少し前 日曜 美術館で「炎の人」が取り上げられ、それまでも一度は観たいと思っていた仲代達矢のゴッホ。偶然にも友人の情報から福岡公演を観ることができました。
とても78歳とは思えない仲代達矢の動きとセリフには、まるでゴッホが現代によみがえったかの様に思われました。
地に足がついてないような動きに、悩みぬき死に急いだ短く不安定な生涯が見えてきました。
無名塾の若き塾生たちの真摯な演技もこれからが期待できます。ゴーガン役はダルビッシュと見まがうほどの美青年でした。
作者の三好十郎も、やはり孤独で貧しかった少年期に絵を描く喜びを見出したそうです。
強く印象に残ったのは、終幕で出演者全員が登場し数人ずつで語りかけるセリフです。
『あなたが生きている間に 一枚の絵も買おうとしなかったフランス人やオランダ人やベルギー人を 私はほとんど憎む』
『貧しい心のヴィンセントよ 貧しい貧しい心のヴィンセントよ 今ここに あなたが来たい来たいといっていた日本で 同じ貧しい心の日本人が あなたにささやかな花束をささげる 飛んできて 取れ』
『日本にもあなたに似た絵描きがいた 長谷川利行や佐伯祐三や村山槐多や そういう絵かきたちを ひどい目にあわせたり それらの人々にふさわしいように遇さなかった 日本の男や女を私は憎む ヴィンセントよ あなたを通して私は憎む』