萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

secret talk22 氷月の午―dead of night

2014-10-22 22:00:00 | dead of night 陽はまた昇る
雪中談話
宮田@第78話かつP.S 雪郷山籠act.2その後、奥多摩にて



secret talk22 氷月の午―dead of night

空が蒼い、この涯に君はいるけど遠い。

そんなこと考えてしまう空に白銀まばゆく聳える。
登山靴にゲイター履いた足元も白い、吐息も凍えて白く空融ける。
雪と空、それだけの狭間は3時間前から遠くて、この距離ただ見つめる想いに呼ばれた。

「宮田、ちょっと良いか?」

呼ばれた声に驚かされる、なぜ今ここにいるのだろう?
なにより「声」が意外で英二は振り向いた。

「黒木さん?今日は寝てろって言われましたよね、っていうか声なんで戻ってるんですか?」

今朝、新宿から戻って来たとき黒木の声は潰れていた。
それほど昨日から扁桃腺炎が酷かったはず、けれど普段通りの声は言った。

「朝飯食って薬飲んだら治った、治ったら休む理由なんか無いだろ?」

いつもの沈毅で低い透る声は澱まない。
こんな即効性の「薬」ひとつ思い当たって笑いかけた。

「国村さんの診察が良かったみたいですね?あーんして診てもらって、朝飯も国村さんが選んだんでしょう?」

あの笑顔が薬になったとか?
そんな推測に端正な顔すぐ真赤になった。

「あーんはしていないかんけいないだろ宮田おかしなこと言うな、」

関係あるって顔が言っちゃってますよ?
そう言い返したくなる、こんなに狼狽えるなんて滅多にないから揄いたい。

―ほんとに黒木さんって光一のこと意識してるのかな?

真っ赤な顔を見ながら考えてしまう、そして心配になる。
もし本気になったら安易な道じゃない、なにより対象者の脈ないこと解かっているから頷いた。

「そうですね、国村さんは関係ないかもしれません、でも朝飯と薬の相性は良かったみたいですね?」
「それはそうだな、」

素直に頷いて青い冬隊服の衿元なおす、そのグローブ嵌めた手が大きい。
肩幅も豊かな長身は貫禄あふれる、空仰ぐシャープな横顔は眼差し凛と勁い。
どこまでも頼もしい貌は三十の男ふさわしい艶もある、なのに浮いた話が無い。
だから不思議にさせられる疑問を訊いてみた。

「黒木さんは独身主義ですか?」

そういう主義だから独り身でいたいのだろうか?
それなら納得できる、けれど先輩は端正な眉間しかめた。

「宮田、それは俺に対する嫌みか?」
「違います、黒木さんがフリーって不思議だから訊きました、」

ほんと不思議だ?
そう素直に返した隣、先輩は涼しい目許しかめた。

「正直に言ってほしいんだが宮田、俺は女にモテるって本気で思うか?」

訊かれて考えこまされる、女性から見た評価はどうなんだろう?
その思案そのまま英二は口にした。

「外見的にはモテると思いますよ?背は高いし顔もハーフみたいだし、ちょっと逞しすぎるけどモデルみたいって言われませんか?」

こんな外貌の仕事仲間がいたな?
そんな4年前の記憶から答えた隣、低い声が首傾げた。

「逞しいは言われたことあるがモデルとは言われんぞ、っていうか宮田に言われると皮肉っぽいんだが、」
「素直に受けとって下さい、俺は思ったことしか言いません、」

思ったまま答えながら可笑しくなる、だって原因が今すこし見えた。
だから黒木はフリーなのかもしれない?その推定のまま澄んだテノールが笑った。

「ほら黒木、そういう理屈っぽいトコに女も寄ってこないんじゃない?男にはモテるだろうけどさ、」

あ、図星まっすぐ言ってくれちゃったな?

こんなこと黒木に言えるのは一人しか知らない、そして黒木にとって最も言われたくない相手だろう。
その心配どおり隣は首すじから額まで逆上せだす、この素直な貌に想ってしまう。

結局のところ人間、外貌より性格がモテるも人生も左右する?



