
京阪電車、京都三条駅を下車して鴨川を渡り、池田屋跡の石碑を見ながら河原町通を渡る。
ここは京都一の繁華街。
河原町。
横断歩道をわたって三条通のアーケードを暫く歩くと、アーケードの屋根はなくなるが、通りの左右にはおしゃれなレストランやブティック、雑貨屋などが並ぶエリアにでる。
建物は京風の町家から、レンガ造りの洋館まで様々。
この辺りは、嫁さんと散歩を楽しむにもなかなか結構な所で、普段は泥臭い南大阪エリアに居を構える大阪人としても、180度違った心落ち着く雰囲気だ。
大阪にもなく、神戸にもない。
そういう空気のある、そう、ちょっとした気品とイケズさがあいまった街。
それが古都京都なのだ。
三条通を烏丸通に向かってさらに歩くと、右手に立派なレンガ作りの洋館が現れてくる。
京都三条高倉通上ル。
ここに京都府立文化博物館がある。

この博物館にはちょっとした思い出というか縁がある。
というのは、この博物館が建設されていた25年ほど前、私は建築設備の会社で働いていてこの文化博物館の建築現場に2週間ほど設備調整の応援に来ていたことがあるのだ。
ちょっとだけでも、自分がその建設に関わった建物ということで、他の建物とは少し違う思いがある。
しかも、転職してから、この博物館の収蔵庫の一部を取引先が下手な設計をして工事に失敗しそうになっているところを設計アレンジし、部下に受注させて顰蹙をかった、という経験もある博物館でもある。
この何かと思い出深い京都文化博物館で今、「日本画こころの京都」が開催されている。
といっても24日までなので、行きたい人は急ぐように。
ご存知の通り、京都は日本の文化の中心で、絵画、音曲、料理、その他様々な日本の芸術の発祥地である。
明治維新まで首都だったから、あたりまえだが現代の東京とは比べ物にならないほどの風格を備えていることも明らかで、これは歴史に裏打ちされたものであることは間違いない。
とりわけ「和」というコンセプトでは他の全てを圧倒していて、京都へ行くと日本人であることの喜びを感じる人も少なくない。
多分、日本庭園を眺めながらお抹茶をいただき、かわいい和菓子などをつまみ食いすると、もっと幸せになるのかしれない。
さらにそれが祇園のお茶屋で、美味しい懐石をいただきながら、
「おひとつどうです?」
と綺麗な舞妓さんにお酌をしていただいたらりしながら芸者さんの三味線と踊りを眺めたりしたらもっと幸せに違いない。
しかも、それが会社の経費で無尽蔵に利用できるという条件であればなおさらである。
以上、アホな余談。
そんな京都であるだけに、絵画のテーマとしても1000年以上の歴史がある。
今回は京都府が京都で活躍する画家たちに今の風景を描いてもらった現代版の「京都風景100選」が完成したことを記念して完済されている展覧会だ。
だから「こころの京都」展なのだ。
私は京都を描くなら日本画でなければならないと思っている。
また、日本画で描かれた京都は言い知れぬ雅を感じさせるものがある。
京都は日本そのものなのだ。
今回の展覧会では今活躍する画家が絵筆を奮って京都を表現しているので、作品一つ一つには物語があり、力がこもっている。
それだけに見ていて飽きることがない。
京都といっても丹後地方まで含まれているので、果たして丹後エリアが京かどうかは大いに疑問だけど今の行政区としては京都府なので、含んでもいいという考えなのだろう。
天橋立。
舞鶴。
久美浜。
というところも風光明媚でなかなかよろしいなだが、京都といえば、やはり市内。
東山や鴨川べり、上賀茂、嵐山、といったところが、やっぱり京都なのだ。
現代の作家の作品もいいけれど、この展覧会の見どころは、やはり著名な画家が描いた京都だろう。
円山応挙。
上村松園。
富岡鉄斎。
横山大観。
など並み居る巨匠の作品の数々。
私の大好きな池田遙邨の作品もある。
今回とりわけ気に入ったのは、京の風景がではなく、人物画。
それも上村松園の美人画で、その筆使いというか、滑らかさというか、女性の健康そうな表情というか、もう周囲がヘンに思うのではないか、というくらい見つめてしまったのであった。
ということで、なかなか見ることの出来ない「京」を題材にした傑作日本画の数々。
絵だけどホントの美人に出会える、なかなか無いチャンス。
あと僅か。
見たい人は、京都文博へ急げ!
と思う京都のひとときなのであった。
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