ひきよせて、
secret talk48 独寝act.2 ―dead of night
扉一枚、ひそやかな呼吸たどる。
またノックしかけた廊下、足もと光が射した。
「ぁ、」
起きてくれた?
明るんだ爪先、ドアの下ちいさな隙間こぼれる光。
あわい蛍光灯、それでも確かな光に目の前の扉そっと開いた。
ほら、オレンジが香る。
「…どうした宮田?」
もうジャージは脱いで白シャツ姿、低めた声そっと黒目がちの瞳が見あげてくれる。
長い睫ゆるやかな影は穏やかで、まどろみの気配に笑いかけた。
「ごめん湯原、起こした?」
「ん…なに?」
クセっ毛やわらかな頭かしげ見あげてくれる。
幼いしぐさ無防備に素直で、つい本音こぼれた。
「かわいい、」
こんな貌するんだ、よく見ておこう。
そんな本音つい見つめた真中、ちいさな口そっとあくびした。
「…ん…そんなこといいにきたの?」
オレンジ甘く香って瞳ゆっくり瞬く。
だったら眠いんだけど?そんな視線が見あげて、すこし小さな手がドアノブ握った。
「…がんかいったらみやた…」
オレンジの香あくびの声、そっと扉が閉まりだす。
その隙間がしり掴んで、さらりベッドランプの部屋に踏みこんだ。
「ごめん湯原、」
かたん、
後ろ手ひそやかに扉を閉じる。
背にした板戸一枚に聴覚を澄ませて、誰もこない部屋に笑いかけた。
「湯原、勉強つきあえよ?」
こんな時間、こんな誘いは非常識かもしれない?
それでも逢いたかった瞳が瞬いた。
「べんきょう…いまから?」
「うん、今すぐ訊きたいことあってさ、」
きれいに笑いかけて踏みこんで、デスクライト無断で点ける。
かちり、明るんだ蛍光灯にテキスト見せた。
「登山の運動生理学の本なんだけどさ、数値のあたり教えてよ?湯原は理系だろ、」
付箋のページ開いて笑いかける。
今さっき思いついた理由、ただの正当化だ?けれど眠たげな唇そっと開いた。
「…りけいだけどせんもんちがい…きかいかだから…でもせいぶつは」
あくびまじり応える声、いつもより幼く響く。
けれど起きているより饒舌かもしれない?まだ微睡むような瞳に笑いかけた。
「生物学も得意だろ?湯原なら応用で解ると思ってさ、」
デスクにページひろげて座りこむ。
我ながら図々しい、でも、だからこそ君に試している。
『いいなら…ね』
さっき君はそう言った、あの言葉は本音だろうか?
受入れられたくて知りたい想いの真中、長い睫ゆっくり瞬いた。
「…どうしてもいま?」
「うん、ダメ?」
問い返して笑いかけて、黒目がちの瞳ゆっくり瞬く。
首かしげたままデスク傍らベッドの隅、小柄な白シャツ姿は腰下した。
「…どこ?」
つぶやくような問いかけ、デスクライト黒髪やわらかに光る。
受入れてくれた、そんな隣人がページなぞりだす。
※校正中
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英二side story追伸@第5話 道刻
secret talk48 独寝act.2 ―dead of night
扉一枚、ひそやかな呼吸たどる。
またノックしかけた廊下、足もと光が射した。
「ぁ、」
起きてくれた?
明るんだ爪先、ドアの下ちいさな隙間こぼれる光。
あわい蛍光灯、それでも確かな光に目の前の扉そっと開いた。
ほら、オレンジが香る。
「…どうした宮田?」
もうジャージは脱いで白シャツ姿、低めた声そっと黒目がちの瞳が見あげてくれる。
長い睫ゆるやかな影は穏やかで、まどろみの気配に笑いかけた。
「ごめん湯原、起こした?」
「ん…なに?」
クセっ毛やわらかな頭かしげ見あげてくれる。
幼いしぐさ無防備に素直で、つい本音こぼれた。
「かわいい、」
こんな貌するんだ、よく見ておこう。
そんな本音つい見つめた真中、ちいさな口そっとあくびした。
「…ん…そんなこといいにきたの?」
オレンジ甘く香って瞳ゆっくり瞬く。
だったら眠いんだけど?そんな視線が見あげて、すこし小さな手がドアノブ握った。
「…がんかいったらみやた…」
オレンジの香あくびの声、そっと扉が閉まりだす。
その隙間がしり掴んで、さらりベッドランプの部屋に踏みこんだ。
「ごめん湯原、」
かたん、
後ろ手ひそやかに扉を閉じる。
背にした板戸一枚に聴覚を澄ませて、誰もこない部屋に笑いかけた。
「湯原、勉強つきあえよ?」
こんな時間、こんな誘いは非常識かもしれない?
それでも逢いたかった瞳が瞬いた。
「べんきょう…いまから?」
「うん、今すぐ訊きたいことあってさ、」
きれいに笑いかけて踏みこんで、デスクライト無断で点ける。
かちり、明るんだ蛍光灯にテキスト見せた。
「登山の運動生理学の本なんだけどさ、数値のあたり教えてよ?湯原は理系だろ、」
付箋のページ開いて笑いかける。
今さっき思いついた理由、ただの正当化だ?けれど眠たげな唇そっと開いた。
「…りけいだけどせんもんちがい…きかいかだから…でもせいぶつは」
あくびまじり応える声、いつもより幼く響く。
けれど起きているより饒舌かもしれない?まだ微睡むような瞳に笑いかけた。
「生物学も得意だろ?湯原なら応用で解ると思ってさ、」
デスクにページひろげて座りこむ。
我ながら図々しい、でも、だからこそ君に試している。
『いいなら…ね』
さっき君はそう言った、あの言葉は本音だろうか?
受入れられたくて知りたい想いの真中、長い睫ゆっくり瞬いた。
「…どうしてもいま?」
「うん、ダメ?」
問い返して笑いかけて、黒目がちの瞳ゆっくり瞬く。
首かしげたままデスク傍らベッドの隅、小柄な白シャツ姿は腰下した。
「…どこ?」
つぶやくような問いかけ、デスクライト黒髪やわらかに光る。
受入れてくれた、そんな隣人がページなぞりだす。
※校正中
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