生徒が進路研究(大学進学)をするために、勤務校の各教室には何種類かの受験雑誌が置いてある。その中に蛍雪時代の大学学部学科研究増刊号がある。
今年の全国大学内容案内号(8月増刊)に去年まではたぶんなかった項目が増えた。その小さな項目は、よーく見ると結構すごいことが書かれていた。
旺文社のウェブサイトではこの本は、『国公私立全711大学のキャンパス情報と学部・学科の特色,さらに大学卒業生の就職(進学)の実態を大学ごとに紹介しています。また,今年度より,大学のアンケートをもとに,新入生の男女比率を学部ごとに掲載しています。』と紹介されている。
でも、僕から見るともう一つあること-高校の先生にとって、とても大事なこと-が掲載されていた。
卒業生数・就職希望者数・就職決定者数(またはその比率)
何人卒業したかわかる資料。。。
僕たち高校の教師が実は一番わからないのがこの数字である。
卒業生の数がわかると、僕たち高校の教師は、何人入学したか想像することができる。この数字は大学の案内などにはあまりでていない。
4年前にある大学(A大としよう)のある学部・学科(A学部A学科)に何人入学したかは非常に重要な情報。河合塾や代ゼミの資料をひとつずつ調べることもできるけど、A大A学部には一体何人入学して、4年後何人卒業したのかを一目で判断する資料はあまりない。入学定員と卒業生数の差異はとっても大事な情報である。
もちろんA学部がこの4年間に学部学科改組や定員変更をして、入学定員が大きく変わっていたらこの数字はあまり意味はない。でも、そのような情報が非常に必要なのである。
なんで?
定員の充足率を考えることができるから。
人気のある大学かどうか、人気のある学系かどうか。
もちろん人気だけで、進路指導の基準にはしない。ただ、世の中の学生がどこに向かっているか、昔風の言い方をすればトレンドはどこにあるか考えるヒントにはなる。
*****
定員よりも卒業生が多いことがある。これはこんなことが考えられる。
この春の卒業生のほうが、入学定員が多かった。
…現在入学定員が少なくなっている。
定員は変わっていないけど、定員よりも入学者が多かった。
…合格者を多く出してしまい、入学者が多かった。
定員よりも卒業生が少ないことがある。これはこんなことが考えられる。
この春の卒業生のほうが、入学定員が少なかった。
…現在入学定員が多くなっている。
定員は変わっていないけど、定員よりも入学者が少なかった。
…定員割れ(の可能性あり)。
定員割れ情報はあまり表にしたいことではない。
*****
今回蛍雪時代臨時増刊を見てみると、『卒業生数・就職希望者数・就職決定者数(またはその比率)』について、こんな風に書いてあった。
①学科(専攻)単位で発表
②学部・学群単位で発表
③卒業生全部まとめて発表
④おおよそ何分の一は。。。
⑤発表なし
関東地方の私大で⑤のところは、とかく定員割れの噂のある学校のようだ。
また、文部科学省の大学設置・学校法人審議会の大学等の学部新増設に関する答申で、認可条件・留意事項として、既存・既設〇〇〇〇学部(学科)の定員が守られていない-定員以上に学生がいる-とコメントされている学校は、確かに定員よりも多くの学生を抱え、卒業させていることがわかった。
この増刊号はアンケートに答えてもらい、それをまとめる形式の本なので、大学がウソをついている可能性もある。データに信憑性がどこまであるのかもわからない。でも、こういう情報は貴重である。このことを前提にして、生徒にも資料を読んでもらえるように、話しをすることにしたい。