東京はやはり文化の都市。今、展覧会の花盛りです。友人と2泊3日で6つの美術館を巡りました。強行軍かな・・・の懸念もありましたが、スイカカードならではのアクセス時の省力化。入り組んだ路線も予想外にスムーズにいって、乗り換えも楽々。スイカカードは大都会には必需品だと思います。
目的のNO.1は、「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」展。予定では「フェルメール」展も入れましたが、出品作品にぜひ観たいものはなく、それよりも「大琳派展」を選びました。
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今、六本木が熱い!ピカソ展が国立新美術館とサントリー美術館の2会場同時開催。パリ・ピカソ美術館の改装に伴う世界巡回の一環としての展覧会です。まさに大作ぞろいの大回顧展です。
★ 「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡 」展 ― 国立新美術館
「青の時代」「キュビズム」「新古典主義」「シュールレアリズム」と、人生の壮絶なドラマに遭遇するたびに変化し続けた作風。妻や愛人とのすざましいまでの愛の葛藤。生きること、愛すること、芸術を創造することを同時に実行したピカソを丸裸にしたような展覧会でした。
青の時代の人間の内面性の表現、キュビズム時代の色彩の豊かさ。フォルムの力強さ。キャンバスからはみ出してしまいそうなエネルギーに圧倒されました。
ピカソのデッサン力はピカイチと言われていますが、まさにその痕跡を見ることができました。約170点、インパクトの強い絵でした。
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国立新美術館から400mほどのところに隈研吾氏設計のサントリー美術館があります。先の入場券を見せれば200円を割り引いてくれるといういきな計らいがされています。
★ 「巨匠ピカソ 魂のポートレート」展 ― サントリー美術館
青の時代の憂愁を帯びた美しい自画像、自己を投影したミノタウロス、愛情を持って描かれた子供の絵などピカソの魂の叫びを表した油彩画60点ほどの展示がされています。
晩年近くには1年で165枚も描いたそうな。国内の展覧会では、そういうスケールが大きくスピードが見える絵が多くて、よく理解できませんでした。
その印象が変わったのは、マドリードのゲルニカや、バルセロナのピカソ美術館で初期の頃のしっかりしたデッサンの絵を見てからでした。
パリのピカソ美術館には、ピカソが最後まで手元に置いていたという作品が数多く収蔵されているとか。そんな絵に遭遇できる2会場のピカソ展。またとない機会でした。
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★ ブリヂストン美術館 ― 常設展示―コレクションより148作品
ここのコレクションは久留米の石橋美術館にもよく展示されますが、「本家」で観てみたいと夕方入館すると、なんと貸し切り状態。リッチなひと時に感激しました。民間の美術館のせいか、閉館が夜8時というのも来館者の心をくすぐるものです。
おなじみのモネの睡蓮。1907年、荒いタッチで描かれた「睡蓮の池」は近くで見ると、縦横の朦朧とした荒いタッチの塊にしか見えず何が描かれているかはっきりしません。今までは、同じ睡蓮でも西洋美術館の睡蓮のほうがカラフルでずっと好きでした。
ところが次の部屋に行く時に、振りかえりざまに観た睡蓮の絵はまったく違って見えたのです。はっとして声を出してしまいました。離れてみるとまるっきり違う絵に見えました。睡蓮が生き生きと水面に浮かんでいるのです!池に映った夕焼けの色の何と美しいこと!今までの睡蓮の絵の中で最も美しく感じました。ここまで計算して描かれたのか・・・と深い感銘を受けました。
上の写真と実物の筆のタッチや色彩はかなり違っています。部屋の戸口では、とにかくこんな感じに見えたのです。ここが印象派の印象派たる所以でしょうか・・・。素人の解釈は自由です。だから勝手にそう思い込んで喜んでいます。
ピカソも8点あり、「腕を組んですわるサルタンバンク」がこちらを見ています。「ここはピカソ展の第3会場ね!」と、二人で大喜びしました。
夕食にあぶり寿司セットで軽くビールを飲んで、とてもいい気分でホテルに帰りつきました。かくして第1日目は、満足の美術館巡りでした。