水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

脳の学習効率(2)

2023年01月20日 | 学年だよりなど
2学年だより「脳の学習効率(2)」




 自分の頭が勝手に学習するには、感動するのが一番だと考えた牛場さんは、なんでもない授業でも、「わー、すごい」と感激しながら聞くようにし、より効率よく学べた(みなさんもやってみたら、どうだろう)。「やっぱり脳はメカニズムがあって、条件がうまく成立すると、可塑性というか学習がすごく進むんだな」と考える。
 大人になり研究者になってみると、それはドーパミンを出して脳にやきつけるという、「報酬系」とよばれる脳の生かし方であることがわかった。
 学習にはコンテクストも重要だという仮説をもった牛場さんは、登下校の際に架空の友人を隣に置き、英語で話しかけながら勉強したという。
 研究者になって、こんな実験に出会う。アメリカの有名な心理学の実験だ。
 大学のダイビング部18名を対象にして、暗記のテストを実施する。
 ただし、約6メートルの海中と、陸上と、それぞれの場で暗記させ、その後テストをする。
 すると、海中で覚えた言葉は、陸上より海中でのテストの方がスコアがよく、逆に陸上で覚えた単語は、陸上テストの方がはるかによかった。
 環境が変わると、覚えたはずの単語も思い出せなくなってしまうのだ。




~ 中学生や高校生のころ、単語帳で英単語を覚えても、テストになると意味を思い出せないことがあった。「その単語帳だとできる」のに、「別の環境」だとできない。テストでもできるようにするためには、「単語帳だけで勉強しない」ことが重要である。確かにそう言われると、思い当たるふしがあります。置かれた環境によって、脳のムードのようなものが変わると、牛場さんは言います。
 「直接学習しているものとは関係ない、水圧とか目の前に広がる光景とか自分がおかれている環境とか状況によって、ムードとか脳のデフォルトになっている状態とかが影響を受けているわけですね。それでその脳の状態に対して、算数なり運動なりの学習をすると、このペースのコンディションの状態では、そこで獲得したものを引き出したりできるんだけど、その状態が陸にあがって違っちゃうと、ベースとなっている状態が違うので、書き込まれたものを読み出そうと思っても読み出しにくい、ということがあるんですね。」~




 学習環境を整えるというのは、「よい」環境をつくることではないことがわかる。
 目標は、どんな環境でも力を発揮することだ。
 だとしたら、きわめて快適な場所より、少し騒々しいくらいの場所でも集中できるようになった方がいい。
 隔離された自分の部屋より、リビングで何か他の事をしている家族がいる中で勉強する子どもの方が成績が伸びやすいのは、こういう事情が関与していそうだ。

コメント
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