前歴がどうであっても、年齢がどうであっても、優秀であれば認めよう。
でも、一度公務員の辞令をうけたら、公務員として、やっていいことと、いけないことの判断ができないと困る。周りが迷惑する。
…少なくとも表沙汰になったらどう扱われるかの想像力がなくては困る。
大人なんだから、先生なんだから、若くったって校長先生なんだから。
…結果的に世間を騒がせたのだとしたら、自覚不足。どこか抜けている。
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残念なことだけど、公務員は現在あまり社会から信用されていない。
公務員だったら、公務員は世の中からどのように見られているか、わからなければいけない。
どんなにがんばっても、できて当たり前。だめなら嵐のように非難が飛んでくることをわかっていなければいけない。
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大学を出てからずーっと先生をやっていると世間知らずとかいろいろなことを言われる。公務員はだめだとも言われる。民間で働くことが、公務員として働くことに比べて、そんなに絶対善視されることなのか疑問に感じている。そんな違うのかしらと、前から"?"が浮かんでいる。
でも、公務員である以上、どんな批判もそれを我が身を正す縁として考えようと思う。
実際先生の世界しか知らない以上、反論しても詮無いことである。
民間から人材を(押し抱くようにちょうだいして)校長や教頭に据えることが目立っている。そのこと自体に文句はない。どこにいても、どこでキャリアを重ねても、School Administrator(管理運営者:校長教頭)として優秀な人は優秀である。
今回できたてほやほやの学校を任された校長先生が、ふざけたことで世間を騒がせてしまった。現在の社会において、学校・校長・教頭・教諭の仕事の注目されよう-それもあら探しの視線の集まり方-は半端ではない。よほど身の回りのことをしっかりしなければだめである。
今度は何だ。もういい加減にしてほしい。そんなニュースである。
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“楽天校長”が修学旅行中に飲酒 懲戒抵触を認識 横浜
横浜市が公募した民間人校長枠で採用され、4月に市立東山田中(同市都筑区)に着任した「楽天」元副社長の本城慎之介校長(33)が、6月に行われた同校の修学旅行で数人の教諭と飲酒していたことが8日、分かった。
市教委は修学旅行など校外活動中の教員の飲酒を禁じており、本城校長らから事実関係を確認、近く処分するという。
市教委などによると、同校は6月4日から2泊3日で京都と大阪に修学旅行。京都市内のホテルに宿泊した5日午前3時半ごろ、随行した本城校長は引率教諭らに誘われ、350mlの缶ビール2本を飲んだ。
教諭らは、生徒の一部が就寝時間を過ぎても未明まで騒ぎ続けたため、早く寝るよう指導した後、飲酒したという。
本城校長は「懲戒処分にあたることは知っていた。処罰を受けることでこたえたい」と話している。(産経新聞)-11月9日2時52分更新
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楽天出身の校長修学旅行中飲酒
IT関連会社「楽天」元副社長で、横浜市立東山田中学校=同市都筑区=の本城慎之介校長(33)が今年6月の修学旅行に同行した際、引率の教諭数人と酒を飲んでいたことがわかった。市教委は引率などでの教職員の飲酒を禁止している。本城校長は事実を認め、「(禁止されているという)認識はあったが、甘かった」と話しているという。
市教委によると、修学旅行は3年生対象で、6月4~6日に京都府に出かけた。5日午前3時、見回りなどの生徒指導が終了。反省会をかねて、本城校長と教諭ら4、5人が宿泊先の一室に集まり缶ビールなどを飲んだという。本城校長は350mlの缶ビール約2本を飲んだ。
市教委が昨年7月に策定した「教育公務員に適用する懲戒処分の標準例」によると、校外学習や部活動指導中の飲酒は「不適切行為」とされ、減給または停職処分に当たる。市教委は「深夜でも生徒たちに何が起こるかわからない。同席していた教諭にも事情を聴いた上で処分を決めたい」としている。
本城校長は昨年12月、県内の小中学校で初めて公募した民間人校長に68人の中から選ばれ、今春就任した。(asahi.com MY TOWN神奈川 11/9)
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午前3時過ぎまで、教師が起きて生徒の就寝指導をしなければならない。世の中の人は想像もつかないだろう。
