<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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講談社プラスアルファ新書「日本は世界一の環境エネルギー大国」(平沼光著)を読んで思い出したのは、先日のソーシャルデザインカンファレンス(大阪)でのトークセッション。
東京造形大学の益田文和先生の、

「プリウスが100万台売れた、と言う時点でプリウスが本当に環境に優れているのか疑問になります」

という言葉。

環境性能に優れている製品を開発しても、それが大量に消費されたらホントに環境に良いのかどうか疑ってみる必要がある。
確かにプリウスが100台売れることと、マークXが100万台売れるのとではプリウスが売れたほうが環境負荷は少ないはず。
でもそれは比較論の話であって環境性に優れているものが100万台売れると、それはある意味環境破壊なのかもわからない。

昨年の震災以来、省エネが叫ばれて耳にタコが出来るぐらい「節電を」と呼びかけられているが、人口減少、経済停滞しているのに、どうして消費電力は増え続けたのだろう。
その一点に焦点を絞っても、具体的な解答は新聞、雑誌、テレビ、ラジオを通じて何一つ報道されることはない。

煌々と明かりが照りつけるコンビニ、ショッピングモール、深夜スーパーにパチンコ屋。
生活スタイルの変化とともに、電気を使わせる機会をたくさん与えているからに違いない。
テレビの深夜放送や昼間放送の休止をしたら、消費電力がグググと下がると言われている。
しかしテレビは売上が下がるのを警戒するので、そんなことは実現させたくない。
マスメディアはコンビニの看板照明は批難しても、自分ところの放送時間や内容については「報道の自由」「報道の社会性」を盾にして批難を受け付けない。
社会は都合によって白黒付けたがるのだ。

環境エネルギーにしても同じ事で、例えばメタンハイドレート。
メタンハドレードは海の底に沈んでいる油田と考えてもいいわけで、これを採掘して燃やしたら、やはりそれなりの環境リスクは絶対に現れる。
それを、
「日本の近海にはメタンハイドレードが大量に埋蔵されていて」
というのも経済的にはかなりの魅力だが、環境エネルギーとしてはいかがかとも思ってしまう。

「日本は世界一の環境エネルギー大国」
そう声高に叫ぶのは、経済面からも、技術面からも議論の必要のある分野だと思うのであった。

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