ヒストリーチャンネルの「唐招提寺スペシャル」をみました。金堂の老朽化のために平成の大修理を行っているところをドキュンタリーにしたものです。
地上に降ろされた鴟尾(しび)は高さ1.2メートル。1200年前の誇り高き「天平の甍」です。その引退にともなって新しく作られる平成の鴟尾。鴟尾や鬼瓦を作る瓦職人を「鬼師」というそうな。その鬼師7人のグループが、完成の確立10%という至難を乗り越えて「平成の甍」を作ることに成功しました。その苦闘の足跡を追った感動の記録です。3個の鴟尾が無傷で窯から出されたときは、見ているほうも感激の涙。改めて職人技のすばらしさに脱帽と敬意を払いました。
折りしも、今日の日経夕刊に、「平成の甍」がようやく屋根に乗せられた記事と写真が掲載されました。金堂の完成はまだまだ先の2009年です。
3年前に唐招提寺を訪れたとき、地上に降ろされた巨大な鴟尾を目の当たりにして、驚愕を隠せませんでした。現代の人知を持ってしても1200年前の技は、今も解明されていないようです。金堂改修に伴って福岡で「鑑真和上展」がありましたが、見逃したのが今も悔やまれます。
学生時代に一度は見たことのある鑑真和上像。当時の日本はまだ発展の途上にあり、そんな国へ生死をかけて高僧鑑真はなぜやってきたのか・・・。この際に、何十年ぶりかに井上靖『天平の甍』を読み直しました。
遣唐使船で大陸に渡った留学僧。5人の個性の違う僧の理想と挫折を縦糸に、鑑真を日本に招くという歴史的使命を果たす姿が鮮やかに書き出されています。広い中国で、先に唐に渡った真備や唐の政界で活躍する阿倍仲麻呂、玄宗…と正史の中の人物との出会うところが歴史小説の面白さです。
これとほとんど同時代の遣唐使を扱ったのが辻原登『飛べ麒麟』です。阿倍仲麻呂、真備、玄宗、安禄山、李林甫など歴史に実在した人物が登場し、大陸を舞台にした面白い本です。
飛鳥、天平の時代は日本の国が出来上がっていく上昇の時代で、理想に燃え、学問に飢え、進取の気に富んだ力強い時代でした。だからきらびやかさではなく天平の甍のようないぶし銀の強さがあるように思います。
戦火や廃仏毀釈の嵐を乗り越えて今日の姿です。復興に力を尽くされた寺の方、多くの参拝者の方の力ですね。勿論宮大工さん他、職人さんの力があってのことです。
この時代はよく分かってない分、ロマンがありますね。
古の寺の名前がぽんぽんと出てくるなんて風雅でいいですね~。
宮大工とか鬼師とか心が引き締まる思いがします。
西岡常一氏、小川三夫氏等の話を聞いて感銘を受けました。
宮大工の伝統をつないでいかないと、日本文化は危機に陥りますね。
酒徒善人さん、こんばんは!
「西の京」とは、唐招提寺や薬師寺のあたりを指すのですか?
何度か訪れてもどこかが修復中だったり…が多いですよね。
最善を尽くしてぜひ残していってほしいと思います。
ずーーーっと前、秋篠寺に行ったとき、道の端に柿の束がつるしてあり、
「缶の中に代金を入れてください。」と、無人ののんびりした光景を
今でも忘れることが出来ません。やっぱり日本人の心の故郷ですね。
奈良は滞在型の旅でゆっくり回りたいところです。
大陸に渡った留学僧たち。高僧を招くという命を受け、後に鑒真と会う普照と栄叡を始めとする若い僧たちのはかない運命を描いた壮大で、ロマンチック、それでいて、あくまで歴史的な視点が貫かれているところなどさすが井上靖と言う感じです。先日満月の夜に、安倍仲麻呂の歌を思い出しました。
唐招提寺と言えば私事で申し訳ないのですが、小学生の頃の下宿先の表装店の住み込みの職人さんが、プロジェクトの1員ではありませんが、唐招提寺の表装の仕事をしております。
外観も大変な作業ですが、中身の修復も大変・・・頑張っているようです。
歴史的な視点がなかったら、普通の時代小説になってしまいます。「歴史」を大切にしているからこそ、この時代にロマンを感じるのだと思います。
飛鳥、天平、そして奈良は大好きな時代です。
大和はまほろば・・・、本当にそう思います。
仲麻呂の歌、ブログで拝見しました。まさに満月にふさわしいブログでした!
最近、伝統の職人さんの仕事にとても興味があります。
歴史を肌と頭で感じ取った仕事には敬服します。
堅固な石の文化と違って、木と紙の文化といわれる日本の文化。
少しでも長く後世に伝えるためには、職人さんの手に頼るしかありませんね。
西欧みたいにマイスターとして、もっと高い評価と待遇をするべきだと思いませんか?
作者の辻原登氏は、芥川賞をはじめたくさんの賞を獲得しています。
新聞連載でトレーダーを扱った『発熱』を読んでいて、表現や描写があまりに美しかったので調べてみたら、なんと芥川賞の受賞者だったというわけです。
だから『飛べ麒麟』は、内容で選んだのでなく作者で選んだ本ですが、こんなに面白いくて、ダブルラッキーでした。
ピカソ展の後は、上質のデザートできちんと締めくくり!ですね。
ピカソ展鑑賞のあとのもやもやした感じを、きっとどうにかしたかったんだろうな・・・と、
勝手に思ってしまいました。
そうせざるを得ない・・・ところが分かるような気がします。
マイスターとして、もっと高い評価と待遇・・おっしゃるとおりだと思います。
ニュージーランドは、公務員は肩身が狭いですが、マイスターは尊敬されます。
我が家の建ちゃん・・・・中学校を出てから結婚するまで住み込みで働いていました。アーカイブで紹介していますので、暇なときに見てください。
今宵は日本の巧みに感謝し、ワーグナーの「ニュールンベルグのマイスターシンガー」でも聴くことにします。(単純ですが・・?)
ちゃぐままの意見・・・とても嬉しいです。
どの記事もおおらかで大陸的で話がでっかくて、
これ日本なの?って思ってしまいました。
随分楽しい家系なんですね~!
面白く、味があり、ちょっぴりペーソスも交えて
楽しい半生記になっていました!