水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

戦略(4)

2022年12月11日 | 学年だよりなど
2学年だより「戦略(4)」




 学費コスパで考えるなら、公立中学から本校に特待生として入学し、塾にも予備校にも行かずに、学校の勉強と講習や添削を積み重ねて、現役で東大に合格したN君やM君を思うと、これほどコスパのいい例はなかなかないように思う。
 大学も実家から通った彼らは、日本の学生としてはキングオブコスパではないだろうか。
 高校時代の彼らは、受験に関係ない科目もきっちり取り組んでいた。学校行事も楽しんでいたし、もちろん部活動も最後までやり通した。
 純粋なコスパ論に立つなら、必要最低限の成績だけとって、あとは自分の直接的利益になることだけやればいいようだが、そして実際にそういうタイプの先輩もいたが、結果は芳しくなかった。
 別の方面から考えてみよう。
 たとえば恋愛にコスパという観点は持ち込めるだろうか。どういうのが「コスパのいい」恋愛か。
 声をかけて、すぐつきあってもらえて、デート代もかからないタイプの子で、半年で結婚できるのが、コスパのいい恋愛なのだろうか。
 週に一度ちらっと笑顔を見せてもらえるだけで毎日幸せなら、コスパがいいのだろうか。
 たまたま仕事があいた時に連絡すると会いに来てくれる彼女は、男からはコスパがいいのかもしれないが、それをコスパと表現していること自体、女子はふざけんなと思うのではないか。
 逆にみなさんは、「あの人はコスパのいい人よ」と女性に言われる男になりたいかどうか。
 「コスパ的には真逆だけど、あの人と離れられない」と言われる方がよくないですか?
 好きなことは、コスパでは測れない。
 むしろコスパで考えるとわりに合わないことの方が、最終的に「やりきった感」が得られる。
 ワールドカップのスペイン戦直後に、本田圭祐選手と、岡田武史元代表監督が語り合っていて、そのときの言葉が心に残っている。




~「大事なときはいつくるかが分からない。難しいのはいつか大事なときが来るのを信じて
  最善の準備をすること。」(本田圭介)


 「みんなは運だって言うんだよ。それは神様からのご褒美なんだよ。
  でも神様からのご褒美って、
  本当にやるべきことを積み重ねてきた人しかもらえないんだよ」(岡田武史)~




 難関大学に入った方がいいのは間違いないのだ。最短で4年後、もしくは6年後とかに就職活動を初めてみれば、明らかに、というか切実に実感できるだろう。
 若いうちは、学歴があることで得られるものは大きい。
 それを手に入れるための努力と、努力が結果として表れる度合いを考えたなら、これほどコスパのいいものはなかなかない。
 働き出してしまうと、学歴そのものはそんなに関係なくなる。
 受験勉強で身に付けた学力はけっこういつまでも役立つ。
 受験で身に付けた勉強力や忍耐力は、かなり役立つ。
 日常のあれこれを目先のコスパ優先で過ごしていると、そういうものが身に付かないのだろう。
 むしろ、やるべきことを愚直に蓄積していく準備の先に、何らかのご褒美があるのだ。

コメント
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