読売新聞(7月16日)にこんな記事が出ていた。
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地域の歴史や住民の生活を中央の文書以上に生々しく残している地方の公文書が、「平成の大合併」などの影響で散逸したり、廃棄されたりする懸念が広がっている。
国立公文書館(菊池光興館長)が実施した調査で、すでに廃棄事例が明らかになっており、同館では貴重な記録の保存徹底を全国の市町村に呼びかけている。
公文書館法は、公文書の保存や利用に関し、地方自治体に適切な措置を講じる責任があると定めている。地方の公文書には、江戸時代に三宅島に島流しにあった罪人の名簿(東京都公文書館)や、戦時中に受け入れた学童疎開の記録(長野県松本市文書館)など、歴史的価値の高い資料も多いためだ。
ところが、国立公文書館が今年5月、1999年4月から2005年1月までの合併で誕生した135の市町を対象にアンケートを実施したところ、回答を寄せた110自治体のうち約半数の56自治体が合併時に公文書の一部を廃棄していた。廃棄された文書の詳細は調べていないが、このうち3自治体は「担当者の判断で廃棄した」と説明しているという。
自治体の保存意識の薄さに危機感を強めた国立公文書館は「合併市町村では合併事務が膨大で、公文書保存まで気が回らないケースもある」と見て、全国公文書館長会議などを通じて市町村に保存を働きかけるよう促している。また、総務省に対しても、「合併市町村で保存の取り組みが十分でない。適切な措置を要請する」とする文書を送付した。同省もこれを受けて全都道府県に通知を出し、市町村に公文書保存を呼びかけるよう求めている。「平成の大合併」で、市町村数は06年3月末には1822となり、今年度だけでも600近く減ることになる。
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歴史は紙に書いて残すしかない。出来事は言葉で残すしかないのに、それが、担当者の判断くらいで抹消される。
どうかしている。