ただ傍に、
secret talk44 独占act.3 ―dead of night
緑、早緑、金色ちりばめる森の明滅。
「こういうの、湯原は楽しい?」
重ねて問いかけた小径、緑の陰翳まぶしい。
炎天ふる木洩陽きらめく、梢ゆらす風が澄む。
都心のまんなか残された静謐、その蒼い光に君といる。
深くて甘い、ほろ苦い樹木の風。
かすかに透るなにか花の匂い、それから隣の香。
さわやかな甘い深いオレンジみたいな香、その声が英二を見た。
「…どうしてそんなこと訊く?」
くちごもるような口調、でも声は穏やかに深い。
嫌がってはいないトーンに半歩、隣へ近づいた。
「気になるから、もし湯原が楽しくなかったら悪いなって、」
すこし近づいた距離、隣の肩に緑きらめく。
瞬く木洩陽に黒髪やわらかで、うつむいたままの頬に光が白い。
「外泊日はいつも一緒してくれてるけどさ、俺ばかり楽しんでたら悪いだろ?どうなのかな思ってさ、」
木洩陽の道、問いかける真中で睫が惹く。
うつむいた横顔なめらかな頬、伏せられた睫の陰翳が長い。
目もと深い翳ただ綺麗で、惹きこまれる。
―迷惑に思われても見ていたいんだ、俺は、
見惚れて見つめて、もう何度めだろう?
この視線も「悪い」のかもしれない、積もる不安に微笑んだ。
「ほら?湯原やっぱり黙っちゃうだろ、ほんとは誘うの迷惑とか?」
もし「迷惑」だと言われたら、どうする?
考えたくもない予想図の隣、横顔がふりむいた。
「…ちがう、」
掠れそうな声、でも聴こえた。
―否定してくれた湯原、
ちがう、
ただ一言、それでも嬉しい。
応えてくれた声の瞳は自分を映して、すこし厚い唇そっと動いた。
「めいわくじゃない、から…だまるのもちがう」
くぐもる声やわらに掠れる。
それでも伝えてくれる唇ちいさく震えて、囚われた。
「違うって、湯原も楽しいってこと?」
囚われた視線が君へ笑いかける、離せないから。
このまま君を捉えたい、願う樹影に黒目がちの瞳が言った。
「よくわからない…どう言えばいいのかも」
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英二side story追伸@第5話 道刻
secret talk44 独占act.3 ―dead of night
緑、早緑、金色ちりばめる森の明滅。
「こういうの、湯原は楽しい?」
重ねて問いかけた小径、緑の陰翳まぶしい。
炎天ふる木洩陽きらめく、梢ゆらす風が澄む。
都心のまんなか残された静謐、その蒼い光に君といる。
深くて甘い、ほろ苦い樹木の風。
かすかに透るなにか花の匂い、それから隣の香。
さわやかな甘い深いオレンジみたいな香、その声が英二を見た。
「…どうしてそんなこと訊く?」
くちごもるような口調、でも声は穏やかに深い。
嫌がってはいないトーンに半歩、隣へ近づいた。
「気になるから、もし湯原が楽しくなかったら悪いなって、」
すこし近づいた距離、隣の肩に緑きらめく。
瞬く木洩陽に黒髪やわらかで、うつむいたままの頬に光が白い。
「外泊日はいつも一緒してくれてるけどさ、俺ばかり楽しんでたら悪いだろ?どうなのかな思ってさ、」
木洩陽の道、問いかける真中で睫が惹く。
うつむいた横顔なめらかな頬、伏せられた睫の陰翳が長い。
目もと深い翳ただ綺麗で、惹きこまれる。
―迷惑に思われても見ていたいんだ、俺は、
見惚れて見つめて、もう何度めだろう?
この視線も「悪い」のかもしれない、積もる不安に微笑んだ。
「ほら?湯原やっぱり黙っちゃうだろ、ほんとは誘うの迷惑とか?」
もし「迷惑」だと言われたら、どうする?
考えたくもない予想図の隣、横顔がふりむいた。
「…ちがう、」
掠れそうな声、でも聴こえた。
―否定してくれた湯原、
ちがう、
ただ一言、それでも嬉しい。
応えてくれた声の瞳は自分を映して、すこし厚い唇そっと動いた。
「めいわくじゃない、から…だまるのもちがう」
くぐもる声やわらに掠れる。
それでも伝えてくれる唇ちいさく震えて、囚われた。
「違うって、湯原も楽しいってこと?」
囚われた視線が君へ笑いかける、離せないから。
このまま君を捉えたい、願う樹影に黒目がちの瞳が言った。
「よくわからない…どう言えばいいのかも」
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