読売新聞によると、名称は「教職大学院」に…実務家「4割以上」も提言だそうです。
①教員養成を目的とする専門職大学院の設置を検討している中央教育審議会のワーキンググループは27日、新設する大学院の名称を「教職大学院」とする報告書案をまとめた。
②教員の「教育技術向上」のため、配置する専任教員のうち「4割以上」を校長経験者などの実務家で占めるよう文部科学省に提言した。
③ワーキンググループはすでに、教職大学院の開校目標を2007年4月とする方針を打ち出しており、文科省は「教職大学院」という名称を使えるよう、年度内にも専門職大学院の設置基準を改正する。
④報告書案はこのほか、各大学院が確保する専任教員数を最低11人とし、このうち4割以上については、校長や指導主事経験者、家庭裁判所関係者らの実務家を起用するよう求めた。「確かな授業力」と「豊かな人間力」を身につけさせるためで、法科大学院の「2割以上」を大きく上回る実務重視型となる。
⑤大学院の修了に必要な単位数を45単位以上と規定し、このうち10単位(約10週間)以上は学校現場での教育実習に充てることを求めた。1種免許状を取得する学部学生には現在、5単位(約4週間)分の実習を課しており、教職大学院では、その2倍以上の現場経験を積ませる。
⑥こうした実習や学校現場での実地調査をスムーズに進めるため、各大学院と一般の小・中学校が「連携協力校」の指定を受けられるよう、設置基準に規定することも要望した。
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文句を言うことが目的ではないが、異議あり。
①名称として教育大学院としなかったことはよしとしよう。
②教育技術とは何を指しているのか。校長経験者は学校運営の面で実務家と呼べるのか。彼ら彼女たちは中間レベル管理職でしかない。行政機関の中で、課長・課長補佐レベルで教授に値するのか。全部だめとは言わないが、そんな人材、それほど確保できないと思う。
③は①を具体化するための作業だ。でも、これ法律改正でも何でもない。それほどたいしたことではない。専門職といっても、その程度である。
④校長以外で求める指導者として、指導主事経験者をあげている。この人たちはそれほどすごいと言えるのか。教科指導・生徒指導・進路指導等々あるが、どの指導主事経験者なのか。家裁関係者とは何を指すのか。
⑤修了に必要な単位数が45単位。修業年限は2年間か3年間どちらなのか。通常の大学院(専門職大学院も含む)では、修了要件となる単位数は30単位前後である。2年間で1.5倍の単位数では、これでは詰め込み教育だ。仮に教育実習を8週間10単位としても、35単位は相当多い。専門職大学院なので、必ずしも修士論文(研究成果報告)の提出は求められないものの、それなりの学習は必要だ。多くないか。
⑥の実習はいったいどこが引き受けてくれるのか。
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一番の問題は、もっともリカレント教育が必要な現職教師のことが真剣に取り上げられているように見えないことである。少なくとも、新聞に出ていない。報道する価値がないと言うことなのかもしれない。いずれにしてもよくないと思う。
新採用の一部に専門職大学院修了者を考えること自体は反対ではない。でも、いったい何人この方法で養成し、採用試験で合格するのだろうか。
採用では、年齢、同等学歴横一線が公務員組織の特徴である。公務員採用試験で最終学歴が問われるのは、教師のような免許職である。公務員は採用前の経歴では区別できない。学習歴でも同じである。この学校を出ていれば、旧制高等師範学校卒業生のような特権的階級として扱うのであればともかくも、それはできない。それに、そんなことをしたら、何のための教育技術向上策なのかわからなくなる。
任用システムとして現在の教員採用に問題があることも理解するし、信じられない馬鹿者が学校に勤務している可能性も否定しない。でも、学校の先生という業界への参入障壁ではないだろうか。
もう一度言う。もっともリカレント教育が必要なのは、現職教師である。緊急で重大な問題は、義務研修年限が終わってしまう15年目以降の教師にも勉強をするチャンスをもっと設けることである。
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問題を含む提言であると感じる。
今後とも要チェックである。