萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚11

2014-02-20 17:04:00 | 雑談寓話
こんにちわ、地元は雪がシッカリあります。
今日は曇りがちなこともあり寒いですね、笑

Aesculapius「Mouseion 学舎の光 act.1」校了しています。
Eventually Comes True「May.2012 act.8 清風」加筆を倍くらいする予定です。
ソレ終わったら第74話の続きを考えています。

で、昨日掲載した雑談にバナー押して頂いたようなので続き載せます。
楽しみにしてくれてた方いらしたら、お待たせです、笑



雑談寓話:或るフィクション×ノンフィクション@御曹司譚11

日付け変わって土曜0時、カジュアルバーの半個室。
初めてのサシ呑みで御曹司クンは泣笑いしてた、泣いてるのは別れた恋人のこと。
お互い好きで、けれど同性愛の社会的立場とか偏見が二人の擦違いになってしまった。

その偏見が一般論になってしまう原因にBL本って存在がある、
そのことに御曹司クンは怒りながら泣笑いしてた。

「何が可笑しくてあんな変な本とかあんの?ああいうモン見るだけでムカつく、だから本屋とかでもああいうコーナー見るのも嫌だ、
俺だって普通に男で人間なのにオモチャ扱いとかムカつく、ああいうのが面白がるからゲイは恥ずかしいってなって別れちまうんだろ、」

確かにそうだろなって自分も想ったよ。
ああいうの描いてる奴等って無責任なヤツが多いなって想う、そのまんま言ってみた。

「男と女のエロ本なら、男女の恋愛自体が身近にあるから変テコ設定でもフィクションだなってこと、誰にでも解るし妄想話だって思われるけど。
男同士だと少数で身近なカンジしない分だけ、書かれたモノが現実なのかなって誤解されやすいよね?妄想変態が現実での通りだって思われてさ、」

少数派、マイノリティ。
そう呼ばれる人たちが差別される原因は「事例が少ない」ってことがある。
そういうの同性愛に限ったことじゃないんだよね、そんなことナントナク話してみた。

「日本人がアメリカとかに移民した時も偏見ってすごく多かったんだけどさ、ソレって日本人がアメリカ人に接触してなかった所為なんだよね。
変なマンガ画が出回ってさ、それで武士が帯刀してたのを人切包丁を持ち歩いてるって誤解が生まれて、日本人は野蛮人だって思われたワケ。
そういうのウチの父がドイツに留学した時もあったらしいよ?まだ日本人でヨーロッパに留学する人が少なかったら色んな誤解があったんだってさ、」

半世紀より近い昔、まだ日本人って存在自体が世界ではマイノリティだった。
少数だからこそ偏見が生まれて、その所為から当り前のように差別されていた現実がある。
そういうのと同性愛への偏見って同じなんだろなって想ってさ、で、御曹司クンが訊いてくれた。

「おまえの父さん、そういう偏見どうやって超えたの?」
「うん、それが変てこなんだよね、笑」

応えながら笑ってジントニック呑んだら御曹司クンもちょっと笑ってくれた。
さっきまでBL本の事とかでシリアスになってたからね、すこし笑ってほしいなって想いながら話してみた。

「ウチの父って海外に出るとフランス人と間違われるんだよね、背は高くないんだけど彫ハッキリな顔で髪と目の色が茶色くて肌も白くてさ、
英語流暢で社交ダンス出来るし名前も珍しいんだよね、で、日本人がヨーロッパにいる自体レアすぎて父が日本人だってコト最初は解らなかったワケ、」

ある意味で反則技だったわけ、父の場合、笑
で、御曹司クンも反則だなって笑った。

「ソレじゃ何にもサンプルにならねえじゃん、笑」
「まあね?でも、日本人への偏見を解くには良かったらしいよ?笑」

笑って応えたら御曹司クン、ソコントコ訊きたいなって顔になった。
だから話してみた。

「日本人も英語を話したり食事のとき神へ祈りを捧げたり、ビールも一緒に飲んで笑うんだとか。友達になれるって想って貰えたらしいよ。
当時のドイツは人種差別とかもあって、寮の仲間内でも有色人種だとイジメもあったらしいんだよね。で、父も決闘を申し込まれたらしいよ?」

決闘、なんて今だと死語みたいだけど、笑
で、御曹司クンも面白くなって笑ってくれた。

「決闘とかってマジであんの?で、どうしたわけ?」
「潔く受けたらしいよ、でも相手が体大きくてヤバいって思ったらしい、笑」

なんか父の武勇伝になっちゃたな話し逸れてるかも笑
って思いながら応えたら御曹司クンは面白がってくれてるんだよね、だからそのまま話した。

「決闘っていわゆるボクシングらしいんだけどさ、父は小柄だからボクシング無理って思ったから剣道なら勝ち目あるかなって考えてさ、
新聞紙を固く丸めて竹刀みたいにして決闘場所に行ったらしいよ、そしたら相手のデカい人が“Oh!SAMURAI!”って降参したんだってさ、笑」

可笑しな話だけど実話なんだよね、笑
で、御曹司クンも可笑しかったらしく笑ってくれた。

「あははっ、サムライって降参しちゃったんだ?」
「サムライは世界基準で強いって思われてたんだってさ、で、それ以来ずっと彼は父の子分になったらしいよ?笑」

サムライ=強い、っていう概念が当時のドイツにはあったらしいんだよね。
でも当時のドイツの人たちが本物の侍を知っていたわけじゃない、そこんとこ言ってみた。

「種明かしするとね、父は剣道なんて体育の授業でちょっとやった位で別に強く無かったんだよね、でも剣道スタイルがサムライに見せたワケ。
竹刀持った日本人は全員サムライで強いっていう誤解が父を援けてくれてさ、こういうのも日本人が少数だから生まれた偏見みたいなもんだろ?」

