何より感情移入ができていない。結局、演出が指示した型でやってるだけなんだよな。自分の感情を高めて、役に同調するまでには行っていない。難しいのはわかる。なんせ、60年前の青春だ。時代背景がまるで違う。でも、人間の、日本人の感情ってことでは、普遍性があるはずなんだ。今の若者そのものってわけにはいかないが、努力すれば、彼らの気持ちを追体験できるはずなんだ。そう!努力!!演技を磨く努力ではなく、感情を研ぎ澄ます努力、こいつがまだまだ不足してるってことだ。

 とことん台本を読むこと。徹底して相手のせりふを感じること、これが、これから一週間のなんとしても越えねばならない、大きな山だ。舞台がウソになるか、本物になるか、その努力の質にすべてはかかっている。

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終わったぁぁぁ!子どもミュージカル連続公演

2008-11-08 20:12:03 | 演劇

 わずか2週間で5回!食育子どもミュージカル秋の連続公演が、目出度く!ちょん!目出度く!ちょんちょん!!終ったよ。川西町小松小学校から始まっても南陽市梨郷小学校、高畠町和田小学校、高畠町保育者研修会、そして、今日の長井市食生活改善推進協議会と、続いたねえ、辛かったねえ、頑張ったねえ!もう、プロの劇団だよ。

 5回もやると、条件も様々だからね、舞台作りも苦労の連続だった。ステージでやったり、フロアでやったり、観客も椅子席だったり、茣蓙に直に座ったりと、もう、いろんな条件に合わせなくちゃならない。

 中で一番の難物は袖をどう作るかなんだ。演劇やったことのある人は実感してもらえるだろうけど、観客から見える舞台の上手と下手には客席からは見えない袖と呼ばれる空間があって、ここに道具類や装置を仕込んであったり、役者が出を待っていたりする。つまり舞台裏っことだから、当然、客席から見えてはならない。これをどう確保するか、ここから置農子どもミュージカルは始まる。

 そんなの簡単だろ?って!馬鹿言っちゃいけない。客席のどの位置からも覗かれないように袖を作り、物を隠すのって本当に大変なんだ。客席が正面だけならたいしたことはない。でも、そんなのってまずあり得ないからね。たいがいは、ずらーっと横に広がって客席が作られる。そうなると上手下手の端の席からは、袖奥を斜めにのぞき込む形になるんだ。だから、そうとう奥まで見切れて(これ、演劇用語ね、見えちゃうって意味)しまう。

 そこで袖を何層も立てたり、斜めにしたりして、おっと、置農子どもミュージカルの袖の作り方教えなくちゃ、通じないか。置農子どもミュージカルは、どこでも公演します!をうたい文句にしてるからね、袖もすべて持ち込みで作ってしまう。どう作るかって?これもう、実用新案として登録したいくらいなものなんだ。どこにでもある展示用パネルね、あれに暗幕を張って袖するんだけど、あれって、高さが180cmちょっと低すぎる。で、特殊なフレームを自作して高さを8尺にしているわけ。これを8~10枚持ち込んで”どこでも袖”を作っている。

 だから、会場入りしてまず僕がすることは、この袖の建て方を決めること。十分に広さのあるステージが使えれば話しは簡単なんだけど、今日みたいに中途半端なステージだと、これはもう、パズル解くようなものなんだ。

 そう、今日の会場は中規模の結婚披露宴会場。いやぁぁ!まいった!ステージは狭い!天井は低い!!さらに極めつけ、客席は6つの円卓を囲んでびろーっと横に広がっていた!ほら、宴会のあのパターンだよ。仕方ないよね、祝賀会の一環なんだから。なんだ、アトラクションかなんて言うなよ。主催者は置農食育ミュージカルに惚れ抜いてくれて2年越しでオファーの末実現した公演なんだから。とりあえず袖を立ててみて驚いた。両端の席からは袖の中が奥の奥まで丸見えなんだ!いやぁ!焦ったね!どうする?どうする?部員たちは心細げに?不満げに?見てるしね。どうすんの?こんなんじゃ芝居できないよって僕をなじる視線がもう痛い痛い!