放っておけばいいとは、言えないのが修学旅行である。今年の5月、沖縄県恩納村のリゾートホテルで転落事故があった。修学旅行中の徳島県の中学2年生が死亡している。
転落事故。何年かに1件、必ずある。ニュースにならないのはその何倍あるかわからない。
100分の1、1000分の1の事故も許されない。
バカみたいだと思うけど、就寝指導も仕事になる。
3時過ぎ...もうすぐ朝じゃないか。仮眠でも何でも、寝ておけばよかったのに。
魔が差したんだろうね。
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「懲戒処分に当たることは知っていた。。。」
それでも飲んじゃった。。。飲みたくなるのはわかるけど、だめなのである。
…ばれないだろうと思っていただろう。判断力が鈍ったか、バカ者である。
「(禁止されているという認識はあったが)、甘かった」
やっちゃだめだとわかっていながらというのは、知らなかったよりも罪が重いぞ。
…誰も告げ口しないだろうと思っていただろう。周りが見えていない。甘いのだ。
公務員は法律、条例、規則に縛られる。
公務員だから決められたことに専念する。命令には従う。
規則に従っていないもの、法律に反しているものを看過することは公務員はできないことになっている。
今回のことは法律違反ではないにしても、ちゃんと引率をしている職員から見れば、ふざけているととられても文句は言えない。おそらく市教委に、「問題提起」をしたのは引率をした教師であろう。
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服務規程や懲戒処分の基準などを、折に触れ職員に徹底するのは、個別学校の管理責任者・校長である。
年末年始の交通安全(忘年会新年会シーズンの飲酒運転禁止)や、宿泊を伴う生徒引率(修学旅行・部活動合宿の「安全」管理)について、どこの校長でも何もないように心を配り、無事に終わることを考える。
定年退職を迎え、新年度新校長に任務引き継ぎして、ほっとした表情を見せた校長を何人も見ている。
今回のことは、誘った方も誘った方だけど、誘われたからって飲んじゃまずい。
それを見ていた別の先生が、怒って教育委員会に連絡したとしても、文句は言えない。引率責任者の校長がやったらまずいことがわからなかったのかな。
33歳。いくら何でも若い。六本木ヒルズとは世界が違うのである。
校長人事は教育委員会が任命権者である。何を考え、何をチェックしたのか。教委も言われなくてもいいことを言われ、ブログに書かれなくてもいいことを書かれる。民間出身者を校長に登用するのは難しくなった。
この校長先生のことも、きっと一生懸命精査して、間違いがないよう、あとに迷惑がかからないよう、おそらく祈るような思いで選考したのだろう。
よわったことだなあ。
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「処分を受けることでこたえたい」
…誰に、何をこたえるのだろうか。
減給もしくは停職が今回のような「不適切行為」に対する処分のようだ。解職はない。もっとも、解職といっても、この人は教頭、教諭には戻せない。首にはならないと高をくくっているようにも見える。
いい機会である。自らの注目度と、公務員組織の中で何かをやらかして、世間様の注目を浴びることがどんなことなのか、考えてもらいたいものだ。
思っているかもしれない。。。
たかだか飲酒である。缶ビール2本だぜ。
それもたった一回のこと。
でも、こんなに注目をされてしまう。
いけいけどんどんのIT企業と、学校の置かれた状況の差に愕然とし、死ぬほど悔やんでくれているといいのだが。
「学校はなにやってんだ。」
「校長がそれじゃだめだろう。」
そういう電話、勤務校に殺到しているのではないか。
残業手当も付かず、めちゃくちゃな勤務時間の中で、生徒のことを一生懸命やっている人もいる。
こんなばかげたことで、学校が話題になって不快な思いをした人もいる。
僕たち教員も生身の人間である。ミスもするし、事故もある。
もちろん僕だって、いつ、何が起こるかわからない。
今回のことだって、10年前なら何の話題にもならなかっただろう。
現在の世の中は、学校のミスを全く認めない。いやなことだけど、事勿れ主義といわれても、我慢してがんばらなければいけないと思う。
すごく悲しく、いやな状況である。
人間はロボットではないけど、ロボットになることを求められているような状況である。
しっかりしてくれ!!!
そんな気がする。