
人間は二十歳でやっと大人として認められる。
空港ももしかするとオトナになるのに20年近くかかるのかも知れない、というのが関西空港。
今年で開港19年目を迎える関西空港だが、この空港、誕生以来のキャッチコピーが「日本最初の24時間空港」。
空港が24時間?
当たり前でしょう。
というのが国際的な感覚だが、日本の空港は軍用空港を除けば、関西空港が開港するまで24時間運営している空港は無かった。
先進国なのに信じられない、といったところだ。
例えば、私のホームタウン大阪の旧国際空港である大阪空港は午後9時から翌朝午前6時まで飛行機の離発着はできない。
東京の海外への玄関口・成田空港は午後11時から翌朝6時まで飛行機の離発着ができない。
周辺住民への配慮なのだが、その経済損失の大きさは計り知れない、
今でこそ、24時間運用空港は関空だけではなく、羽田空港、那覇空港、新千歳空港、北九州空港とたくさん登場してきた。
しかし、一昨年に羽田に国際線ターミナルが完成するまでは実際に夜中まで離発着している空港は貨物便はさておき関空発の中東やタイへ向けた便以外は北九州空港のスターフライヤー便ぐらいなのであった。
これがいかに異様なことか。
例えばバンコクのスワンナプーム国際空港やシンガポールのチャンギ空港などは夜中でもひっきりなしに離発着。
空港ロビーは利用客でごったがえしてバーゲンセールのショッピングモール状態。
ワンサカ人が集まって、わいわいがやがやしているのだ。
これに対して、例えば日本の玄関口ともいえる羽田空港も午後8時を過ぎると、タイの田舎空港と対して変わらない閑散とした状態なのである。
大阪の現在の玄関口・関西空港もそんな空港だった。
24時間空港といっても夜は静かなもの。
深夜1時過ぎ出発のタイ国際航空のバンコク行きに乗ろうとすると、出発を待つのがかなり辛かった。
ロビーの売店はすべて閉店。
出発ロビーはタイ航空機の搭乗を待つ乗客以外はししらしーんとして、肝心の乗客も夜中なので疲れきってだらーんとしている。
なにか食べたくても自動販売機か、室内露天商みたいな特設のパン屋さんぐらいしか店はなく、
「ビールでも食らって待つことにしよか」
というようなことは不可能なのであった。
このような日本の24時間空港の閑散さに、どうやら風穴が空いたらしい。
というのは先週末の新聞記事。
ついに新関西空港会社は関空と大阪市内を結ぶ深夜バスの運行を始めるのだという。
尤も深夜といっても30分おきに走り始めるというのではなく、関空出発の最終バスが午前1時過ぎ。梅田発の関空行きの始発が午前3時過ぎになるということだけ。
しかし、これだけでもかなりの進歩で、24時間空港として一歩前へ進んだということは間違いない。
で、どうしてこうなったかというと、原因はいま話題のLCCピーチエア効果なのだ。
ピーチエアは成田空港を拠点としている他のLCCをぶっちぎりでリード。
その秘密は日経の記事によると24時間運用可能な関空を拠点としていること。
少々ダイヤが遅れても「門限」がないので「運休」もない。
従って最終便が午前0時を過ぎてから到着することも少なくない。
インターネットサイト"Flight rader24”なんかをチェックすると、午前様なのに関空に向かって飛んでいるピーチエアの飛行機を見かけたりしてビックリすることがある。
このように、他の国の空港と同じように最近は関空で夜を明かす人が増えてしまったので、その対策としてバスの運行を開始するというのだ。
それと、ピーチエアは初発が早い。
午前6時過ぎには運行を開始するので、朝早い便を利用するためには午前5時過ぎには空港に着かなければならない。
従って梅田のホテルを午前3時過ぎに出発するバスが登場するわけで、これでやっと海外並みの空港運用になるのだ。
借金お荷物だった関西空港も大阪府知事が変わってからか、ただ単にタイミングも良かったのか劇的に優良空港に変化している。
昨年は大阪空港と統合して巨大化し、ついには仙台空港の運営やミャンマーのミンガラドン国際空港まで傘下に収めるかもしれないという。
19年目の関西空港。
世界水準になるには、時間がかかるのが日本なのかもわからない。
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