 こういうときには、静かに思い悩むこと、これしかないよ。ダメですよとか、無理!とか人の神経逆なでするようなこと気楽にほざく奴いるからね。そういう奴らは追放!!必要なスタッフだけ残して、後はストレッチと発声に追いやった。悩み苦しむこと15分、なんだそんなもの?って言うなよ、ともかく決断しなくちゃなんないだ、後が詰まっているから。ステージに上がるための踏み台やら、金屏風やらも動員して、どうにかこうにか見切れない舞台を設置できた。

 でも、できた舞台は間口はわずかに2間!!奥行き1間半!!どうやって芝居するって言うの?不審もあらわな部員たちに、こういう制限された空間をいかに工夫するかが面白いんだ、どんな空間でもできるってのが役者だ、とかなんとかごまかして、ダンスは客席に降りる、大道具は直前に出す、舞台での配置は大幅に変えるってことにして、徹底したリハーサルを行った。

 で、上手くいっちゃうわけだよ。ここが、置農演劇部の適当なとこ、おっと、違った、臨機応変力のすばらしさってものなんだな。いやいや、ほんと!凄いと思う。舞台慣れの成果だね。なんせ、この『合い言葉は?もったいない!』だけで10回目の舞台、このメンバーになって全部で17回目の公演だから、ちょっとやそっとのことじゃうろたえないってことなんだ。

 ということで、子どもミュージカル秋の連続公演、目出度く終了!明日からは県大会に全力投球だ!おっとその前に明明後日、プラザ演劇祭の舞台があったっけ!できんのか?できるとも!あいつらだもの!って、ちょっとよいしょしとこうか。

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感情を学ぶ

2008-11-04 23:44:18 | 演劇
 感情を学ぶって、どういうことだ?
 
 高校演劇県大会に向けて、今、演技の質を上げるべく稽古の真っ最中だ。課題は何か?それは、役になりきること。なーんだ、そんなこと!って言わないでほしい。なりきる役ってのが生半可じゃないんだから。時代は終戦直後、1946年だ。一人は、身を持ち崩しアメリカ兵相手に体を売って暮らしている女。一人は日系二世の青年。今日は、この二人のシーンばっかり徹底的に稽古した。
 
 どっちの役も、およそ今時の高校生とははるか隔たった存在、思い描こうにも手がかりさえない役柄だ。売春での身過ぎ世過ぎ、僕だってわからない。差別され侮蔑され、どん底の屈辱に耐える青春、これだって想像つかない。まして、経験の乏しい部員たちだ。できっこないよ!
 
 たしかに、経験しなくちゃわからないことってある。でも、それがすべてってことではないと思うんだ。人間17年も生きてくれば、結構いらんな体験を積んできているものだ。悲しみや憎しみや苦痛や喜びや嘆きや・・・・そりゃ、その原因は、身売りでもなければ、人種差別でもないかもしれない。でも、どこまでも深い悲しみとか、激しい憎悪とか、自己蔑視とか、心のひだをたどっていけば、きっとどこから隠されている感情に違いないんだと思う。
 
 問題は、こういった特殊な感情は日常的に馴染みのあるものではないので、よくよく心の底を探し回らないと見つからないってことなんだ。そんな日頃縁のない感情を身近に引き寄せること、役者たちの下意識の世界から探し出すこと、これが、結局、演出の仕事ってことなんじゃないだろうか。
 
 今日は、わずか数分のシーンを1時間半かけて作り直しをした。たった一つのせりふを何十回と繰り返した。演じる役柄について何度も説明し、そのせりふに隠れる感情をとことん解説した。時には、僕が演じてみせながら、彼らの感情世界から狙いのものを引き出すべく、稽古を続けた。

 で、1946年の深く傷ついた青春にたどり着けたのか?答えは、・・・難しい!たしかに、これまでの表現から一歩深まった。でも、やはり、まだまだなんだ。終戦直後の青春にはまだまだ隔たりがある。いや、どこまで行っても、最後の深い溝は埋まらないかもしれない。でも、その深淵がほの見える瞬間がきっと来ると思うんだ。その黒々とした闇を役者たちがのぞき見た時、演技は、観客の心に響くものを持ち得ることになるに違いない。

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『肉体の門』を見た!

