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Pretenderの備忘録

マーラー5番他 フィラデルフィア管

2005-05-22 21:36:37 | 音楽 Classic
ベートーベン ピアノ協奏曲4番
ピアノ ラン・ラン

今日の座席はステージに向かって左横。ステージに完全にかかっており、指揮者の顔が良く見える。ランランの背中から、ピアノの手の動きが実際、あるいはピアノに移る像で見ることができる。余談だが、客席も良く見える。一階の人の顔も8割くらいわかる。UBS主催ということで、バンカーの顔もちらほら。2階はかなり空席が。女性の比率は普段と同じくらいで、YoYoMaの女性人気を思う。
ランランは米国で二回、ライブで聴いている。彼が20になるかならないかの頃だ。一度はフィラデルフィアでのリサイタル。ベートーベンやシューマンだった。彼は、カーチスに留学しているため、フィラデルフィアでの人気が高い。僕は行かなかったが、フィラデルフィアオーケストラのボールなんかにも呼ばれて弾いたりしている。もう一度は、シカゴで、バレンボイム指揮で、ベートーベンだった。このときは、ポリーニを聴くために、わざわざシカゴまで出かけて、ポリーニが腰痛でキャンセルでランランで、がっかりした。ポリーニは、シカゴ、NY、フィラデルフィアすべてチケットを押さえたが、全部キャンセル!!正直、好きでなかった。とにかく、大向こうの受けを狙った大げさな動きをする、それが嫌だった。シカゴでは真っ青なチャイナドレスで登場し、度肝を抜かれた。
今日のランラン。まず、雰囲気が変わってビックリ、短髪の坊やが長髪になり、黒のベルベットジャケットというシックないでたち。以前ほど大げさなアクションはない。自分が弾いていないときは、指揮みたい動きをしているが、笑。演奏は丁寧に弾いていて、オケの重厚なサウンドが支えていた。当然、課題も残った。大げさなアクションの名残で、結構無駄な動きが多い。やたらにスタッカートで弾く。強弱はつけるが、まだまだ表現としてどうかという感じ。ストレートが速いピッチャーで、ゆるいカーブしか他に球種がないみたいな。僕自身は、過去よりもずっと良くなっていると思うし、成長したと思う。嫌いではなくなったし、今後も注目していくかな。CDを買いたいと思うかは現時点では微妙。キーシンのように30過ぎて、テクニックだけで勝負するのでなく、本当に表現力とか目を見張るばかりになった例もあるし。

マーラー5番

全般として素晴らしい演奏だった。エッシェンバッハが目指している音楽性がよく出ていたと思う。誤解を恐れずに言うならば、今、小澤がウィーンフィルで5番を振ったら、コンセプトはかなり近いのではないかという気がする。もちろん、違いはあるだろうが。

第一楽章のトランペットの入りは、最高に近いできだったと思う。荘厳でよかった。僕の席はステージにかかってるので、聞こえ方は微妙だと思うが(コントラバスはステージ向かって左に配置。第一バイオリンの横にチェロ、ハープは右で通常とも異なる)、第一楽章途中の金管がちょっと不安定な場面があったものの、全般的に良かった。第二楽章は出だしの木管が少々不安定で心配したが、弦はフィラデルフィアサウンドの面目躍如ということで、滑らかなサウンドだった。第三楽章もややホルンに不安が残る箇所があったものの、全般として良いできだった。第四楽章は、エッシェンバッハの耽美主義の聞かせどころで、高音の緊張感ある弦さばきという点では、やはりベルリンやシカゴだが、十分素晴らしい出来だった。第五楽章が一番、今のフィラデルフィアオーケストラの音というところか。バランスよく、美しく、力強く纏め上げていた。
エッシェンバッハの指揮を前から見ていて、一つ、振りすぎという感はある。まったく、オケを走らせることはしない。シノポリに通じる丁寧さではあるが、楽譜に対して忠実ということを超えて、オケに対してはどうなのだろうとふと思った。ただ、ムーティー、サバリッシュと、このオケはマーラーをレパートリーとしてこなかったという事情もあるのかもしれない。

NHKでそのうちやると思います。

コメント
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