孤独の対処法【精神科医・樺沢紫苑】
新型ジムニーシエラ スタックしているカップル救出~雪上テスト~jimny JB74
雪の関越湯沢IC左から抜いていった車がスリップスピン壁に激突
「ゆっくり生きれば、遠くまでいける」という本に出会った。順天堂大学の教授小林弘幸先生の本である。
ギクっとなった。まさにこれ、ボキに当てはまっているでですなぁ。なにをあくせく生きてきたのだろうかと思っているからである。まさに、まさに。
これまでもそうだったし、今もなんだか焦っているしねぇ。博士になれなかったとか、結局生涯学習ごっこもそれにこだわっているし。情けないですなぁ。あれほど、山月記の主人公のようになりたくないと思っていたのは、どこへ行ってしまったのであろうか。漱石センセのように、そんなモンいらねぇとなぜ蹴っ飛ばせナインだろうかねぇ。
話にならんです。
それに、病気をしていないことイコール健康とは限らないというフレーズにも愕然とした。むしろ、血液循環がうまくいっていることが健康なのであって、なんだか皆さん勘違いしているのではないですか?という問いかけには、さらにギクッとなってしまった。
ボキ、血液がうまく循環していないからワーファリンを飲んでいるのであるからだ。エコノミークラス症候群になってから、ずっと飲んでいるからだ。マジに、これは重大問題である。
他には今のところ病気は抱えていない。膝が痛くて、ここ二・三ヶ月往生したが、これもさっき歩いてきたから、回復はしている。胃カメラも腹黒かったけど、ポリープもなかった。むろん癌もなかった。大腸カメラも異常なかった。もっとも大腸は、昨年の10月に突っ込んでいただいたけど。人間ドック以外で、志願して突っ込んでいただいた。結果、順調であったからだ。
血圧も、異常なし。
で、健康だと思っていた。
ところが、このドクターは別の視点で健康を分析される。予約のとれない人気のドクターでもあられる。
普段の生活をちょっと意識して変えるだけで本当の健康になれるとのことだった。
空を見上げるだけで体の状態は瞬時に変わる。
すべての基本は「Don't believe anybody」。
上記のようなことも言っておられる。16:15ごろブックオフという古本店で買ってきたので、これから読む。
あ、今日は塾のバイトがある。こっちは、まじめにやらないとクビになっちまうから。時間がなかった。夜、帰ってきてからにしましょう。
BYE-BYE!
まさにボキのことなり。
自分を知らないからだ。
バカです。
マジに。
昔有愚人。将会賓客、欲集牛乳似疑供設。而作是念。「我今若予於日日中、搾取牛乳漸多、卒無安処、或復酢敗。不如即就牛腹盛之。待臨会時、当鈍搾取。」作是念已、便捉牸牛母子、各繋異処。却後一月、爾乃設会、迎置賓客。方牽牛来欲搾取乳。而此牛乳即乾無有。時為衆賓、或嗔或笑。
岡本かの子女史が小説を書いている。引用する。青空文庫にあったから。Kindleにも無料で入れたが。
愚人集二牛乳一喩
愚人は客が来るまで日々の牛乳を搾しぼらないで女牛の体内にためて置くつもりだった。いよいよ客が来た時愚人は女牛の乳をしぼったがやはり一日分しか出なかった。
夫の愛は日に日に新鮮だった。血の気を増す苜蓿うまごやしの匂いがした。肌目きめのつんだネルのつやをして居た。甘さは物足りないところで控えた。
それで保志子は夫の愛を牛乳に感じて宜よかった。
新婚後十月目。
めずらしく三つ押し並んだ休日があった。東京の実家の妹達が泊りがけで遊びに来ると知らせてよこした。そのしらせ通りの日になるまでにはあと六つ黄ろい秋の日が間に並んで挟まって居た。
夫の自分への愛を保志子は妹達にも見知らせて置き度かった。飲んで内壁から吸収する幸福を気付かせて置くことは嫁入前の妹達に結婚衛生学の助講にもなる。
