3学年だより 反復(2)
同じ時間に起きて、決まったルーティンで一日をすごし、やるべきことを淡々とこなしていく……。周りから見ると「つまんなくない?」と尋ねたくなるほどの繰り返しの日常がそこにある。
本や伝聞で知る限り、トップアスリート、トップアーティストとよばれる人たちほど、そのような毎日を積み重ねている。逆かもしれない。そんな日々を積み重ねた結果として現在があるのだと。
~ 反復が好きな人が、トップアスリートになります。
では、なぜトップアスリートは、反復が好きなのか。
反復によって、脳から快感物質が出る体験をしたからです。
一度、反復による脳の改良の快感物質を知った人は、一生、反復をいとわなくなります。
いとわないどころか、反復が好きになります。
いつまでも、練習しているタイプは、ストイックなのではありません。
ほめられるためでもありません。
むしろ、反復練習をする快感を知ってしまったのです。
小学生のころ、「新しく習った漢字を、100回書いてきなさい」という宿題がよくありました。
このとき、10回しか書かない子どもと、100回書いてくる子どもがいます。
そして、もう一人、ノート1冊、同じ漢字を書いてくる子どもがいます。
これは、ボクシングの世界チャンピオンや、一流のピッチャーなどの子供時代に共通する傾向です。
トップアスリートの戦いは、フィジカルな戦いではありません。
上に行けば行くほど、フィジカルでは差がつきません。
脳のレベルの戦いになります。
反復練習は、体を鍛える練習ではなく、脳を改良するための作業なのです。
(中谷彰宏「メンタルで勝つ方法119」ボウリングマガジン9月号) ~
排気量660ccの軽自動車より1500ccの車の方が余裕をもって走行できる。人の脳も同じように考えることができる。エンジンを搭載し直すのは大変だが、脳を改良することは可能だ。
反復学習で脳を改良できるなら、受験勉強とはなんと普遍的に有効な活動だろう。
大学合格は人生の通過点に過ぎないが、それを経ることでお金に換えがたいほど貴重なものが獲得できるのだ。