=「受験に不要」と生徒-富山県立高
富山県立高岡南高校(篠田伸雅校長、生徒数557)で、3年生の全生徒197人が、2年時に世界史など地理歴史教科の必修科目を履修していなかったことが24日、わかった。
生徒の要望に応じ、大学受験に特化した授業を行ったためで、年度内に補習授業を行わないと卒業できない事態となっている。同校は同日、県教委に報告し、対応を検討している。
同校によると、昨年度の授業内容を決める際、生徒から「受験に必要な科目以外は勉強したくない」との声が出たため、各教科代表の教諭でつくる会議で相談。篠田校長も了承し生徒に地理歴史教科の履修科目を選択させたところ、197人のうち165人が世界史を選択せず、残る32人は世界史A・Bのみを履修した。
10月24日に読売他のウェブサイトで取り上げられていた記事だ。
現在の3年生は平成16年度入学者である。平成15年度から高等学校は年次進行で学習指導要領の変更に伴い、各学校の教育課程が変更になっている。最初はその書き換え時期の、何かの事故と思った。でも、どうもそうではなさそうなことは、すぐにわかった。
同校のウェブサイトを見ると、現在の2年生の教育課程表が掲載されていた。また、現在の1年生の教育課程(時間割)も見ることもできた。1年、2年を比較して見たが、平成17年、18年入学生の教育課程は少なくとも1年次に関して変更がないようだった。
仮にこのパターンで現3年生も履修していたとして、2年次の地歴公民科の科目を見てみると、、、
世界史A、日本史Aのどちらかを選択することになっている。これらは2単位科目である。
世界史B、日本史B、地理Bのどれかを選択することになっている。これらは4単位科目であるが、2単位配当になっている。3年次に同じ科目を履修する。これが2単位または4単位の編成である。①世界史Aと日本史Bまたは地理Bを履修する。
②世界史Bと日本史Aまたは地理Bを履修する。
普通にやってれば問題ないはずである。
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高等学校学習指導要領(平成11年3月告示、14年5月、15年4月、15年12月一部改正)にはこう決めてある。
第1章総則
第3款各 教科・科目の履修等
1 必履修教科・科目
すべての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし,その単位数は,第2款の2に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし,生徒の実態及び専門教育を主とする学科の特色等を考慮し,特に必要がある場合には,標準単位数が2単位である必履修教科・科目を除き,その単位数の一部を減じることができる。
(2)地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」,「日本史B」,「地理A」及び「地理B」のうちから1科目
簡単に言えば、世界史1科目と日本史か地理1科目は必ず勉強しなければダメだということだ。
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あくまでも、上記下線部のような前提であるが、165人は世界史を選択せずということなので、2時間分何かを勉強していたことになる。それは日本史Aか地理B。可能性としては前者だろう。日本史A+Bで4時間。地理は1科目2単位なので履修したものはいない。この生徒たちがもし今年世界史を履修していなければ、必修科目が未履修ということになる。
32名は世界史だけを履修していた。この生徒たちがもし今年、日本史か地理を履修していなければ、つまり、また世界史Bを選択していたら、この生徒たちも必修科目未履修ということになる。
この学校の教育課程を見ると、3年生でも2年生に履修した科目を選択することになっている。つまり、教育課程の履修条件を破って1科目しか履修していないのだから、地歴科目は1科目だけ…日本史を2年生で履修した生徒は日本史だけ、世界史を履修した生徒は世界史だけである。つまり学習指導要領違反である。
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asahi.comに、昨年春(1年生3学期ごろ)生徒から「受験に必要な教科だけにしたい」との声があった。そのため、昨年度は3教科から1教科だけの選択でも可能とするようにした。
…平成16年度にそう決めたことになる。この結果、世界史未履修で、3年生全員が卒業資格が現時点ではないことになっている。これは法令違反である。
神戸新聞のウェブサイトにはもっと詳しくでていた。
同校では生徒が2年生の時に、165人が日本史か地理だけ、32人が世界史だけの授業しか受けていなかった。県教委に提出する教育課程表では2科目の履修を計画。生徒指導要録上も2科目の履修を認定していたという。
…つまり県に提出した教育課程表(カリキュラム)と実態が違っていたということだ。履修を認定したと言うことは、成績はどこから出てきたのだろう。日本史AとBを履修して、一つを世界史の成績にしたのかな。