だが若い妹達に、まだ男の愛を肌地きじのよしあしで品さだめしない娘たちに、はたしてじぶんの夫の愛情のようなものが判るかしらん。牛乳の味が判るかしらん。いまだに彼女等がハリウッドへスターのサインを貰う為めに手紙を鵞がペンでなぞりなぞり書いてるような娘たちであったらこりゃむずかしい。こりゃ、肌地より分量で示すよりほかあるまい。
保志子は夫に頼んだ。
「これから向う五日間よ。なるたけ愛を節約してね。けれど妹たちが来たらその溜めといた分を思う存分あたしの上に使ってね。使って見せてね」
髪の薄い夫はよしよしといった。
樟脳しょうのうとナフタリンの匂いのするスカートと花模様の袂たもとがごちゃごちゃに玄関で賑わって六日目の朝、妹たちが到着した。
「あたしが一番よ」
「あたしが一番よ」
二番目の妹と三番目の妹とは息をはあはあ云わせ乍らこんなことを争って居る。停車場から馳けっこをして来たのだ。
相変らずこんな娘達だ。その用意しといて宜かった、と保志子は思った。
「早くお上んなさいな。ざっとお湯を使って直ぐ御飯よ」
その間にも保志子は夫が五日溜めた愛情の今こそ肩に胸に一度に降り注がれるのを待って身構えた。
「この柿、たいへん、おいしい。半分やろうか」
夫の愛の分量は、やっぱり一日分だけのものしか出なかった。保志子が望むほど濃くも多くもなって居なかった。それよりも妹たちは、初めて来た姉の家の茶の間や庭先を見廻すのに気をとられて居た。それに飽きると今度は姉の夫をすぐバット細工の友達にして仕舞った。
「牛乳は牝牛の腹には――と保志子は考えた――溜めて置かれないものね」
愚人は客が来るまで日々の牛乳を搾しぼらないで女牛の体内にためて置くつもりだった。いよいよ客が来た時愚人は女牛の乳をしぼったがやはり一日分しか出なかった。
夫の愛は日に日に新鮮だった。血の気を増す苜蓿うまごやしの匂いがした。肌目きめのつんだネルのつやをして居た。甘さは物足りないところで控えた。
それで保志子は夫の愛を牛乳に感じて宜よかった。
新婚後十月目。
めずらしく三つ押し並んだ休日があった。東京の実家の妹達が泊りがけで遊びに来ると知らせてよこした。そのしらせ通りの日になるまでにはあと六つ黄ろい秋の日が間に並んで挟まって居た。
夫の自分への愛を保志子は妹達にも見知らせて置き度かった。飲んで内壁から吸収する幸福を気付かせて置くことは嫁入前の妹達に結婚衛生学の助講にもなる。
だが若い妹達に、まだ男の愛を肌地きじのよしあしで品さだめしない娘たちに、はたしてじぶんの夫の愛情のようなものが判るかしらん。牛乳の味が判るかしらん。いまだに彼女等がハリウッドへスターのサインを貰う為めに手紙を鵞がペンでなぞりなぞり書いてるような娘たちであったらこりゃむずかしい。こりゃ、肌地より分量で示すよりほかあるまい。
保志子は夫に頼んだ。
「これから向う五日間よ。なるたけ愛を節約してね。けれど妹たちが来たらその溜めといた分を思う存分あたしの上に使ってね。使って見せてね」
髪の薄い夫はよしよしといった。
樟脳しょうのうとナフタリンの匂いのするスカートと花模様の袂たもとがごちゃごちゃに玄関で賑わって六日目の朝、妹たちが到着した。
「あたしが一番よ」
「あたしが一番よ」
二番目の妹と三番目の妹とは息をはあはあ云わせ乍らこんなことを争って居る。停車場から馳けっこをして来たのだ。
相変らずこんな娘達だ。その用意しといて宜かった、と保志子は思った。
「早くお上んなさいな。ざっとお湯を使って直ぐ御飯よ」
その間にも保志子は夫が五日溜めた愛情の今こそ肩に胸に一度に降り注がれるのを待って身構えた。
「この柿、たいへん、おいしい。半分やろうか」
夫の愛の分量は、やっぱり一日分だけのものしか出なかった。保志子が望むほど濃くも多くもなって居なかった。それよりも妹たちは、初めて来た姉の家の茶の間や庭先を見廻すのに気をとられて居た。それに飽きると今度は姉の夫をすぐバット細工の友達にして仕舞った。
「牛乳は牝牛の腹には――と保志子は考えた――溜めて置かれないものね」
これじゃなぁ・・・・・・・・・・・・・・・ボキのアホさ加減。致し方なし。自分を知らないのだもの。