アヴェ・マリア!
兄弟姉妹の皆様、
9月14日は、十字架称賛の祝日でした。
ローマ聖務日課では、Vexilla Regis という讃歌を歌います。(この讃歌は御受難の主日と聖木曜日にも歌います。)大変有名な歌なので、紹介します。
これは、ヴェナチウス・フォルトゥナトゥス(Venantius Fortunatus (530-609))によって書かれました。しかし、典礼ではフォルトゥナトゥスの作詞した通りではなく、2,7,8節が省略され、更にローマ聖務日課では1632年にウルバノ八世教皇が変更が加えた通りに歌います。次の通りです。
Vexílla Regis pródeunt:
Fúlget Crucis mystérium,
Qua vita mortem pértulit,
Et morte vitam prótulit.
Quæ vulneráta lánceæ
Mucróne diro críminum
Ut nos laváret sórdibus,
Manávit unda et sánguine.
Impléta sunt quæ cóncinit,
David fidéli cármine;
Dicéndo natiónibus:
Regnávit a ligno Deus.
Arbor decóra et fúlgida,
Ornáta Regis púrpura,
Elécta digno stípite,
Tam sancta membra tángere.
Beáta, cujus bráchiis,
Prétium pepéndit sæculi:
Statéra facta córporis,
Tulítque prædam tártari.
O crux, ave, spes única;
Hoc Passiónis témpore,
Piis adáuge grátiam,
Reísque dele crimina.
Te, fons salútis, Trínitas,
Colláudet omnis spíritus:
Quibus Crucis victóriam
Largíris, adde præmium.
Amen.
ネウマ符とMIDIは次をご覧下さい。
VEXILLA REGIS PRODEUNT
VESPERS HYMN OF PASSIONTIDE
Venantius Fortunatus, d.609 / Mode 1
この日本語訳は次のサイトをご覧下さい。
VEXILLA REGIS PRODEUNT ラテン語の歌詞による聖歌(受難の主日)
王の御旗、前進す、
十字架の神秘、輝き光る、
ここ(十字架)にて、
命は死を取り尽くし、
死によりて命を返し給ふ。
フォルトゥナトゥスの作詞のラテン語は、次のサイトをご覧下さい。
Vexilla Regis (Royal Banners)
良くみると例えば、
Vexilla Regis prodeunt:
Fulget Crucis mysterium,
Qua vita mortem pertulit,
Et morte vitam protulit.
のところが、
VEXILLA Regis prodeunt;
fulget Crucis mysterium,
quo carne carnis conditor
suspensus est patibulo.
となっていること
或いは、
Qua vulnerata lancea
Mucrone diro criminum
Ut nos lavaret sordibus,
Manavit unda et sanguine.
が
Quo vulneratus insuper
Mucrone diro lancea,
Ut nos lavaret crimine,
Manavit unda et sanguine.
となっていることに気が付きます。このもともとの歌詞(聖務日課のものと共に)は、次にも楽譜付きで掲載されています。
VEXILLA REGIS PRODEUNT
LENT AND PASSIONTIDE --Tradtional Melody (1699)--
この歌は極めて有名でダンテの神曲の「地獄編」にも、サタンがキリストのパロディーをするということで登場します。
地獄編第34曲(Inferno: Canto XXXIV)はこう始まります。
≪Vexilla regis prodeunt inferni
verso di noi; pero dinanzi mira≫,
disse 'l maestro mio, ≪se tu 'l discerni≫.
ここでダンテの師(maestro mio)であるウィルギリウスはイタリア語ではなくラテン語で言うのですが、
「王の御旗、前進す」の代わりに inferni をつけて、「地獄の王の旗、前進す」と言い出します。
(Vexilla regis prodeunt inferni というサタニストの歌を歌うロックグループもあるそうです。怖ろしいことです。)
「地獄の王の旗、我らに向けて前進す。
そら、前を見よ、わかるか」師は言い給う。
≪Vexilla regis prodeunt inferni
erso di noi; pero dinanzi mira≫,
disse 'l maestro mio, ≪se tu 'l discerni≫.
