萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

氷雪点景:富士の氷月

2017-12-02 23:48:12 | 写真:山岳点景
山眠る、


12月、午後15時の富士山は零下の世界。
空気中の水分が凍りつきます。


張りだした雲に稜線うずまる、
雲なびくごと樹々の銀色あざやかに下がる気温、


着氷する森、雪でも降ったような霧氷の白。


降雪がなくても白銀に凍てつく、最高峰は冷厳の時です。


来週には林道も鎖されます。
撮影地:富士山4合目@山梨県富士吉田市2017.12

冬山の午後15時は日照減少×零下のため低体温症→行動不能に陥り凍死の危険が高いです。
夏に登れた山も冬期は難易度が激変します、特に富士山は「白魔」と呼ばれ高難度のクライマーも死亡する世界です。
○毎冬、ナンの装備も無く入りこんで救助要請する人もいますが、即時救助など出来ない気象条件です。凍傷ほか後遺症が残る覚悟してくださいね、笑
○積雪がなくても冬山は凍ります、正午過ぎれば気温低下し14時まわると空気中の水分が凍結する、だから14時までに下山完了が常識です。

コンナカンジなので今日は冬山装備で撮影@車で入山できるポイントです。
30分程度の短時間でしたがキンキンに冷えたカメラでグローブの指先が冷えました、笑
にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 
PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

secret talk36 視線 ―dead of night

2017-12-02 01:33:14 | dead of night 陽はまた昇る
唯ひとり、
英二side story追伸@第5話 道刻


secret talk36 視線 ―dead of night

街路樹に照りかえす、夏の陽光ひるがえる。
人息れ交わされるアスファルトの道、駅に着いた。

―まだいないよな、あたりまえだけど?

見回した改札口、ただ人が流れていく。
探したい人は見つからない、そんな雑踏のかたすみ壁もたれた。

―来てくれるかな、湯原…、

想いスーツのポケット、携帯電話とりだして開く。
受信0件、確認のタメ息に送信済みメールながめた。

T o :湯原周太
subject:宮田です
本 文:アドレス勝手にごめん、理由を話させてほしい。新宿駅南口改札11:30、待ってる。

昨夜に送ったメール文、けれど返信はない。
今ごろ何を想うだろう、君は?

「…は、」

ため息と見まわした改札、スーツ姿いくつも映る。
日曜日でもオフィシャルな貌がゆく、カジュアル遊び着も波うちよせる。
それなのに待ち人はいない雑踏の駅、左腕のクライマーウォッチつい確かめる。

“08:54”

約束の時間まだ遠い、だから現れなくて当り前。
それなのに来てしまった場所で心ひとり笑った。

―約束したっていうより俺のひとりよがりだよな、こんなの?

勝手に盗んだアドレスへ勝手にメールした、それだけ。
それでも独り勝手に待とうとしてる、こんなことする自分だったろうか?

―おかしくなってるな、俺?

誰かを待つ、こんなこと自体が初めてだ。
時間より先に待つ、そんなこと考えたこと無かった。
それだけ会いたくて逢いたくて、こんな願いも感情もわからなくて途惑って、でも待っている。

「…」

声にだせない感情が目を動かす、改札また探している。
ただ会いたくて逢いたくて、訪れるか解らない視線ただ信じたくて。

あいたい、会いたい、逢いたい、ただ君に。

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする