「光る君へ」関連で読んだ澤田瞳子『満つる月の如し』を再読して深く心を動かされ、次々と読んだ文庫本は既に12冊。今読書中の他にもう一冊スタンバイしています。
著者によって相性が異なりますが、澤田さんの本は自分の心にピッタリ馴染むのです。取り上げる時代も表現も。
澤田さんはもともと奈良仏教史や正倉院文書の研究者だけに資料をしっかり把握しながら、それを隙のない感じでつなぎ合わせて、読者を納得させながら、果てしなくロマンの世界に誘うと言うものです。
殿上人を扱いながらも、底辺の人々にしっかりと目を向けているので空回り感がありません。
直木賞受賞の『星落ちて、なお』は明治期の絵師・河鍋暁斎の娘・暁翠の絵師の葛藤を取り扱ったもので面白かったのですが、私はやはり奈良、平安期の小説の方がイメージを膨らませる範囲が広いし、この時代の若者の純粋なエネルギーが好きです。
ただタイトルが馴染みにくく、本によってはカバー画が漫画っぽいのが気になりますが。
シリアスなものだけでなく、菅原道真を主人公にしたコミカルなものもあります。