2008-11-02 21:40:06 | 映画

 鈴木清順監督の『肉体の門』を見た。そうとう前の作品だ。調べたら1964年だった。若さぴちぴちの野川由美子や宍戸錠が主演だもの。戦後まもなくの東京有楽町、そこをシマにするぱんぱんグループの話だ。売春婦の物語だし、女同士の凄惨なリンチシーンもあると聞いてたので、かなり構えて見たけど、さすが?というべきか、にしては?と言うべきなのか、鈴木清順監督の手で女たちは実に美しく逞しく仕上げられていた。性や暴力も描かれているけれど、本質は清らかな純愛映画、なんて言ったら誤解されるかな?だって感じた。

 でも、素直に映画に没頭できない事情があった。そうなんだ、演劇部の部員たちと一緒に見たんだよ。こんなことお堅い人たちが聞いたら、腰抜かすかもね。もしかしたら、おしかりのコメントとか入るかもしれない。うーん、芸術鑑賞面では極力タブーをもうけないようにしている僕としても、見せる前はちょっぴり躊躇したのは事実だ。それでも、敢えて見せた。だって舞台作りに必要だったから。

 この『肉体の門』、今、:県大会に向けて練習中の『Let's Dance 1946』と重なる映画なんだ。置農作品の方は、置賜地方が舞台なので映画のような生々しい本能丸出しの世界ではないんだけど、中に東京から戻ってきたパンパンとか、特攻帰りの荒くれ者なんてのが出てくるから、あの時代やそこに生きた若者たちの思いや姿、振る舞いを、感じ取ってほしかったんだ。すでに戦時中の青春群像については『ウインズ オブ ゴッド』で見せていたから、今度は終戦直後の生々しい現実?を見知ってほしかった。

 心配したほど露骨な性描写や暴力シーンもなく、まあ、ホッとしたことはしたんだけど、やはり女性の裸やセックスシーンは当然のこと、盛りだくさんだから、果たしてどんな風に見てくれているか、気になって、いささか気が気じゃなかった。ってほどでもないか。

 じゃあ、見せなきゃよかったかって?そりゃない、断じてない!驚くほど置農の芝居に重なる部分があったんだ。まず、オープニングが『星の流れに』の歌だし、途中『リンゴの歌』も出てくる。主人公のボルネオマヤが戦地で亡くした兄を慕っているところとか、宍戸錠の復員兵が生き残って帰ったことに罪悪感を感じてる設定とか、ねっ、そっくりでしょ。ったってわからないよね、どちらも見てない人には。

 高校生には重たすぎる愛や性の実相、とことんまで堕ちきった人間の赤裸々な欲望なんかにはきっと圧倒されたと思うし、その芸術的な深みを理解出来なかったかもしれないけど、あの混沌の時代に、抜き差しならない過去を背負って生きた若者たち、それぞれのどろどろとした生き様は感じ取ってくれたことと思うんだ。死と面と向かい合い、すべて権威が失墜した空虚さの中で本能の赴くままに逞しく生きた娘たち。堕ちるところまで堕ちろとうそぶき強盗に精を出す復員兵。時代の深度はあまりにも深い。その底知れぬ深みを感じ取ってくれたなら、それでいいのだと思う。

 と、今はそう思うんだけど、見終わった直後は、あまりに生々しくて、うーん、こりゃ口直しが必要かな?なんて、結局、『ウェストサイド ストーリー』も見せてしまった。これも当然、良かった!生徒たち、泣いてたしね。おっと、僕もだけど。

 それにしても偶然の一致!『肉体の門』も、『ウェストサイド ストーリー』も純愛、悲恋映画だったんだ。それも、どちらも駆け落ちが最後のシーンになっていて、さらに、どちらも、男が殺されて駆け落ちが叶わないって、ね、凄いよね、ここまで一緒だと。

 と、まあ、今日は映画鑑賞で稽古はお休み!明日からは、『肉体の門』でずしんとしまい込んだものをしっかりと使って、これまでを越える演技を披露してくれるだろう、きっと。

 

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