ちょうど2年前の8月、NHK「知るを楽しむ」で「拝見・武士の家計簿」が1カ月にわたって放送されました。
講師の磯田氏が最近発見した加賀藩の古文書から、人物や社会を復元した実にユニークな番組でした。
映画やドラマを観るたびに、大名も藩士も家の収入と支出はどのような仕組みになっているのか、具体的にどのような家計だったのか・・・肝心の経済状態がいつも疑問でした。
武士は食わねど高楊枝…と意地を張っていた武士の家計は、おおむね火の車で、年収の2倍の借金は珍しくなかったようです。これは今までの武士の概念とは違う、目からうろこの番組でした。歴史小説、時代小説では、武士の表の顔しか見えてきませんが、ここでは資料に基づいた裏側の武士の日常が手に取るように見えてきました。
江戸の貨幣価値、武士の収入、俸禄と銀換算、家の負債、家財売却リストなど、自分の身の丈でイメージできて江戸の日常が急に身近に感じられました。
もっと詳しく知りたいと思っていたところ、たまたま受けていた古文書講座で推薦されたのが『武士の家計簿』で、ベストセラーになっていた本でした。早速購入すると、例が具体的なだけに非常にわかりやすい納得しやすい楽しい本でした。
江戸後期、加賀藩の女性は決してしいたげられていたわけではありません。ちゃんとお小遣いの配分も受けていたのです。子供を産み母、祖母となるに従ってステータスは上がり、お小遣いが増えているのです。
離婚率も高くそのために妻の財産は独立していたというのも、封建的な武家女性のイメージとはずいぶん違っていました。
とても興味深いのが、借金返済のために家財を売却したリストです。書籍、花嫁衣装、茶道具、食器の代銀(匁)を現代感覚の円に換算して、なんと1000万円で売却しているのです。
利息18%の借金を減らし、残りを交渉によりどうにか返済して0からのスタート。子供に教育を受けさせて、その能力で幕末から明治へと立身出世していく過程が見事なドラマのようです。
それにしても加賀藩のおけいこ事は、月謝が8000円、1週間の集中修行が30万円弱とは、現代の教育費以上で意外でした。
この本の知識を得ただけで、テレビも映画も小説もグンと面白く読めそうです。
ついでながら、磯田氏とこの段ボールいっぱいの古文書との出会いは平成13年夏。販売目録で偶然に見つけて、ポケットに16万円をねじこんで駆けつけたのだそうです。この偶然の出来事が歴史をまた新しく認識させたと思うと、つくづく資料の貴重さを思わずにはおられません。
時代劇もさることながら、時代考証がきちんとなされている番組は、真実味があって楽しいですね。
近代現代を問わず、家計に苦労したなんて親近感が増しますね。
≫多摩さん
当時は離婚率も再婚率も高くて、だから女性の財産は別会計だったようですよ。
奥さんからお金を借りたことも、ちゃんと家計に記述してあるようです。驚き!
≫mokaさん
当時の着物ってかなり高かったようですよ。
ドラマではしょっちゅう着物を着換えていますが、あれは大名の家だけだったのかしら・・・?と思っています。
≫ももりさん
実に楽しい本でした。
よその家計簿が楽しいなんて、「家政婦は見た!」のように除き見趣味すぎるかしらと気が引けながらも、藩士の家計は結構苦しかったのだと仲間を感じました!
江戸詰ともなると、赤字覚悟だったようです。
最近目が悪く(老眼ですが)なり本を読むのも
億劫になりとんと読まなくなったじーじですが
早速さがして読むことにします。
武士の日常の経済状態がずっと疑問でした。
ドラマでいつもきれいな着物を着ていますが、藩士の生活ではとても無理だったのでは・・・と思いました。
≫博多のじーじさん
やっぱり武士の日常の経済状態は気になりますよね。
ドラマでは、霞を食べて生活するわけでもないのに、いつも着るものだけは上質なものですね。
具体的な収入や衣食住にかかる経費がわかって、武士も人なりと身近に感じました。
もう今年の夏も終わりですねぇ~
教科書では通り一遍なことしか習わないので、ちょっと脇道に入ると面白い発見があります。
本当はこんなことのほうが歴史も面白いのに、教科書で習う歴史は退屈。
もっと歴史に興味を持たせるカリキュラムがほしいです。