生徒指導要録は調査書(内申書)等対外的成績証明書の基礎基本である。その中の数値的データ(成績)は、各科目担当作成の成績表に記入され、クラス担任がそれに基づき成績一覧表を作成、職員会議(成績会議)で審議、形式的にも実体的にも校長先生の承認で公式のものになる。もちろん裁判じゃないので、承認決裁といってもそんな仰々しいものではなく、「〇〇の成績評価、おつかれさまでした。成績不振者への指導を一層よろしくお願いします。。。」等のコメントがあり、実際の仕事は動いていくものだ。ミスが許されないから、緊張する仕事である。
成績は通信簿等に掲載され、保護者に渡される。年度末にそれらが、指導要録に記入される。そこには校長印が押され、1年が終わる。その記載事項に基づいて、3年生の担任は調査書を作る。数年前埼玉県で、特定の個人が担当部活動生徒の調査書の成績を改ざんして発行させ大問題になったことがあった。しかしこれは学校全体である。スケールが違う。担任は全員知っていたはずだ。校長も当然知っている。
公立学校の校長は公務員である。公職である。この人は公印の監守責任がある。発行する文書に事実と異なることを記載し、それにハンコを押すと、いわゆる公文書偽造になるのではないか。
これは、えらいことである。
北日本放送のニュースにはこんなことが書いてあった。
同校は全校集会などを開いて生徒に説明した後、記者会見を開く予定ですが、必修単位が足りなくなるという事態に高校側が気づかなかったことが問題となっています。
…気がつかない? そんなことは絶対ない。必ずわかる。教頭や教務主任が気がつくはずだ。それが表に出ない以上、誰から気がつくことを抑えたか、表に出すことを止めたということだ。
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学校が国の法律やそれに基づく指導要領を越えることができるわけがない。理屈がわからない高校生の受験生のわがままを、通しちゃった校長先生。。。もちろんわけのわからないことを言った生徒にも責任がある。だけど、それはダメなんだと言わない側にはより大きな責任がある。ダメだと決めればそれで終わりである。現場の教師の感覚では、ここまですごいことになったのは、生徒だけの要求とも思えない。選択科目の確認はどこの学校でも、保護者との三者面談で確認することだろう。1年生の時に何かがあったのだろう。でも、結果責任として認めちゃった校長先生は申し訳ないけど、判断ミスである。簡単に言えばおバカである。
仮に世界史A(2単位もの)を履修させるとしても、50分授業で70回確保しなければならない。そんなことが報道されていたが、そんな単純な問題ではない。
仮に朝から晩まで7コマ(同校は7時間目まである)授業を実施して、丸2週間世界史の授業だけである。3年生5クラス。350コマの授業を担当する世界史担当教師がこの学校にいるわけがない。これは物理的に見て不可能だ。まして、「受験に必要な科目以外は勉強したくない」と主張した(?)生徒集団が、これから受験シーズン本番になるのに、長期休業中や、2月以降の家庭研修期間中に学校に出てくるだろうか。無理ではないか。そうなると、卒業式も延期して、3月中よその学校から世界史の先生を借りて、全部授業をすることになるんじゃないか。
さらに、問題なのは教員人事である。2年前から教育課程表と違うことをやっていたのだとすると、人員配置も何か問題が隠れているのではないか。
校長先生。ひょっとすると、校長先生の職を解かれるかもしれない。
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25日に読売新聞で読んだところ、ここまでわかってきた。
履修漏れは学校ぐるみ、県教委にウソ…富山・高岡南高
同校は平成16年12月、国の学習指導要領に沿った「教育課程表」を県教委に提出していたが、授業内容を記す生徒指導要録には、実際には取っていない必修科目を履修していたかのように記録していたことが24日、わかった。県教委は要録の訂正と生徒の負担に配慮した補習の検討を同校に求める。
篠田校長は県教委の聞き取り調査に対し、時間割と異なる授業をすることを教諭が生徒に説明。さらに指導要録には世界史、日本史、地理のうち1科目しか履修していないのに、もう1科目も履修したかのように単位を記録したと答えた。
成績も「作った」んだろう。おそらくたとえば日本史A、Bのうち1科目を世界史Aの成績にしたのかもしれない。または2年生の地歴科目を1科目にしているのだから…4単位同じ教員が持っていたのだろうから…たとえば、日本史の成績と同じ評定にしていたのかもしれない。いずれにしても、ここまで話が表沙汰になった以上、受け取る側も、受け取れない。やはり調査書としては無効だろう
11月1日以降の大学・短大の推薦入試。どうするんだろう。。。
また、現校長先生は昨年4月着任とのこと。着任してみたら、自分の学校の2年生の教育課程の運用が法令違反だった。どうしようか考えて、1年半が過ぎてしまった。現在の2年生では法令通り(教育課程表通り)だと言うことは、現在の2年生または1年生から、自分たちの時は何でダメなのか、どこかに文句がいったので、判明したのかもしれない
いずれにしても、どえらいことである。
平成16年度の校長先生はどこかにご栄転か定年退職かわからないけど、この人の責任は現任者よりもさらに重い。
今後どうするのかな。。。
夜のニュースでは、12月いっぱいで補講を終わらせるという話と、モグラたたきではないがあっちでも、こっちでも同じことが判明し始めたことが報道されていた。さらに、一部既に卒業させてしまった学校もあるようだ。これは、明らかにシステムマルファンクション(機能不全)である。
早急に対策を立てないとえらいことになる。