近江の石工、穴太衆の力強い生き方が新鮮で魅力的でぐいぐい読み進むうちに、主人公·匡介が琵琶湖から大津城の空堀に水を引く場面に入りました。
匡介の経験と知恵を絞った大がかりな土木工事にワクワクしながら読むうちに、ふと???。
サイフォンの原理からして不可能では・・・。大津城の堀は琵琶湖より10mほど標高が高いのです。
その部分に引っ掛かって先に読み進めません。疑問が払拭できずに中断・・・。文芸小説を自分の変なこだわりの目で見ていいのだろうか・・・。このこだわり方の自分につくづく嫌気がさしました。
サイフォンの仕組みを利用した金沢城の噴水の仕組みを調べると、起点になる池は一番高いところにあります。だから途中の低い所から高い所へも水を動かせるのです。琵琶湖とは条件が違うのです( -_・)?
読み飛ばせばいいのに深みにはまってしまい、しばらく放置・・。
が、登場人物はそれぞれに個性的で魅力的。気を取り直して又読み始めました。
「好い人」達が力を合わせて苦難を乗り越え、話が出来すぎの感があるのに、妙に新鮮に感じられたのは、その道の最高を極めようと全身を研ぎ澄ます職人気質にあったのです。
関ヶ原の時代に、武士でなく石工と鉄砲職人が主役。とても新鮮でした。