水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

脳の学習効率

2023年01月16日 | 学年だよりなど
2学年だより「脳の学習効率」




 三苫選手から田中選手にパスがとおるとき、田中選手は三苫選手の蹴り出しを見てから反応しているわけではない。
 村上選手は、ピッチャーの手から球が離れるのを確認してからバットを振り始めるのではない。
 運動部の人なら、そんな感覚は身にしみて理解できるだろう。
 意識してからだを動かしたので遅いのだ。
 思うような、というか後で評価するなら思うようなと言えるパフォーマンスをするには、無意識で体が動いてないといけない。
 そのなるために、そして簡単にそうならないからこそ、みなさんは毎日トレーニングに励んでいるはずだ。
 そうなる瞬間は突然訪れる。毎日少しずつできるようになるものでないことも、よくわかっているのではないだろうか。
 「できない」から「できる」へ体がジャンプするとき、脳にはどんな変化が起きているのだろう。
 慶應義塾でリハビリテーション神経学を研究する牛場潤一教授は、この体のメカニズムの解明のために工学的なアプローチを行っている。




~ 牛場さんが脳に関心をもったのは小学生のとき。所属していたコンピュータサークルで、ある日、AIの研究をしている大学院生が自作のプログラムをもってきてくれたそうです。それで謎解きゲームをしていたら、AIが目の前で進化していくことにゾクゾク。「経験を通じて機能が変わっていくというダイナミックな性質が面自かった。人間の脳も同じようにプログラムできるのかな」。つまり、脳に関心をもった最初から、牛場さんにとって、それはAIとパラレルなものとしてとらえられていたのです。だからこそ「経験を通じて機能が変わる」という可塑性に関心が向いた。そこに中学生になって出会った学者たちの話が火をつけます。縦縞しかない環境で生育し、横縞を認識できなくなった子猫の話。片側の脳を損傷したが、もう片方の脳が機能を変えて失われた能力を補うようになった少女の話。牛場少年は、「脳のやわらかさ」への興味をさらに深めていきました。 (伊藤亜紗『体はゆく』文藝春秋)~




 中学生のころから脳に興味を持った牛場氏は、勉強のメカニズムも考えるようになる。
 自分より成績のいいヤツは、なぜいいのか。
 それは頭がいいのではなく、「脳に学習させるのがうまいやつ」だと考えた。
 地頭とか、努力量の問題ではなく、「脳の学習効率」という研究テーマを思いついたという(中学時代ね)。で、どうしたのか。
 授業中、先生の話を無理矢理感動して聞いた。音楽を聴いてわーっと感動すると、その印象が脳にやきつく。そうだ、勉強も同じだ、つまらなくても感動しよう! と考えた。
 そして食い入るように先生を見て、一つ一つの話に大きくうなづき、感動しながら授業を受けていたという。その有効性は、後に自分で解明していくことになる。

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