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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚247

2014-10-22 09:00:20 | 雑談寓話
雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚247

連休は予定が2件決まった後、4末ごろ転職が決まった。
勤務開始は8月だから余裕はある、それが有難いな思いながら上司に話した。

「あー、やっぱ転職しちゃうんだなあ、」

なんて納得されて、それも無理ないな思いながら笑った、

「転職率ここは高いから?笑」
「そうなんだよなーヨソから引きぬかれて行っちまうんだよな、ここ条件イイとは言えないしさ?苦笑」

ってカンジに退職の手続き進めてくれることになり、

「ま、おまえは3ヵ月余裕あるから助かるよ、引継ぎとか聴きたいし呑み行くか?おまえが誘いたいヤツ誘っていいぞ、」

なんてワケで上司と飲みに行くことになった、
仕事も年度〆ほぼ終わって落着いている時季、だから19時には上がることになり、

「お、田中ちゃん(=花サン)も来てくれるのか、嬉しいなー笑顔」
「トモさんの仮送別会だって言われたら行きますよー」
「やっぱり田中ちゃんには話してたのか、仲良いもんなおまえら、」

とか話しながら、あと元部署の課長も一緒に4人で呑み行った、

「やっぱり転職するんだな、おまえならドコでもやってると思うぞ?目的がちゃんとある転職なんだろ、」
「はい、ちょっとやってみたいな思ってたことあって、笑」
「計画的っぽいな、笑 さしつかえなかったら聴かせろよ?」

なんてカンジに4人で呑んで、そしたら課長に言われた、

「でもなあ、おまえが転職って聴いたら御曹司クンへこむんじゃないか?あいつオマエのこと大好きだもんな、」

なんで異動後まで課長に言われるんだろね?笑
こんな事態が可笑しくて笑ったら上司に言われた、

「へえ、おまえ御曹司クンと仲良いんだな?昼飯とか一緒してるの見たことあるけど、」

やっぱり見られているんだな?って改めて思った、
職場付近は見られて当り前+御曹司クンは立場的にも職場で目立っている、
だから目撃情報も多いんだろう、そんなこと考えながら正直に笑った、

「イジワルSだってよく罵られますよ?笑」
「ははっ、確かにおまえはマゾじゃないよなあ、」

なんて納得されて、
そんな印象の自分なんだなって可笑しくて笑ってたら訊かれた、

「おまえが辞めるって御曹司クンは知ってるのか?」
「まだ言ってませんけど、」

正直に答えて、そしたら言われた、

「あいつショックを受けるんじゃないか?御曹司クンって仲良いヤツ少ないだろ、城戸ですらコミュニケーション巧くいかない感じだしな?」

それは巧くいかないよね?

城戸さん=御曹司クンと出張先でコトあった相手、
そんな相手と御曹司クンが巧くやれるワケがない、そんなこと考えてたら花サンが訊いた、

「御曹司サンと城戸さん、なんかあったんですか?」

なんかあった、って花サンこそ解ってる×疑ってるじゃん?笑
こんな彼女の意図に笑いたくなるテーブル越し課長が言った、

「あいつら出張に行ったろ?あれからナンカ変な空気なんだよな、田中ちゃんも思うだろ?」
「そうですねー?」

首傾げながら応える彼女の貌はナントナク笑ってる、
なにかしら考えているんだろう、そんな彼女の本音がなんか哀しかった、

男と二股かけられる女のひとはドンナ気持ちするんだろう?

そんなこと思いながらも転職する自分はもうじき蚊帳の外になる、
だけど改めて考え始めた、いなくなった後の花サンと御曹司クンはホントに上手くいくんだろうか?
別に二人のためだけに転職する訳じゃない、ソレでも二人が幸せになれる可能性を考えていたことも本当だ、

なんてこと考えていたら嫌なコト聴かされた、

「城戸な、相変わらず人当りは良いんだけど御曹司クンの失敗談とかナニ気なーく話してくるんだよ?城戸がそういうの珍しいから気になってな、」

そういうの珍しい、なんて言われるほど城戸さんは信望がある、
そういう信望も城戸さんは利用して御曹司クンを排除したいのかもしれない?
それくらい城戸さんは御曹司クン=同性愛の対象にされたことをホントは嫌忌して、消したい事実なんだろう。

そして自分が転職したら御曹司クンは所謂味方が減ることになるかもしれない?

第61回 誰でも参加できるブログトーナメント

第79話「交点6」読み直したら校了です、Aesculapius続き&校正ほか終わったら短編かなと。

バナー昨日は少なかったんですけどUPします、また減ったら〆ますけどリクエストあれば考えます、笑
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取り急ぎ、



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