ダンテの神曲の日本語訳は次のサイトをご覧下さい。
ダンテと沙漠と詩 著作:中西治嘉
LibriVox による朗読ファイルもあります。
イタリア語原文 La Divina Commedia by Dante Alighieri
英語 The Divine Comedy translated by Henry Wadsworth Longfellow
T.S. Eliot の言葉
「ダンテとシェイクスピアは世界を自分たちの間で分けている。彼らに続く第三番目のものはない。」
"Dante and Shakespeare divide the world between them -- there is no third." --- T.S. Eliot
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【参考資料】ベネディクト十六世教皇の自発使徒書簡 Motu Proprio 『スンモールム・ポンティフィクム SUMMORUM PONTIFICUM 』の非公式日本語訳
【参考資料】ベネディクト十六世教皇の自発使徒書簡 Motu Proprio 『スンモールム・ポンティフィクム SUMMORUM PONTIFICUM 』の非公式韓国語訳
【参考資料】第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和1と2
第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和3と4
第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和5,6,7.8
第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和 第二部 9,10,11
第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和 第二部 12,13,14,15
■ 松浦悟郎司教さまが呼びかけ人になって、良心の自由を理由に「日の丸」と「君が代」の拒否をすすめているが、どう思うか
■ 異端とは何か? 離教とは何か?:ダブルスタンダード?! 聖伝主義に対する態度とエキュメニズム
■ ヨハネ・パウロ二世の書簡「エクレジア・デイ」について
■ 「聖ピオ十世会のミサは有効であり主日の義務を果たすか」教皇庁立委員会エクレジア・デイの回答
■ 聖ピオ十世会、聖伝ミサに関する問い合わせ
■ 新しいミサでは「王であるキリストの祭日が終末を表す年間最後の主日に定められていることも意義深いものです」
■ 「王たるキリスト」祝日の根拠
■ 「自身の良心に従う」とは?
■ 第二バチカン公会議とは?
■ 第二バチカン公会議のモットー
■ 新しい「光りの玄義」について
■ 東方正教会
■ カトリックのエキュメニズム運動
■ 過ぎ越しの神秘
■ ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿とその思想は?教皇ベネディクト十六世の考えをよく理解するために
兄弟姉妹の皆様、
9月14日は、十字架称賛の祝日でした。
ローマ聖務日課では、Vexilla Regis という讃歌を歌います。(この讃歌は御受難の主日と聖木曜日にも歌います。)大変有名な歌なので、紹介します。
これは、ヴェナチウス・フォルトゥナトゥス(Venantius Fortunatus (530-609))によって書かれました。しかし、典礼ではフォルトゥナトゥスの作詞した通りではなく、2,7,8節が省略され、更にローマ聖務日課では1632年にウルバノ八世教皇が変更が加えた通りに歌います。次の通りです。
Fúlget Crucis mystérium,
Qua vita mortem pértulit,
Et morte vitam prótulit.
Quæ vulneráta lánceæ
Mucróne diro críminum
Ut nos laváret sórdibus,
Manávit unda et sánguine.
Impléta sunt quæ cóncinit,
David fidéli cármine;
Dicéndo natiónibus:
Regnávit a ligno Deus.
Arbor decóra et fúlgida,
Ornáta Regis púrpura,
Elécta digno stípite,
Tam sancta membra tángere.
Beáta, cujus bráchiis,
Prétium pepéndit sæculi:
Statéra facta córporis,
Tulítque prædam tártari.
O crux, ave, spes única;
Hoc Passiónis témpore,
Piis adáuge grátiam,
Reísque dele crimina.
Te, fons salútis, Trínitas,
Colláudet omnis spíritus:
Quibus Crucis victóriam
Largíris, adde præmium.
Amen.
ネウマ符とMIDIは次をご覧下さい。
VEXILLA REGIS PRODEUNT
VESPERS HYMN OF PASSIONTIDE
Venantius Fortunatus, d.609 / Mode 1
この日本語訳は次のサイトをご覧下さい。
VEXILLA REGIS PRODEUNT ラテン語の歌詞による聖歌(受難の主日)
十字架の神秘、輝き光る、
ここ(十字架)にて、
命は死を取り尽くし、
死によりて命を返し給ふ。
フォルトゥナトゥスの作詞のラテン語は、次のサイトをご覧下さい。
Vexilla Regis (Royal Banners)
良くみると例えば、
Vexilla Regis prodeunt:
Fulget Crucis mysterium,
Qua vita mortem pertulit,
Et morte vitam protulit.