偏見=偏った見方のことだけど、悪い勘違いなケースが多いけども良い勘違いもある。
そういうこと言ってみたんだけど御曹司クンが頷いてくれた。

「あー…偏見って悪い解釈だけじゃないよな、好都合な方に解釈されすぎてるってコトもあるな?」
「だろ?で、父も好都合に偏見されたお蔭で助かったわけ、笑」

ナンカ小咄っぽいな思いながら笑ってさ、御曹司クンもビール片手に笑ってた。
で、話の核心のとこ言ってみた。

「でも、父も侍みたいな必死の覚悟で決闘いったんだよ?相手デカいだから伸されるって思いながら、日本人のプライド懸けて逃げないぞってさ、」

日本人であること、そのプライドが当時の留学生にはあったって父は言うんだよね。
まだ世界に出て行く日本人は少数派、欧米ではマイノリティとしての苦労が必ずある時で。
そういうのはゲイやバイセクシャルも同じだなって思ったから、そのまんま御曹司クンに話してみた。

「父の姿がイコール日本人のイメージになる、だから父は日本人としてプライド持って留学して、日常生活から日本人も出来るって示したワケ。
ドイツで暮らすんだからドイツ式に合わせるとこは合わせてさ、そうやってドイツを理解することから父も日本人も理解してもらえたんだよね。
そういうのって、おまえも同じだろ?バイセクシャルである事もおまえの大切な一部でプライドだって言ってたのはさ、そういう事なんだろ?」

父は日本人っていう所属民族がプライドで、そのアイデンティティにドイツで暮らしてた。
ソレと同じに御曹司クンもバイセクシャルな事がプライドでアイデンティティにもなってる、
そういうの同じコトなんだろなって思って言ったんだけど、そしたら御曹司クン笑ってくれた。

「うん、そういう事なんだろな?俺もおまえの父さんがドイツで想ってたのと同じこと、いつも想ってるんだと思う、」

欧米社会で日本人であること、日本でバイセクシャルであること。
どっちも少数派でマイノリティだってコトには変わらない、そして偏見や誤解があることも同じ。
そういうのを「異常」だって誰にも決められないだろな?って思うから忠告っぽいこと笑って言ってみた。

「だったら尚更、坊ちゃんクンにしたみたいなコト駄目だろ?ああいう無理強いみたいの悪い偏見を生むよ、ゲイは怖いってなるだろが?」
「だよなー…ホント、止めてくれてありがと、色々ごめん、」

素直に頷いてくれながらビール飲んで、ちょっと笑った御曹司クンが言ってくれた。

「なんか俺、今すごい楽になった。おまえの父さんと同じだろって言ってくれて俺、すごい嬉しー…マジありがと、笑」

同じだろ、

そういう言葉って普通に使うと思うけど。
でもマイノリティな御曹司クンにとっては「同じ」って嬉しいんだろなって思った。
父がドイツで白色人種の人達に受容れられて友達になれた、その時と同じ喜びがあるんだろなって思ったよ。

同じ普通に人間、同じ普通に男、そういう尺度からいったら「同じ」で当たり前なんだけどね。
それが当り前って誰にも御曹司クンは言って貰えないで今まで生きていた、それが哀しいなって思った。

“あいつにとってゲイなのは恥ずかしいことなんだ、俺だって隠したい気持ちってあるもん”

そんなふうに御曹司クンは23時台に言ってたけど、
ソレって大好きな恋人本人から「同じじゃない」って言われた事なんだろなって思った。

『ゲイであることは異常で恥ずかしい、そういうの普通と同じじゃない、だから隠すべきことだ』

そういうこと、御曹司クンをゲイに惹きこんだ本人に言われたって事なんだよね。
言い方悪いけど所謂「日陰者」にするんだって自覚しながら恋人関係に持ち込んだってこと。
相手を「異常」にするって思いながら手を出した、そういう幼馴染クンの本音が透けるみたいに思えた。

そういうのって哀しいなって思ったよ、
だから学生時代の友達のこと御曹司クンに話そうかなって思った。




とりあえずココで一旦切りますけど、飲み会談話まだ続きあります、笑
おもしろかったらコメントorバナー押すなど頂けたら嬉しいです、
で、また気が向いたら続篇載せます、笑

休憩合間に取り急ぎ、




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山岳点景:凍嶺の空

2014-02-20 13:16:00 | 写真:山岳点景
空凍る



山岳点景:凍嶺の空

The mind of man is framed even like the breath 
And harmony of music; there is a dark 
Invisible workmanship that reconciles

人の思考は呼吸するよう骨格が組まれる。
そして音楽の調和に、そこにある陰翳は
響き融けあう見えない技

William Wordsworth「The Prelude Book I[Patterdale] 」より抜粋、
写真は戦場ヶ原@奥日光、雪ふる空のワンシーンですが合うなって載せました。



雑談ぽいやつ昼の予定でしたがちょっと遅れます。
Eventually Comes True「May.2012 act.8 清風」の加筆もお待ちください。
で、お待たせ合間に写真載せてみました、笑



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