水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

孤独力

2021年09月13日 | 学年だよりなど
1学年だより「孤独力」


 友達とにこやかに歓談し、その3秒後にすうっと自分の世界に入っていける状態。
 帰りのバスの車内で、その日の自分のプレーを再現し修正している状態。
 電車に乗るとすぐに暗記物にとりかかれる状態。
 夕飯後、おうちの方が食器を洗ってくれてる横で、数学を一問解き始めている状態……。


~ どんな道も自分一人で鍛錬し、技を一つ一つ広げて完成させていくことが大切だ。これは私が空手やテニスに熱中していたころに、よく教わったことだ。というのも、試合形式で練習していると楽しい。勝った負けたで一喜一憂していれば日が暮れる。しかし、ひとりで技を磨く努力もしないと、選手としては先が短い。
 プロ野球選手はフリーバッティングと言って実際にボールを打つ練習もするが、優秀な選手ほど素振りにも熱心だ。素振りは、たとえ周囲に人がいようがいまいが、自分の身体と緻密に向き合う孤独な練習法である。メジャーリーグの松井秀喜選手は、巨人軍にいたころ、当時の長嶋茂雄監督からよく素振りチェックを受けたそうだ。キャンプや遠征先で長嶋監督の部屋に行き、素振りをする。バットが空を切るビュンだのビュッだのという音に、監督が「む」「よし」と目で反応する。そうやって無言で会話していたというエピソードがある。 ~


 授業を受けて、部活動に参加し、一生懸命取り組んでいても、それだけでは成長しない。
 最終的に力をつけるのに必要なのは一人の時間だ。
 社会や大人は、経験の場を用意することはできても、それを自分のものにしていけるかどうかについては、その人自身の責任と言うしかない。
 映画を観る、美術館に行く、スポーツ観戦に行くといった行為も、自分一人でかみしめる時間があってはじめて経験として蓄積される。


~ おもしろいもので、一流の才能を持つ人ほど、ひとりになったときには自分のなすべき世界のことを考えてしまう。つまり、ひとりの時間に考え続けられるかが才能の証でもあるのだ。
 私はもっと多くの人に、孤独に対してそのようなポジティブでクリエイティブなイメージを持ってもらいたい。誰だって人から『ああ、この人は奥が深いな』『輝いているな』と思われるのはうれしいに違いないからだ。 (齋藤孝『孤独のチカラ』新潮社) ~


 休み時間はずっと友達と騒いでいるほうが楽かもしれないが、それが本当にやりたいことだろうか。気持ちが通じ合っているどうしは、会話などしなくても友人でいられる。いつも一緒にいなくても、支え合っていられる。
 逆に自分が確立していないと、一人でいると不安で、ムダにつるむことを求めてしまう。
 孤独力のある人どうしは、お互いの「孤独」の時間を尊重しあえる。
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