のところが、
VEXILLA Regis prodeunt;
fulget Crucis mysterium,
quo carne carnis conditor
suspensus est patibulo.
となっていること
或いは、
Qua vulnerata lancea
Mucrone diro criminum
Ut nos lavaret sordibus,
Manavit unda et sanguine.
が
Quo vulneratus insuper
Mucrone diro lancea,
Ut nos lavaret crimine,
Manavit unda et sanguine.
となっていることに気が付きます。このもともとの歌詞(聖務日課のものと共に)は、次にも楽譜付きで掲載されています。
VEXILLA REGIS PRODEUNT
LENT AND PASSIONTIDE --Tradtional Melody (1699)--
この歌は極めて有名でダンテの神曲の「地獄編」にも、サタンがキリストのパロディーをするということで登場します。
地獄編第34曲(Inferno: Canto XXXIV)はこう始まります。
≪Vexilla regis prodeunt inferni
verso di noi; pero dinanzi mira≫,
disse 'l maestro mio, ≪se tu 'l discerni≫.
ここでダンテの師(maestro mio)であるウィルギリウスはイタリア語ではなくラテン語で言うのですが、
「王の御旗、前進す」の代わりに inferni をつけて、「地獄の王の旗、前進す」と言い出します。
(Vexilla regis prodeunt inferni というサタニストの歌を歌うロックグループもあるそうです。怖ろしいことです。)
「地獄の王の旗、我らに向けて前進す。
そら、前を見よ、わかるか」師は言い給う。
≪Vexilla regis prodeunt inferni
erso di noi; pero dinanzi mira≫,
disse 'l maestro mio, ≪se tu 'l discerni≫.
ダンテの神曲の日本語訳は次のサイトをご覧下さい。
ダンテと沙漠と詩 著作:中西治嘉
LibriVox による朗読ファイルもあります。
イタリア語原文 La Divina Commedia by Dante Alighieri
英語 The Divine Comedy translated by Henry Wadsworth Longfellow
T.S. Eliot の言葉
「ダンテとシェイクスピアは世界を自分たちの間で分けている。彼らに続く第三番目のものはない。」
"Dante and Shakespeare divide the world between them -- there is no third." --- T.S. Eliot
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【参考資料】ベネディクト十六世教皇の自発使徒書簡 Motu Proprio 『スンモールム・ポンティフィクム SUMMORUM PONTIFICUM 』の非公式日本語訳
【参考資料】ベネディクト十六世教皇の自発使徒書簡 Motu Proprio 『スンモールム・ポンティフィクム SUMMORUM PONTIFICUM 』の非公式韓国語訳
【参考資料】第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和1と2
第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和3と4
第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和5,6,7.8
第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和 第二部 9,10,11
第二バチカン公会議の「信教の自由に関する宣言」(DIGNITATIS HUMANAE)羅和 第二部 12,13,14,15
■ 松浦悟郎司教さまが呼びかけ人になって、良心の自由を理由に「日の丸」と「君が代」の拒否をすすめているが、どう思うか
■ 異端とは何か? 離教とは何か?:ダブルスタンダード?! 聖伝主義に対する態度とエキュメニズム
■ ヨハネ・パウロ二世の書簡「エクレジア・デイ」について
■ 「聖ピオ十世会のミサは有効であり主日の義務を果たすか」教皇庁立委員会エクレジア・デイの回答
■ 聖ピオ十世会、聖伝ミサに関する問い合わせ
■ 新しいミサでは「王であるキリストの祭日が終末を表す年間最後の主日に定められていることも意義深いものです」
■ 「王たるキリスト」祝日の根拠
■ 「自身の良心に従う」とは?
■ 第二バチカン公会議とは?
■ 第二バチカン公会議のモットー
■ 新しい「光りの玄義」について
■ 東方正教会
■ カトリックのエキュメニズム運動
■ 過ぎ越しの神秘
■ ヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿とその思想は?教皇ベネディクト十六世の考えをよく理解するために