水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

才能の正体(2)

2018年11月01日 | 学年だよりなど

  学年だより「才能の正体(2)」


 大きな成果をあげた人を見ると、「あの人は才能があったからだ」と口にしてしまう。
 あの先輩はもともと地頭がよかったから、勉強の才能があったからというように。


 ~ しかし、それは間違いです。
 「氷山の一角」という言葉がありますが、水面よりも上に出ている部分は、全体の約1割だと言われています。その下の9割に、血の滲むような努力があってこそ、氷は浮いていられるのです。 (坪田信貴『才能の正体』幻冬舎) ~


 そもそも、「地頭のよさ」というのは、あるのだろうか。
 たしかに、見渡してみれば、そんなに勉強していないのに成績はいい人はいる。
 成績という形に表れてはいないものの、頭がよさそうに感じるタイプの人もいる。


 ~ 人間の頭のスペックなんて、東大卒だろうが中学卒だろうがそんなに差はないんです。地頭力なんて幻想。人間な時点で人間に可能な程度の振れ幅しかない。記憶力だけで言えば、人類全員、そのへんのパソコンよりバカでしょ?(笑)
 だからこそ、余計な思考を捨てることが即、頭のよさにつながるんです。 (堀江貴文・西野亮廣『バカとつき合うな』徳間書店) ~


 地頭がよさそうに見える人は、様々な中身を詰め込んできているだけのことだ。幼いころに絵本をたくさん読んでもらった、小さいときからいろんな経験をしてきたというような形で。
 新しく入ってきた情報を、蓄積されている情報と結びつけられるので、理解が早くなる。
 結果として、あの人は理解が速い、頭がいいと周囲から思われる。
 地頭がよさそうに見えるもう一つの要素は、人類なら誰もが大きくは変わらない脳のスペックを、効率よく使っていることだ。
 大容量のメモリがあっても、いろんなアプリを立ち上げたままだと、作業スピードは落ちてくる。
 メインの作業を行うためのメモリが十分に確保されていれば、パフォーマンスは上がる。
 結果として、あの人は考えが速い、頭がいいと周囲から思われる。
 この状態を専門用語では「集中している」という。
 あれもしたい、これもしたい……。他のことも気になる、他人のしていることが気にかかる……。
 やってみて失敗したらどうしよう、自分に才能はあるのだろうか、自分のやり方はあっているのだろうか、いつごろうまくいくのだろうか……。
 「余計な思考」は、脳のメモリをむだに占有し、本当にやるべき作業をにぶらせる。
  他人を見て羨んだり妬んだりする感情や、他人からどう見られるだろうと考えることも、メモリのムダづかいだ。
 他念の捨てて、愚直にやるべきことだけに脳を使い続け、脳を変え続ける努力を積んでいる状態を、「自分を信じる」という。

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