孤独すら、
secret talk50 独寝act.4 ―dead of night
オレンジが香る、酔う。
さわやかで甘い深い香、やわらかな苦み深く籠る。
この香ずっと抱きしめて眠れたら?願いに腕のなか身じろいだ。
「み、やたっばかやめろはなせよっ…」
押し殺した叫ぶ声、そんな声すら震えてさせる。
抱きすくめる肩こわばる震え、くゆらす香あまくて英二は微笑んだ。
「柔道の寝技だと湯原、ふつうに平気だろ?そんなに俺のこと嫌い?」
こんな言い方きっと狡い。
ずるさ責められても離せない体は温かで、香あまく濃やかになる。
「きら…とかそんなもんだいじゃないだろばかはなせっ」
「嫌いじゃないならいいだろ、抱き枕になってよ?」
笑いかけてシーツかさり鳴る、かすかな音に芳香あまい。
せまい寮室せまいベッド、この狭さが今は幸せだ。
「かってなこというなばかっ…教官に見つかったらなんていうんだ?」
小さく叫ぶ喉ふるえて触れる、抱きしめた腕に響く。
肌から伝わる温もり振動、なにもかも幸せに笑った。
「聴取の練習したまま寝落ちしたって言えばいいだろ、もう見回りは終わったけどな、」
だから安心して眠ればいい。
そうして共にしたい夜のシーツ、鼓動そっと響きだす。
とん、とん…
胸ふところTシャツ透かす、抱きこめた背中の温もり響く。
やわらなかなノックの体温しずかで、ただ幸せで、
ごつっ、
「痛…ってぇ」
鈍痛ずきり、脳天を抜く。
額から痛覚にじむ、肌あわい滴すべる硬い感触。
なめらかな鈍痛に開かれた視界、ほの白いデスク映った。
「…湯原?」
呼びかけ起きあがって、ずきり背中きしむ。
左腕も痛い、首筋まで痛む蛍光灯あわい部屋に英二は呟いた。
「俺の部屋…だな?」
隣室にいた、けれど自室のデスクに座っている。
狭い寮室どこも似たりよったり、でも匂いが違う。
一瞬前まで甘く深くオレンジ香った、けれど今は残り香もない。
「寝落ちしたのか…俺?」
ひとりごと蛍光灯ほの白い、照らされる机上にページ白む。
勉強したまま眠りこんだ、こんな自分の一睡つい笑った。
「ははっ…ドーテーかよ?」
眠れない煩悶、勉強まぎらす机で夢を見た。
その夢まるで欲求丸出し、隣室に行きたかった本能が眠りも支配する。
―そんなに好きなんだな、湯原のこと?
今も傍にいきたい、ふれたい、でも壊せない。
ふれたくて抱きしめたくて、抱きしめたいぶんだけ不安が揺れる。
触れて壊してしまうかもしれない、もう近づけなくなったら怖い。
そんな逡巡が自分にある、こんな臆病に肚底ふっと温かい。
こんな自分だなんて知らなかったな?
おかしな感動に笑って独り、デスクライトかちり消した。
※校正中
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英二side story追伸@第5話 道刻
secret talk50 独寝act.4 ―dead of night
オレンジが香る、酔う。
さわやかで甘い深い香、やわらかな苦み深く籠る。
この香ずっと抱きしめて眠れたら?願いに腕のなか身じろいだ。
「み、やたっばかやめろはなせよっ…」
押し殺した叫ぶ声、そんな声すら震えてさせる。
抱きすくめる肩こわばる震え、くゆらす香あまくて英二は微笑んだ。
「柔道の寝技だと湯原、ふつうに平気だろ?そんなに俺のこと嫌い?」
こんな言い方きっと狡い。
ずるさ責められても離せない体は温かで、香あまく濃やかになる。
「きら…とかそんなもんだいじゃないだろばかはなせっ」
「嫌いじゃないならいいだろ、抱き枕になってよ?」
笑いかけてシーツかさり鳴る、かすかな音に芳香あまい。
せまい寮室せまいベッド、この狭さが今は幸せだ。
「かってなこというなばかっ…教官に見つかったらなんていうんだ?」
小さく叫ぶ喉ふるえて触れる、抱きしめた腕に響く。
肌から伝わる温もり振動、なにもかも幸せに笑った。
「聴取の練習したまま寝落ちしたって言えばいいだろ、もう見回りは終わったけどな、」
だから安心して眠ればいい。
そうして共にしたい夜のシーツ、鼓動そっと響きだす。
とん、とん…
胸ふところTシャツ透かす、抱きこめた背中の温もり響く。
やわらなかなノックの体温しずかで、ただ幸せで、
ごつっ、
「痛…ってぇ」
鈍痛ずきり、脳天を抜く。
額から痛覚にじむ、肌あわい滴すべる硬い感触。
なめらかな鈍痛に開かれた視界、ほの白いデスク映った。
「…湯原?」
呼びかけ起きあがって、ずきり背中きしむ。
左腕も痛い、首筋まで痛む蛍光灯あわい部屋に英二は呟いた。
「俺の部屋…だな?」
隣室にいた、けれど自室のデスクに座っている。
狭い寮室どこも似たりよったり、でも匂いが違う。
一瞬前まで甘く深くオレンジ香った、けれど今は残り香もない。
「寝落ちしたのか…俺?」
ひとりごと蛍光灯ほの白い、照らされる机上にページ白む。
勉強したまま眠りこんだ、こんな自分の一睡つい笑った。
「ははっ…ドーテーかよ?」
眠れない煩悶、勉強まぎらす机で夢を見た。
その夢まるで欲求丸出し、隣室に行きたかった本能が眠りも支配する。
―そんなに好きなんだな、湯原のこと?
今も傍にいきたい、ふれたい、でも壊せない。
ふれたくて抱きしめたくて、抱きしめたいぶんだけ不安が揺れる。
触れて壊してしまうかもしれない、もう近づけなくなったら怖い。
そんな逡巡が自分にある、こんな臆病に肚底ふっと温かい。
こんな自分だなんて知らなかったな?
おかしな感動に笑って独り、デスクライトかちり消した。
※校正中
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