今月末に切れるマイレージを使って、神戸市立博物館「オルセー美術館展」に行ってきました。来年1月8日までの開催だから、忙しい年の瀬にぎりぎりの選択でした。写真は神戸市博物館のパンフレットです。
この展覧会は、年代別や作家別等の分け方でなく、「親密な時間」、「特別な場所」・・・等の5章で構成されていて、芸術家と人や環境との関係を作品を通して浮かび上がらせているとの説明でした。
印象派の作品だから見慣れたものが多く、それでも実際に目の当たりにすると、当時の画家の息遣いが感じられて、3時間の濃密な時間を過ごすことができました。
大好きなホイッスラー『画家の母の肖像』、何度見ても感動するゴッホ『アルルのゴッホの寝室』、セザンヌ『サント=ヴィクトワール山』、モネ『ルーアン大聖堂』、ブーダン『トルーヴィルの海岸』、ラトゥール、バジール、ドガ、モロー・・・と、音声ガイドを聞きながら、途中にティータイムも入れてゆっくり回りました。「宝石ザクザク」のパリのオルセー美術館より、その中からすくい上げてきた少数の作品の方が、なんだか価値があるように感じてしまいます。一つの作品を見るのに時間的にゆとりがあるからでしょうか。
神戸の街は折からの「ルミナリエ」で、夕方からは厳しい交通規制がしかれていました。堅牢な鉄の柵を張り巡らし、その中に入ったら最終地まで行かないと途中からは抜けられないとか。延々と会場へ続く一方通行の行列に恐れをなし、その列に加わる気力をなくして、美しいイルミネーションもとうとう見ずじまい。昼間の光らないルミナリエでそれを想像して終わりました。
六甲アイランドに宿を取り、18Fのラウンジから夜景を見ながら夕食。ちょっとお洒落な神戸の夜を楽しみました。ここには何回か来ましたが、街並が洗練されていて、とても気に入っているところです。
ニュースでしか知らない神戸の大震災。あれから11年。その悲しみにどんな風に心の折り合いをつけたのか、どんな風に封じ込めてしまったのか・・・、美しく復興した街を歩きながら心にキリキリと痛むものがありました。