バーベキューでおなかいっぱいになり満足したわたしたちは、さらに山を下ります。
下りたところは・・・・・・
西日本最大の水量を保つ早明浦ダム湖の上流です。 四国四県に生活用水、工業用水、農業用水を提供し、水力発電にも使われる大切なダムですが、 ここの水がピンチなんだそうです。 原因はもちろんこの夏の小雨です。 ここ数年、ダムの水が減ることが多く、毎年のようにニュースに登場しています。 そしてニュースで伝えられるとき必ず写るのがこの写真の場所。
このダム湖に沈んだ旧役場の建物が、水が減るたびに姿を見せるのです。
少し下ったところは濁った水がたまっていますが、あらわになった斜面には水没して立ち枯れた木がひげのように立っているのが見えます。
この役場跡の建物は、かつてはそこに緑豊かな土地があって人々が普通に暮らしていたことを思い出させます。 わたしたちが水の恩恵を受けているその陰には、ダムで沈んだ土地に暮らしていた人々の大きな犠牲があったのだと思わずにはいられません。 住み慣れた場所を離れて移っていった人々は、ふるさとへは決して帰れないのです。
人間だけではありません。 そこに生えていた木々も、住んでいた動物たちも、徐々に増水する場所から逃れることができず死んでいった命はどれだけあるのか。 土の中に住むもぐらやみみず、セミの幼虫、ダンゴムシ・・・・・・目に見えないような微生物まで含めたらそれこそおびただしい犠牲の上に今のわたしたちの生活があります。
自然をも制圧する人間の知恵と力とはすばらしいものだと思います。
でも、今からは、これ以上自然をねじ伏せるような無理をしなくてもいいのではないか、これで十分ありがたいこと、そんな気持ちになりました。
車でやってきて役場跡をじっと見つめているお年寄り3人がいました。 この人たちはもしかしたら、ダムができるまでここに住んでいた人たちかもしれません。
力強く巨大なダムの姿。
売店まであるところをみると、ここには観光客が多いのではないかと思われます。 停まっている車の中には県外ナンバーの車も見られました。
というわけで、早明浦ダム湖の周囲をぐるっとドライブして帰路につきました。
道中の山の中、田んぼのあぜ、道ばた、いたるところで見られたゆりの花。 タカサゴユリか、シンテッポウユリかでしょう。 高知県側には特に多いように思いました。 なんと帰化植物だそうですよ。